平凡でモブな僕が鬼将軍の番になるまで

月影美空

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初めての町

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早いものであれから三年もたった。
結局まだ森から一歩も出ていない。
これじゃ、引きこもりと大差ない。
森の奥で引きこもっているか、家で引きこもっているのかの違いだ。
ニートと森奥ニートの違いなのだ。

精霊魔法の腕前はともかく、魔法の腕前も相当上がった。

前は魔力量が相当少なかったけれど、精霊の森の水を飲み続けたせいか魔力量が多くなった。
精霊たちいわく「賢者クラス」らしい。
賢者がどれくらいすごいのかよくわからないので、何とも言えないが。

そして、精霊たちのオカン化も加速した。
オネェ化ではない!オ、カ、ンだ!!

想像してみてほしい。
基本的に、人間には興味がなく自由気ままな精霊たちがオカンのように甲斐甲斐しく18歳のいい年した男の世話をやいているところを。
会うたびに「はい~果物だよ~」といって飴ちゃんがわりの果物を渡してくる姿を。
大阪のおばちゃんかい!と何回言いたくなったことか。

そして!今日は、近くの街に行って冒険者登録をする予定なのだ!

やっと引きこもりを卒業する気になった僕は、精霊たちの勧めで街でギルドカードの発行をして、この世界を初めて観光することになった。今までは家と精霊の森しかいっていないのでいい機会だ。

精霊と一緒にいて癒されたおかげか人への、恐怖や興味すらもなくなったのだ。

正直言って他人とかどうでもいいが、自分の魔法の実力を知るにはこれしかない。

「アリア~用意できた?」

「できたよ!みんなもついてくるの?」

「もちろん!でも、獣人には見えないようにするから安心して~困ったときは呼んでね!」

「わかった。じゃあ行こうか。」

精霊の森は安全だが、その周りにある魔の森は危険だ。
わざわざ、時間をかけていくのもなんだしパッと行ってすぐ帰ってこよう。

そして、精霊の森には結界を張ってあったので魔獣はこちらには来れないのだ。
まさしく、安全地帯。

そんなことはおくとして。

『転移』

町の近くに転移した。

町は大きな壁の中にあるようだ。
順番に並んで検問をしているので、列に並ぶ。

僕は目立たないように、コートのフードを被っている。

「次の方、どうぞ~」

僕の順番が来た。

「一応、フード外してもらえませんか?」

「…わかりました。」

僕がフードを外すと周りがざわついた。
やっぱり僕基準では美少年でも、異世界基準では母の言っていた通り醜いのだろう。

「っこの水晶に手をかざしてください。」

「わかりました。」

こっそり鑑定魔法を使うと、この水晶は犯罪歴を調べる物のようだ。

「はい。大丈夫です。通ってください。」

「ありがとうございました。」

こうして無事町に入ることができた。

さすが異世界。中世ヨーロッパみたいだなぁ~ひそかに感動した。

歩いていたら、「冒険者ギルド」と書かれた看板がある建物を見つけた。

中に入ると、居酒屋もあるみたいで騒がしい。

「冒険者登録ですか~?」気さくそうな受付の青年が話しかけてきた。

「はい。どちらに向かえばいいですか?」

「冒険者登録はこちらのカウンターです」

「わかりました。」

「この水晶に触れてください。」

「はい」

水晶に触れると、ステータスが見れた。

「まっ魔力10000!?普通は100なのに!?それに賢者って!この年でなるなんてありえない!!
精霊魔法なんて古代に失われたはずでは!?」

受付の人が騒いだせいで、周りにも声が届いたのか辺りが静まり返る。

ーーーーーーー
アリア  18歳

猫獣人族

魔力  10000

体力  30

レベル 10

職業  賢者、精霊魔法使い

その他  魔法を極めし者、精霊の愛し子、大精霊の契約者、神々の寵愛を受けし者

ーーーーーーー

「すげーじゃん、兄ちゃん。その年で賢者なんて!!」

「ありがとうございます。」

次々と話しかけてくる人がいた。
めんどくさいので、ありがとうございます。しか言っていない。

しばらく受付の人は固まっていたが、復活したらしく

「ギルドマスターを呼んできます!!少々お待ちください!」と走っていった。

他の受付の人がやってきて
「ギルドカードを作りますね。アリアさんは、レベル10なのでBランクです。
18歳くらいの方は平均、レベル5なのでアリアさんは凄いですね。ランクはG~SSSまであって、Sは世界に3人しかいません。SS~SSSは勇者クラスで、現在はいません。」

