アヤカシバナシ『小説版』

如月 睦月

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おばぁさんの部屋

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小学生の頃…学年はそうですね…5~6年生だったと思います。
友人のHの家に遊びに行ったのですが、いわゆる豪邸でとても広い家でした。Hからはウロウロすんな、2階は親の寝室と仏間しかないから行くなと言われた。
言われると行きたくなるのが子供と言うもので、私はそのタイミング狙っていた。

Hと一緒に紙でアニメのロボ等を作るのが好きで、設計図なしで切り出した厚紙を丸めたり貼り付けたりして作り上げて行った。
Hは1つ作り上げると『つかれたー』と言って伸びをしたまま床に寝そべった。
金持ちの家にしかないであろうフカフカの絨毯が眠気を誘い、Hは眠りについたのだった、そのまま熟睡させる為に私は10分ほど待った。

『ずぅーーーーーーーーーーーーずぅーーーーーーーーーーー』

寝息のワンランク上の呼吸音がHの鼻から鳴り始めた。

私は静かに立ち上がると、文字通り忍び足で居間をでた。
今の金持ちのカーペットを切って貼り付けたようなモフモフの階段を上がる。
足音すらしない金持ちのカーペットは泥棒が来てもわからないレベルの消音効果を発揮したので、気楽に上る事が出来た。
上がり切って左のステンドグラスを使ったドアを上げると、貴族が寝るようなゴージャスなベッドに天蓋がかけられていた。

『金持ちの匂いがする』そう呟くと静かにドアを閉め、その向かい側、要するに階段を上がり切って右のドアの前に立った。あれ?と思う程質素な扉がそこにはあった。この部屋の持ち主の意向でこうなったのだろう、そうとしか思えない不釣り合いなドアだった、しかも引き戸。

手を添えて左にズラすと、一瞬軋んで引っかかり、ズズズと音を立てて半分ほど開いた、その瞬間中から異臭が鼻を刺した。今思えばカビ臭さと言うものだったのだろう、目に染みる程の痛みを感じる臭いだった。こんな豪邸の中になぜこんな田舎臭い部屋があるんだろう、そしてこの異臭…真っ暗な部屋を良く見ようと目を凝らすと、驚きのあまり声が出た。

『うわっ』

仏壇の前で手を合わせて祈っているおばぁさんが居たからだ。
彼女の部屋ならいてもおかしくは無いのだが、この異臭と暗闇の中だからこそ驚きなのである、とてもじゃないが人の部屋とは思えない。
部屋が暗いのは窓を閉めてカーテンをしているからだが、よくよく見ると部屋全体、更には家具に至るまでカビだらけで黒ずんでいたのだ、暗いのではなく黒いのだ。その中に居る黒いおばぁさん。

立ち竦んでいると、祈りを捧げたまま、そのおばぁさんは仏壇にゆっくりと吸い込まれて行った、仏壇の扉がバタンと閉まる音で私は我に帰った。

『な…なんだ?ばぁさん消えたぞ』

バタン!!!!

勢いよく仏壇の扉が開くと、仏壇の前には既におばぁさんが居た。
祈りを捧げると、おばぁさんは仏壇にゆっくりと吸い込まれて行った、仏壇の扉がバタンと閉まる…。

勢いよく仏壇の扉が開くと、仏壇の前には既におばぁさんが居た。
祈りを捧げると、おばぁさんは仏壇にゆっくりと吸い込まれて行った、仏壇の扉がバタンと閉まる…。

勢いよく仏壇の扉が開くと、仏壇の前には既におばぁさんが居た。
祈りを捧げると、おばぁさんは仏壇にゆっくりと吸い込まれて行った、仏壇の扉がバタンと閉まる…。

何度も何度もそれが繰り返し行われ、そのスピードがどんどん増す。
観えない程このスピードが速くなったらどうなるのかと考えたら一気に怖くなり、扉を閉めて急いで階段を駆け下りて居間に戻り、用事が出来たから帰るねと置手紙をHに残してその家を出た。

外に出て2階を見上げると、さっきのおばぁさんの部屋があった場所にはそもそも窓が無く、壁になっていた。

どうしてその様な構造なのかはHに聞く事もできず、月日が経った今でも謎のままです。
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