転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

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28 推しといざ決戦の地へ

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「ギル様、良くお似合いですわ」

メイドのスーザンが、俺を飾り立てご満悦な顔をして言う。

今日は王家主催なので、黒を基本にした礼服になっている。

それでもクラヴァットはふわふわ系だ。

お祖父様がエスコートしてくれるので、お祖父様に合わせた格好になる。

お祖父様も基本的にシャツ以外は黒で、銀糸の刺繍をしている。

俺も同じように銀糸の刺繍でシンプルに仕上げた。

ジェレミー兄様は、ゼルジオ様の婚約者としてのお披露目も兼ねているので、セルジオ様に合わせた格好になっている。

お互いのクラヴァットに飾る宝石はお互いの瞳の色。

セルジオ様は黒の宝石で、ジェレミー兄様は青い宝石。

そして、セルジオ様の服と揃いで作られた物一式を、セルジオ様より送られていた。

ホセ兄様もフロル様に送ったようで、田舎者と呼ばれぬような洗練された物だった。

お互いの右肩と左肩に、流れるように刺繍が施され、美しい宝石も飾られていた。

隣国の流行りとか王都の流行とか、事細かく兄様に叩き込んでいて良かった!

父様とシェル様は公爵同士なので、お揃いとは行かないが、お互いの瞳の色のクラヴァットと、ペンダントを目立たせたコーデで来る様だ。

「旦那様。セルジオ様の馬車が到着いたしました」

「うむ。それでは行くか」

お祖父様に促され、俺とジェレミー兄様が外に出ると、セルジオ様が馬車の前に立っていた。

王都のそれなりに貴族街なので、外からの視線もあるが、今日はお披露目の日。

お前らその目でジェレミー兄様の美しさと、セルジオ様とのお似合いっぷりをじっくり見ておけ。

セルジオ様が、恭しくジェレミー兄様をエスコートし、馬車に乗ったのを見届けると、俺とお祖父様もお邪魔する。

外では、貴族やらが何事かと騒いでいるが、和かに笑顔を振り撒いておいた。

「ジェレミー。とても良く似合っている」

「セルジオ様。こんなに素敵なお洋服を、ありがとうございます」

セルジオ様は、とても満足そうにジェレミー兄様と見つめ合っている。

俺とお祖父様は、周りに目を配りつつ、不埒な奴らは居ないか目を光らせる。

学園の卒業式前に行われるパーティーは、ただのお祝いだけではない。

貴族が一挙に集まる場を利用して、不正をした者を暴く場でもある。

「ギル、あの伯爵家の当主は、コリーヌに随分しつこく言い寄っていた男だ」

「コンダック伯爵ですね。あそこの息子は出来の悪さで有名です。何度か魔術対決を申し込まれたので、完膚無く叩きのめしておきました」

「はっはっはっ!さすが我が孫だ」

「あちらのイール子爵家の息子は、最近剣の腕を上げています。次男ですから、他の領地の騎士としても歓迎されるでしょう」

「あそこは当主も勤勉であるからな。ふむ。近くの伯爵家で騎士を探しておったから、話をしてみよう」

そんな感じで、俺とお祖父様が貴族の情報を話していると、セルジオ様は感心した顔をしている。

「ふふふ。ギルはすごいでしょう?どこからか色んな情報を手に入れてくるんです」

「ふむ。おかげで助かる事も多そうだな」

もちろんです!

ジェレミー兄様が嫁ぐんですから、どんどん情報流しちゃいますぞ。

俺はニコニコしながら、頭を下げる。

そうしている間に、城門に到着する。

御者が案内状を出し、すぐに敷地内へ通される。

やっぱ三大公爵家は違うわ~。

そう思いながら、馬車はお城の入り口まで進む。

他の公爵家は到着しているようで、豪華な馬車が数台ある。

一際大きく、黒と金でシンプルだが美しい馬車が目を引いた。

「ドンク公爵家だな。コリーヌに婚約を申し入れてきた内の一人だ」

「ドンク公爵もだったのですか?」

お祖父様の言葉に、セルジオ様も驚いていた。

ドンク公爵家と言えば、現在は軍事力と外国との輸出入にて力を持っている公爵家だ。

王の忠臣であり、前王に嫁いだ侯爵家から嫁を貰っていたはず。

「あの男は他と違って引き際も良くてな、コリーヌの意思を尊重してくれた。その後のしつこい縁談相手にも釘を刺してくれた。お前達の両親がスムーズに結婚できたのも、そのおかげが大きい」

「そうだったんですね」

話していると、他の馬車から降りたであろうダイヤ公爵家の面々が、場内へ入って行った。

どうやら公爵は誰もエスコートせず、アルミスと婿入りが決まったジェフが仲良さそうに寄り添って入って行く。

「ふむ。ダイヤ公爵はお相手無しか。今回の息子の失態も知れ渡っておるから、出来の良い息子達だけ社交させるのだろうな」

お祖父様の言葉に、セルジオ様は難しい顔をする。

「実は、父上に誘いがあったのですが、断ったのです」

「なんと」

「父上はジャメル伯爵の話はしませんでしたが、今後は相手が居ると明言したそうなので」

おいおいダイヤ公爵よ。

アルミスは優秀だし可愛いから良いけど、お前は調子に乗るなよ。

ドス黒い感情が湧いてきたが、シェル様がきちんと断ったのなら、俺は黙って居よう。

「そろそろ行きましょうか」



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