受付の人の説明を聞いていると、ギルドマスターらしき人がやってきた。
ダンディなおじさまだ。

「君が賢者の方だね。私はこの町のギルドマスタークラウスだ。話があるので部屋まで来てもらえないだろうか?」

「わかりました。」

部屋についた。本がたくさんあって風格がある部屋だ。かっこいいというか、憧れるっていうか。

「さて、君の話は伺った。賢者で、精霊の愛し子だそうだね。」

「はい。そうですが、なにか問題がありましたか?僕は田舎育ちで何もわからなくて。」
心配になって聞くと、

「いや、問題はそこではないんだ。まずば賢者について話そうか。
賢者は世界に4人しかいない。だから、君で5人目なのだが、賢者の方はみなご高齢でね。君くらいの年の人はいないんだ。
次に、精霊の愛し子について。精霊は存在していないと思われているが、実際はいる。ただ、人が嫌われているだけだ。このことは、国の上層部しか知らないよ。とにかく、君は規格外だってことだ。君を利用しようとする人も出てくるだろうから、気を付けるんだよ?」

「ご忠告ありがとうございます。気を付けますね。」

「君は今までどこにいたんだい?これほどの魔力があったら各国から引っ張りだこだろうに。」

この人は信用できると思ったし、魂の色が綺麗だ。安心できる。それに、味方は必要だ。

「実は、精霊の森にいました。」

「精霊の森!?あの危険な?」

「はい。精霊の森の奥には結界があります。魔獣は入ってこれません。そこに精霊と一緒に住んでいました」

「そうだったのか。なるほどな。信じがたい話だが、本当のことなのだね。」

「僕はこれからどうすればいいのでしょうか。できるだけ注目されるのは嫌なので。」

「そうか。それなら公表するのは避けたほうがいいな。精霊の森の件については誰にも言わないほうがいい。
君を連れ去ろうとする輩が現れるやもしれん。そのほかについては、陛下に報告しなくてはならないがいいかい?」

「う~ん…わかりました。」

陛下って、国王陛下だよね。思ったより大事になってしまったな。僕はただ、静かに暮らしたいだけなのに。
ここは少し脅しておくか。

「僕は絶対に国には手を貸しません。そうなりそうだったら、すぐに転移で他のところへ行きます。
これでもいいですか?」

「そっそうか。そのことも含めて報告するよ。君には家族はいないのかい?番には報告した方がいいぞ?」

「番ってなんですか?」

「!?知らないのかい?この世界には運命の番というものがあってだね。魂の片割れみたいなものだ。
伴侶だね。その年だと、すでに相手はいるはずだが…もしかしてまだなのか?」

「それって、相手も自分のことがわかるんですか?例えばどこにいるとか…」

「番は15歳くらいになるとわかるぞ。相手のいる場所なんかがね。一緒にいると心地よいし、相性も抜群だ。」

「っそうなんですか。」

「ほかにはないようだし、これで話は終わりだ。ありがとう。」

「いいえ、こちらこそ色々教えていただいてありがとうございました。」

こうして僕の初めての外出は終わった。

~~~~~
こんにちは~美空です!(*'▽')
一気に三年経過させてしまいました…

ルーカスさんがうずうずしているので仕方のないことだ!と笑ってもらえると嬉しいです!
作者のほうも手がうずうずして、友に「変態の手の動きみたい(笑)」と爆笑されている今日この頃です。

しかし、我ながら三年も森にこもるとは思っていませんでした(笑)
そして!儚い系美少年萌え~(´艸`*)ジュルリ。

やっぱり、モフモフ登場させようかな~(作者の野望「モフモフ×美少年」萌え)

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