オレと竜族の事情~淫紋ってどうやって消すんですか?~

ume-gummy

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第二王子

 

 アルバはサシャが落ち着いた頃、一人で司令部へ赴いた。
 他と違ってちゃんとした建物である司令部内には、この作戦の責任者であるエアトベーレン王国の第2王子シュトリームと第2騎士団の騎士団長エイム、それに護衛が3人いる。

「作戦会議と言ったのだがなぜ来なかった?」
 エイムに叱責されたのもどこ吹く風で、アルバは勝手に手近なスツールへ腰掛けた。
 不遜な態度に明らかに苛立ったエイムだったが、シュトリームの方はは気にせず貼り付けた笑顔のまま話を始める。
「いいよ。 それより今から君たちにとって大事な話をするからね」
 そう言うと、手を振って護衛を退出させた。

「たち、と言う事はサシャにも関係があるのか?」
「そう、あの子は可愛いね。
 女性だったら私の側室に召し上げるのに」
「残念ながらサシャは男だ」
「遊ぶなら男の方がいいけどね」
「っつ……」
 明らかな挑発をされて、アルバはシュトリームを睨みつけた。

「まぁ、ここには私の様に考えている者もいるって事。
 私とエイムはあの子の秘密も知ってるよ。
 協力してくれれば守ってあげるけど」
「結構だ、俺は協力する気などない」
 ますます機嫌を悪くしたアルバに、シュトリームは意地の悪い笑みを向けた。
 手には小さな鍵を持ち、ぶらぶらと揺らしている。
 それがサシャの首に掛かっている鎖の鍵だとアルバには分かった。

 暫くすると、アルバはシュトリームの挑発するような態度にいい加減イライラしてきた。
 目に力を込めて相手を睨む。
 大抵の相手はこれで怯んで、アルバを開放するはずだ。
 だが、何かの守りがあるのか、シュトリームもエイムも全く平気だった。

 ギリと音がするくらいアルバは奥歯を噛みしめる。
 一瞬、ここで思い切り暴れてやろうかと思ったが、サシャに何かされる事を恐れて思い止まった。
 白くなるほど握りしめられたアルバの拳を見て、シュトリームが楽しそうに笑う。

「……で、どうしろと」
 アルバは探るように自分を見る二人に問いかけた。
「うん、作戦は簡単。
 補助に騎士を付けるから、君が先頭に立って好きに切り込んでくれ。
 とにかく暴れまくって、こちらには竜族が付いているって見せつけてくれればいいんだ。
 先ずは辺境の村から取り込んで行く。
 向こうもこちらに気付いたらしくて兵士が集まって来ているけれど、君がいれば怖気付いて抵抗しては来ないだろうよ」
「その他の細々とした工作はこちらでやる」
 補足とばかりにエイムが付け足す。

「今回の戦いに勝てたらあの子も解放してあげるよ。
 もし、失敗したら……次の発情の時は皆の共有にする?」
 シュトリームはチラっとドア向こうに立つ護衛騎士たちを見た。
「そんな事してみろ、全員殺してやるからな」
「ふふ、怖いね。
 でも、もし負けてしまって、向こうが攻め込んで来ても結果は同じなんじゃない?」
「この……」
「じゃ、そういう訳だから、残りの冒険者が到着次第、攻撃を始めるよ」
 ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべたシュトリームを後に、アルバはエイムによって小屋から連れ出された。



「どうした? 随分険しい顔だな」
 外に出て歩いていると、ヴェルナーが合流して来た。
「別に。
 それよりなんでお前がここにいる?」
「おっと、睨むなよ。 僕は仕事だ」
 アルバが睨み返したのでヴェルナーは一瞬怯んだが、そのままサシャのいるテントまでついて来た。

「サシャの事だけど、僕も助けるのに協力するよ」
「目的は?」
 アルバの問いに、ヴェルナーは小さく笑った。
「あの子の魔法陣を調べさせて欲しい。
 出来れば受胎の方を僕に描いて再現させたいんだけれどね」と、自分のお腹を擦る。
「物好きだな」
「何とでも言え、僕は真剣なんだから」
 と、相変わらず何を考えているのか分からない曖昧な笑みを浮かべた。
 それからヴェルナーは何かあったら自分かバルドゥルに言ってくれと、その場を去った。


 今までも竜族と言うだけで面倒事に巻き込まれる事はあったが、自分のせいでサシャが国同士の面倒事に巻き込まれてしまった。
 今までに何度となく感じた『竜族であること』への嫌悪が心の中でぐるぐると靄の様に渦巻いて、アルバは物陰で頭を抱えて蹲った。


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