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始まりの章
12.カマイタチ
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「良いか、星歌。今からお前が持つ魔王の力をほんの少しだけ目覚めさせる。さっき使ったカマイタチだな」
「うん。やっぱり全部目覚めるのは危険なの?」
私の力を引き出してもらうため龍くんと二人だけで庭に出て、向かい合わせに座りやってもらう前に分からない事は予め聞いておく。
夏の日差しは猛威を振るっていて暑くて早く終わらせたいけれど、自分の事なのだからちゃんと知っておきたいのもある。
パパに聞いたとしても正直に話してはくれないだろうし、それ以前に話す事は辛いんだと思う。
もし目覚める事自体反対に心変わりしてしまったら話にならない。
「正直星歌にどれだけ魔王の力が眠っているのか未知数だが、少なくても多くの力を目覚めさせると姿も変わるからな。ただでさえ星歌の髪色は赤茶で瞳も赤っぽい」
「どう言うこと?」
「魔族の髪色は色鮮やかで、耳は尖っていて牙が特徴なんだよ。そして魔王の血を受け継ぎ力がある程瞳が純潔な赤なんだ」
「そうなんだ。だからお母さんはあんな姿をしていたんだ」
理由はラノベでは良くありがちでお母さんの写真を見ていたからすんなり受け止められて、パパが必死になって今まで通り生きろと言われた理由も分かった。
魔族の姿になったら地球で今まで通り生きていけないし、異世界でも魔王の力を持った人を受け入れてはくれない。
その証拠にお母さんが魔王の娘だと分かって殺された。
「写真、見せてもらったんだな。星夜のためにも俺が星歌を魔族の姿に、瞳を赤にさせるわけにはいかないんだ。だってそうだろう? 魔王の娘である事を受け入れて護ると誓った相手をたった三年しか護れなかったんだ。同じ事になったとしても星夜なら星歌に護ると誓うと思うが、その誓いの重圧に押し潰される可能性が非常に高い」
「そうだよね。うん、分かった。それでいい」
龍くんも私とまったく同じ事を思っているらしく、空気はどんより重くなりそれ以上をけして望まないと約束する。
私はパパとの平凡な日常を取り戻したいだけから、男を異世界に追っ払えるだけで良い。
魔王の力なんていらない。
「それじゃぁ、始める前に説明な。オレが意図的にさっきのような脳内に言葉に出来ない文字を呼び起こすから、落ち着いて向き合い自分の一部に吸収しろ。そうすればそれを強く念じ発動のイメージをするだけで、自由に使えるようになる。トゥーランの魔術は基本詠唱も魔法名を言うのもなしだ。んな事したら速攻命を落とす」
「言われてみれば確かにそうだね」
始める前に会得方法と魔術と言う理を教えてもらい、今まで思っていた詠唱と変身時間の謎が解き明かされる。
所詮そこは都合良く出来ている物語で、リアルはそんな甘い事を言っていられない一発勝負。
この先は遊びじゃない。
大きく息を吸ってゆっくり息を吐き出す。
龍くんの手が頭に触れる感触を抱くと、脳内に言葉に出来ない文字が浮かぶ。
さっきは何もかもが極限状態で、本能的に念じ発動させた。
その反動が頭痛の悪化。
魔王の力は破壊の力かも知れないけれど、私は破壊ではなく護る力として使いこなす。
だから怖くない。私の優しい力。
そう思うと言葉に出来ない文字は私の中に溶け込んでいくのが分かり、明らかに違う何かを感じ取る事が出来る。
言葉に出来ない文字が脳内でインプットされてもいる。
「おめでとう。これで自由に使えるよ。試しに枝を切って見ろ」
「うん」
龍くんの優しい声が聞こえ言われた通り、言葉に出来ない文字を念じ枝を切るイメージをするのだが、
シュンシュン
バキーン
「え、え~?」
風を切りさく音と一緒に大木が折れたものすごい音も聞こえ目を開けると、パパの記念樹である奥室の桜の木がきれいに真っ二つに分断されていた。
倒れていないから被害はないものの、それにしたって枝を切るイメージをしていたはずなのになぜこうなった?
