アヤカシバナシ『小説版』

如月 睦月

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帰って来る絵

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1000円札にちょっと悪戯書きしたのを買い物で使い、数年後にお釣りとして戻ってきてビックリ!そんな話を聞いたことがないだろうか。

今回のアヤカシは私が体験した、戻って来る本にまつわる話。

確か中学生のころだったと思うのですが、恐怖漫画で有名な漫画家様のとある作品が文庫化されているのを本屋でみつけたのです。縦に陳列されているので、あ、文庫化されてるんだ・・・と思い抜き出すと、とてもリアルに描かれたゾッとする表紙イラストだったのです。うわ・・・と思いつつも、手元に無かったのでもう一度読みたくて購入。気持ち悪いのでブックカバーをしたまま読んでいました。

仮にその本の作者を『恐怖 画蔵(きょうふ かくぞう)』

タイトルを『恐怖の館』としておきましょう。

漫画本を収集してしまう癖があり、かなり溜まってきたので、申し訳ないとは思いつつまとめて売ることにしたのですが、恐怖の館も手放すことにした。その頃はかなり絵を描いて居た頃で、その恐怖漫画家様のタッチも勉強していたから1枚小さい紙に主人公を襲う少女の顔を描いたものをそっとしおりのように差し込んでおいたのです。

手紙を入れた瓶のように、これを買った人に届け・・・

みたいな、そんな恐怖の顔のイラスト出てきたら怖いしかないのに変態的自信に満ちた気持ちだったのを覚えている。

それから数年の月日が流れ、私は仕事で出張することになった。出張先で1日だけ休みがあったので、適当に歩き回り、中古本のワゴンセールに出会った。あ、帰りの汽車で読むのに何かないかなって・・・・そんな気持ちで漁っていると、あの文庫本『恐怖の館』を発見。そりゃあるでしょ、有名漫画家様の作品ですからね。手にしてどかすために場所を変えたのだが、その本からちょっとだけ、紙が飛び出している事に気が付いた。

『ん?ページが破れている?』と思い、そのページを開くと、落ちてきたのはあの時私が描いた恐怖顔のイラストだった。吐き気にも似た気持ち悪さに襲われてその場を足早に立ち去った。

こんな事ってあるのか・・・と思った。

それから更に月日が流れ、親戚のおばちゃんが遊びに来た時の事、『あ、睦月ちゃん、恐怖画蔵先生のファンだったよね、中古だけどあげる!』そう言って出したのは『恐怖の館』だった。

偶然にもほどがあると、恐怖を感じた。

念のため中身を見たが、私が描いたあの絵は無かった。ちょっと安心したのですが・・・

『ねぇねぇ睦月ちゃん・・・』

『あ、はい』

部屋に入ってきたのは親戚のおばちゃんだった。

『その本にね、こんなの挟まってたよ』

広げた紙は私が描いたあの絵だった。

本当に本当に本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになりながらも、恐怖感に勝てず、近くにある採石場に行って、本もメモも燃やしまして埋めました。

それからはあの本に出会っていません。

ネットでその本を見てふと思い出したお話です。
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