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淫紋 *
水から上がると、男はサシャを手近な切り株に座らせて、その腹の魔法陣を調べ始めた。
男がそこに触れると、ハートのような形の魔法陣が毒々しいピンク色に色を変えていく。
「痛むか?」
サシャはその問いにかぶりを振った。
痛くは無い。痛くは無いのだが、今までにない感覚に襲われていた。
先ほど抱き上げられた感触が忘れられない。
男の息遣いが、腕の弾力が、触れた指が、匂いがもっと欲しい。
欲しいと思うだけではぁはぁと息が乱れ、サシャのモノが段々と立ち上がり始める。
苦しくなってきて、サシャは股間を手で押さえた。
「なぁ、落ち着いて聞いて欲しいのだが」
暫く考えていた男が話し出す。
落ち着いてと言われても、サシャはその男らしい低い声や匂いにさえ反応してしまう有様だ。
「お前が描かれた魔法陣は、”淫紋”と言う、淫魔が使う呪いだと思う」
「淫紋?」
そう言われてもサシャには何の事か分からない。
今まで見た事がある魔法陣は、数年前に教会に来た聖女が村人を癒すために描いていった「癒しの魔法陣」くらいだ。
だからサシャの中では魔法陣とは神聖なものの象徴である。
「この魔法陣には、古代語で『発情』『受胎』と書かれているようだ」
「?? オレは男だから受胎なんてできないよ」
その言葉に男は頷いた。
「だからやっかいなのだ。
お前はこの魔法陣によって体を作り変えられてしまったのだろう。
これから発情する度に魔術による呪いで男達を呼び寄せ、妊娠するまで性交をする事になるだろう」
「ちょっと、待って? するって、男とするの?」
「そうだ。 俺はサキュバスより魔力が高いから惑わされたりはしないが」
「……俺、初めての相手は好きな女の子が良いんだけど……」
心臓が妙にドキドキするのを抑えてサシャは本心を告げたが、あえなく「男にしか干渉しない呪いだ」と否定されてしまった。
「問題は、お前は男だからいくら身体が作り変えられていても妊娠しづらいかもしれないと言う事だ」
「どうなるの?」
「最悪、死ぬまで性交し続ける事になる」
「ひっ! ど、どうしよう、そんな死に方は嫌すぎるよ!
どうしたらこの魔法陣がが無くなるの?」
サシャは青ざめてしまう。
男が言っているのが本当か嘘かは分からない。
でも、明らかに発情しているこの状態で過ごすのは無理だった。
だからと言って男に抱かれるのは嫌、でも身体が何だかおかしい。
暫くすると、サシャはついに誰でも良いから抱いて欲しい衝動に駆られるようになってしまった。
段々と思考を奪われ始めたサシャは他人の目の前なのに、下穿きに手を突っ込んで自分自身を慰め始めてしまう。
すると、サシャから発せられる甘い、男を誘う匂いが一層強くなった。
「ううん…あん」
サシャが自身をこちゅこちゅと扱くと気持ちが良くて、先走りが滲み、ぬるぬると手を汚していく。
でも、これじゃない。とサシャは思った。
(もっと違うの、中に欲しい)
目の前の男の股間に目を向けた。
彼も下穿きを穿いているが、その中に逞しい男のモノがあるとサシャには判っている。
(あれが欲しい)
段々と思考が霞んできたサシャは、ゴクリと唾を飲み込んでから蕩けた瞳で男を見上げた。
「おい、お前の名前は?」
その時、何か考えていた男が突然、サシャの名前を聞いてきた。
「サシャ……」
「俺はアルバだ。 サシャ、提案なのだが」
アルバはじっとサシャを見た。
「俺がサキュバスより魔力が高いのはさっきも話したな。
だから俺が何とかしてお前を抱けば……俺の魔力で数日は発情を抑えられると思う」
それを聞いて、半ば理性を失っているサシャは『抱く』と言うアルバの言葉に反応して、トロリとした笑顔をアルバに向けた。
「それから王都にいる俺の知り合いに頼んで呪いを解除してもらおう。いいか?」
もう何だか良く判らないが、抱いてくれるならそれで良いと考えて、サシャはアルバへと両手を伸ばした。
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