「星歌、どうしたんだ?」
「……パパ、ごめんなさい。パパの大切な桜を真二つにしちゃった」
「桜ならオレが修復するから問題ない。恐るべし魔王の力」
あんなすごい音がすれば何事だと思うのが普通で血相を変えたパパが飛び出し私を心配するけれど、自分の失態をとにかく謝罪し桜を指させば龍くんが桜を修復してくれている。
ただ魔王の力が予想以上だったらしい。
「龍ノ介、少しだけで良いと言ったよな?」
「これでも十分の一も目覚めさせてないんだが」
「!! 星歌、なんともない…… ?」
龍くんは何も悪くないのにパパはすごい殺気を漂わせ怒り付け、理由を聞けば驚き私を見るなり顔を青ざめ絶句する。
「パパ?」
「……星歌、すまない。すべて弱い俺の責任なんだ。地球だったら今の強さが保てれば問題ないと思って高を括ってそれ以上は望まなかった。軽率だった」
「何があったの?」
正面からギュッと強く抱きしめられ切羽詰まった口調で囁かれ、背中で泣かれてしまう。
台詞からして深刻でまたパパは自暴自棄になりかけ、 助けを求めるように龍くんを見ると、ため息を吐き肩を落としている。
「星夜、そう深刻になるなよ。瞳の色だけなら、スピカのように隠せば良いだろう?」
「瞳の色?」
なにかなんだか分からないと言うより、分かりたくない。
「お前の瞳がほんの少し赤く染まっただけだよ。今のJKならカラコンを入れていると言えば押し通せるだろう?」
「え、あ、うん。このぐらいならまだ平気」
パパと違い龍くんは至って冷静で私も鏡で瞳を確認すれば、確かに少し赤くなっているけれどまだ赤茶の瞳だって言える程度。
龍くんの言う通り今時のJKなら余裕の範囲だ。
耳と歯の形は変わら……八重歯が少し伸びたかもだけれどこっちも問題なし。
八重歯の事はすべてが終わってから軽く打ち明けよう。
そう軽く思えるだけで微妙に変わった姿を怖いとは思わなかったのは、きっとパパが私の分まで深刻に受け止めてくれているからだろうね。
「……。明日から鍛錬を再開する。龍ノ介も付き合ってくれるか?」
「当たり前だろう? 今でさえ剣道も連敗続きでいるのに、更に差を付けられたら面白くないからな」
「助かるよ」
復活したのか二人とも口元だけ笑い、熱い男の友情を交わし合う。
あっと言う間に自暴自棄を回避出来たのは良い事だと思うのに、流石にここまで気持ちの浮き沈みが激しいと心配になってしまう。
無理して自分を押し殺し続けていたら、何かの拍子で爆発してしまいそう。
かと言ってもうこれからの事は止まらない。
「ねぇ、温泉に一泊しようよ」
「え、いきなり?」
「うん。今日がここまで大変なんだから、パッと休息をしないと割に合わないよ」
速攻で思いついた最善の手を持ちかけ空気を台無しにしてしまうけれど、パパには何よりも先に身も心もリフレッシュしてもらいたい。
だから自然豊かな静かな温泉でゆっくりのんびり過ごして欲しいと思った。
それから鍛錬に励んだ方が、効果的だよね?
