オレと竜族の事情~淫紋ってどうやって消すんですか?~

ume-gummy

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アルバの家族

 
 里の西側にあるアルバの実家に着く頃には、辺りはすっかり暗く寒くなっていた。

 アルバが実家のドアを叩くと「はーい」と中から女性の声が聞こえる。
 暫くするとドアが開いて、アルバとよく似た女性が出てきた。
「アルバじゃない! お友達も一緒なの? 
 やだー、もう、連絡してよ! あなたぁ~」
 その女性はアルバの返事も聞かないで、バタバタと忙しなく家の中へ戻って行ってしまう。
「落ち着きが無くてすまない、あれが母だ。
 一応、エルフなんだが」
 とアルバは恥ずかしそうに他の3人に説明した。

 そのまま3人はアルバに促されて家の中へと入った。
 中は暖炉が赤く燃えていて、石や岩で出来ている家とは思えないくらい暖かい。
 見れば冷たい石の壁を隠すように織物やキルトが掛けられている。
 どれも皆、竜や竜族がモチーフになっていて、アルバによると竜から竜族が産まれた時の伝説が描かれているそう。
 ヴェルナーはそれを興味深そうに見つめていた。

 部屋の中を見回せば、暖かい色味の家具はシンプルで体格に合わせて大きめに作ってある。
 窓際にはアルバが子供の頃に描いたらしい絵なども飾ってあり、サシャはアルバは幸せな子供時代を過ごしたのが分かって嬉しくなった。

「素敵なお家だね。
 外は冷たそうだけど中は暖かいなんてアルバみたいだし……」
「サシャ」
 少し甘い雰囲気になったところへバタバタとアルバの母と、アルバより体が大きくてもっと爬虫類寄りの風貌で、アルバと同じ一対の黒い角を持った竜族が奥からやって来た。

「いらっしゃい、アルバの父のリドリーです。
 こっちは私の大切な『番』のリリア。
 ここは随分遠かったでしょう? ゆっくり休んでいってください。
 アルバもな」
 リドリーは見た目よりずっと人間臭くて陽気な人でと、気さくに握手をしてくれる。
 リリアも最初の印象通りの明るくて話しやすい人だ。
「ありがとう父さん、母さん。
 こちらはいつも世話になっているヴェルナーとバルドゥル、それに俺の『番』サシャだ」
「まぁ……」
「……アルバ、やっと連れてきたな!」
 両親は一瞬戸惑ったようだが、直ぐに嬉しそうに破顔すると、アルバとサシャを順に抱きしめてくれる。

 アルバ以外にそんな風に接してもらえたのはとても久しぶりで、サシャはちょっと舞い上がってしまった。
 その後、リリアとリドリーは沢山食事を用意してくれて、皆で楽しく卓を囲んだが、サシャはこれが夢か現実か分からなくなった。
 さっきから自分に都合の良い夢を見ているだけかと思ったが、それはいくら経っても解けたりしなかった。



 食事の後、リリアが一人づつに浄化の魔法を掛けてくれた。
 これがエルフ族の風呂代わりらしく、リリアがいるこの家の風呂は使われていなかった為だ。
 すると、この魔法は便利だと、魔法の心得があるヴェルナーは、後で教えてもらう約束をしていた。
 それから二階に案内されて、ヴェルナーとバルドゥルは客間に、アルバとサシャはアルバの部屋で休む事になった。

 昨夜は野宿だったので疲れていたのだろう、サシャは直ぐに眠ってしまう。
 眠っても暫くはアルバの胸をまさぐっていたが、完全に眠ったのを見計らってアルバは下の階の両親の元へ向かった。
 もうかなり遅い時間であったが、二人ともまだリビングでのんびりしていた。


「父さん、母さん、いきなり来たのにありがとう」
「良いのよ、それよりあの子。
 サシャには何か事情があるんでしょ?」
 アルバは頷くと、サシャがサキュバスに呪われている事を話した。
 流石に発情して定期的に交わっている所までは言えなかったが、二人は察してくれたようだ。
 そして、ここへ来た経緯も簡単に話し、暫くここに住みたいと願い出る。
 二人はその話に驚いていたが、深く聞いては来なかったので、アルバは安心した。

「家は良いんだけど、プライベートもあるし住む所は別にした方がいいわね。
 あの二人も」
 と言って、リリアは客間を指し示した。
「とにかく朝になったら長老に挨拶しに行った方が良いな。
 空き家を貸してもらえるんじゃないか?」
 他にも二人は色々と提案してくれる。
 その姿を見ていてアルバは、昔のリドリーは竜族らしく、自分の回りにしか興味が無かったと聞いた事を思い出した。
 しかし、今はどうだろうか。
 お節介な母につられて随分と変わっている。
 好きな相手のおかげで変われるなんて羨ましい思う。
(自分もサシャのおかげで何か変わったのだろうか?
 良い方へ変われたならば良いのに……)とアルバは二人を見ながらぼんやり考えていた。


「それにしても、『番』を見つけるまで随分かかったわね。
 私とお父さんなんて1年よ」
 リリアが温かい飲み物を持ってやってきた。
 それをアルバに差し出しながら、うっとりとしている。
 どうやらリドリーと出会った頃を思い出している様子であった。

「いいや、中には一生見つからない者だっているんだぞ。
 アルバは運が良いよ」
「そっか。 うん。
 見つかって良かったわね、アルバ」
 アルバの父と母は嬉しそうに笑ってくれた。

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