「分かった。来週にでも早速温泉に行こう。龍ノ介もそれでいいだろう?」
「オレも行って良いのか?」
「もちろんだよ。龍くんだって休息は必要だからね」
「ならお言葉に甘えて。久しぶりに魔力を使いまくって、これからが大勝負とくれば精気を養う必要があるからな。そうと決まったら、リビングで作戦会議だな」
「そうだね。そうしよう」
一度は恐縮した龍くんだったけれど当たり前とばかりに頷けば、嬉しそうな笑顔に代わり声を弾ませ意気込む。
奥室の桜はいつの間にか元通りに戻っていて、何事もなかったかのようにいつも通り堂々と葉を茂げらせていた。
痛い思いをさせてごめんなさい。
来年もきれいな花を咲かせてね。
「うん。やっぱり全部目覚めるのは危険なの?」
私の力を引き出してもらうため龍くんと二人だけで庭に出て、向かい合わせに座りやってもらう前に分からない事は予め聞いておく。
夏の日差しは猛威を振るっていて暑くて早く終わらせたいけれど、自分の事なのだからちゃんと知っておきたいのもある。
パパに聞いたとしても正直に話してはくれないだろうし、それ以前に話す事は辛いんだと思う。
もし目覚める事自体反対に心変わりしてしまったら話にならない。
「正直星歌にどれだけ魔王の力が眠っているのか未知数だが、少なくても多くの力を目覚めさせると姿も変わるからな。ただでさえ星歌の髪色は赤茶で瞳も赤っぽい」
「どう言うこと?」
「魔族の髪色は色鮮やかで、耳は尖っていて牙が特徴なんだよ。そして魔王の血を受け継ぎ力がある程瞳が純潔な赤なんだ」
「そうなんだ。だからお母さんはあんな姿をしていたんだ」
理由はラノベでは良くありがちでお母さんの写真を見ていたからすんなり受け止められて、パパが必死になって今まで通り生きろと言われた理由も分かった。
魔族の姿になったら地球で今まで通り生きていけないし、異世界でも魔王の力を持った人を受け入れてはくれない。
その証拠にお母さんが魔王の娘だと分かって殺された。
「写真、見せてもらったんだな。星夜のためにも俺が星歌を魔族の姿に、瞳を赤にさせるわけにはいかないんだ。だってそうだろう? 魔王の娘である事を受け入れて護ると誓った相手をたった三年しか護れなかったんだ。同じ事になったとしても星夜なら星歌に護ると誓うと思うが、その誓いの重圧に押し潰される可能性が非常に高い」
「そうだよね。うん、分かった。それでいい」
龍くんも私とまったく同じ事を思っているらしく、空気はどんより重くなりそれ以上をけして望まないと約束する。
私はパパとの平凡な日常を取り戻したいだけから、男を異世界に追っ払えるだけで良い。
魔王の力なんていらない。
「それじゃぁ、始める前に説明な。オレが意図的にさっきのような脳内に言葉に出来ない文字を呼び起こすから、落ち着いて向き合い自分の一部に吸収しろ。そうすればそれを強く念じ発動のイメージをするだけで、自由に使えるようになる。トゥーランの魔術は基本詠唱も魔法名を言うのもなしだ。んな事したら速攻命を落とす」
「言われてみれば確かにそうだね」
始める前に会得方法と魔術と言う理を教えてもらい、今まで思っていた詠唱と変身時間の謎が解き明かされる。
所詮そこは都合良く出来ている物語で、リアルはそんな甘い事を言っていられない一発勝負。
この先は遊びじゃない。
大きく息を吸ってゆっくり息を吐き出す。
龍くんの手が頭に触れる感触を抱くと、脳内に言葉に出来ない文字が浮かぶ。
さっきは何もかもが極限状態で、本能的に念じ発動させた。
その反動が頭痛の悪化。
魔王の力は破壊の力かも知れないけれど、私は破壊ではなく護る力として使いこなす。
だから怖くない。私の優しい力。
そう思うと言葉に出来ない文字は私の中に溶け込んでいくのが分かり、明らかに違う何かを感じ取る事が出来る。
言葉に出来ない文字が脳内でインプットされてもいる。
「おめでとう。これで自由に使えるよ。試しに枝を切って見ろ」
「うん」
龍くんの優しい声が聞こえ言われた通り、言葉に出来ない文字を念じ枝を切るイメージをするのだが、
シュンシュン
バキーン
「え、え~?」
風を切りさく音と一緒に大木が折れたものすごい音も聞こえ目を開けると、パパの記念樹である奥室の桜の木がきれいに真っ二つに分断されていた。
倒れていないから被害はないものの、それにしたって枝を切るイメージをしていたはずなのになぜこうなった?
「星歌、どうしたんだ?」
「……パパ、ごめんなさい。パパの大切な桜を真二つにしちゃった」
「桜ならオレが修復するから問題ない。恐るべし魔王の力」
あんなすごい音がすれば何事だと思うのが普通で血相を変えたパパが飛び出し私を心配するけれど、自分の失態をとにかく謝罪し桜を指させば龍くんが桜を修復してくれている。
ただ魔王の力が予想以上だったらしい。
「龍ノ介、少しだけで良いと言ったよな?」
「これでも十分の一も目覚めさせてないんだが」
「!! 星歌、なんともない…… ?」
龍くんは何も悪くないのにパパはすごい殺気を漂わせ怒り付け、理由を聞けば驚き私を見るなり顔を青ざめ絶句する。
「パパ?」
「……星歌、すまない。すべて弱い俺の責任なんだ。地球だったら今の強さが保てれば問題ないと思って高を括ってそれ以上は望まなかった。軽率だった」
「何があったの?」
正面からギュッと強く抱きしめられ切羽詰まった口調で囁かれ、背中で泣かれてしまう。
台詞からして深刻でまたパパは自暴自棄になりかけ、 助けを求めるように龍くんを見ると、ため息を吐き肩を落としている。
「星夜、そう深刻になるなよ。瞳の色だけなら、スピカのように隠せば良いだろう?」
「瞳の色?」
なにかなんだか分からないと言うより、分かりたくない。
「お前の瞳がほんの少し赤く染まっただけだよ。今のJKならカラコンを入れていると言えば押し通せるだろう?」
「え、あ、うん。このぐらいならまだ平気」
パパと違い龍くんは至って冷静で私も鏡で瞳を確認すれば、確かに少し赤くなっているけれどまだ赤茶の瞳だって言える程度。
龍くんの言う通り今時のJKなら余裕の範囲だ。
耳と歯の形は変わら……八重歯が少し伸びたかもだけれどこっちも問題なし。
八重歯の事はすべてが終わってから軽く打ち明けよう。
そう軽く思えるだけで微妙に変わった姿を怖いとは思わなかったのは、きっとパパが私の分まで深刻に受け止めてくれているからだろうね。
「……。明日から鍛錬を再開する。龍ノ介も付き合ってくれるか?」
「当たり前だろう? 今でさえ剣道も連敗続きでいるのに、更に差を付けられたら面白くないからな」
「助かるよ」
復活したのか二人とも口元だけ笑い、熱い男の友情を交わし合う。
あっと言う間に自暴自棄を回避出来たのは良い事だと思うのに、流石にここまで気持ちの浮き沈みが激しいと心配になってしまう。
無理して自分を押し殺し続けていたら、何かの拍子で爆発してしまいそう。
かと言ってもうこれからの事は止まらない。
「ねぇ、温泉に一泊しようよ」
「え、いきなり?」
「うん。今日がここまで大変なんだから、パッと休息をしないと割に合わないよ」
速攻で思いついた最善の手を持ちかけ空気を台無しにしてしまうけれど、パパには何よりも先に身も心もリフレッシュしてもらいたい。
だから自然豊かな静かな温泉でゆっくりのんびり過ごして欲しいと思った。
それから鍛錬に励んだ方が、効果的だよね?
「分かった。来週にでも早速温泉に行こう。龍ノ介もそれでいいだろう?」
「オレも行って良いのか?」
「もちろんだよ。龍くんだって休息は必要だからね」
「ならお言葉に甘えて。久しぶりに魔力を使いまくって、これからが大勝負とくれば精気を養う必要があるからな。そうと決まったら、リビングで作戦会議だな」
「そうだね。そうしよう」
一度は恐縮した龍くんだったけれど当たり前とばかりに頷けば、嬉しそうな笑顔に代わり声を弾ませ意気込む。
奥室の桜はいつの間にか元通りに戻っていて、何事もなかったかのようにいつも通り堂々と葉を茂げらせていた。
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