ハツカソダチ

夕暮

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命短シ

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  ふぅー、少し汗をかきながら家を出た。朝から妹が言葉の暴力を浴びせてきたせいで、私のメンタルはズタボロだ。まだ、雨は降り続いているようなので妹の傘を勝手に借りてくことにした。ピチャッピチャッと水溜まりを踏みながら、進んで行く。水溜まりに映った空はまだ乾いていないコンクリートみたいにどろどろしていた。天気のせいか、体が少し重い。私は、気分を上げるために、鼻歌を歌い始めた。雨音に合わせてリズムよく。しばらく歩いて、キャッキャッという笑い声にふと足を止め、顔を上げた。見ると、遠くでカッパを着た子供二人が水溜まりの上を飛び跳ねていた。とても微笑ましい光景に思わず頬が緩む。私達にもこんな時期があったんだなぁ。つい最近の事なのに、とても懐かしく思う。まぁ、当たり前かぁ。私達の時間は、他の人達と流れ方が違うから。そんな風に考えながら昨日のことを思い出していた。

ー「お姉ちゃん」
妹は、少し上目遣いで、なにか言いたそうに口をもごもごさせる。
「なぁに?」
妹が言いたい事は何となく分かってるのに、敢えて知らない風に応える。だって、この事は何気に避けてた話だから。今更、話す勇気がない。妹はアイツに会う事に反対なのかな...。
「あのね...あの人の事なんだけど...ちょっといい?」
「......うん」
やっぱり。言うと思った。
「ずっと、気になってた事があるの。...ねぇお姉ちゃん、あの人にはもう伝えてあるんだよね?...私達の事」
「うん、伝えてある。」
この言葉に嘘偽りはない。だって、隠しとおせる訳がない。今この瞬間にも、私の時間は皆より早く進んでいて、終わりに近づいているのだから。
「じゃあ、どうして会いに行くの!?」
ガシッと私の肩を掴み妹は言った。私を見つめる妹の目はとても真っ直ぐだった。
「私達は、他の人達とは違うの!何もかも早く進んで、早く終わる。一緒にいたら、それだけ別れが辛くなることぐらい分かってるんでしょ?」
少し潤んだ妹の瞳に月明かりが反射し、キラキラと輝いていた。その瞳は月明かりだけでなく、私の姿も水晶の様に映し出していた。私は、妹と話しているはずなのにそんな感じがしなかった。もう一人の自分に話し掛けられているそんな感覚に近かった。
「分かってる。分かってるよ。でもね、私、アイツに出会えたこと無駄にしたくないの。短かい人生だからさ、後悔したくないの。それに、約束したから」
私の今思っていることを伝える。納得してもらわなくてもいい。ただ、知ってもらいたかった、私の思っていることを。
「お姉ちゃん。あの人は優しい人だから、別れの時辛くなるのは、あの人もなんだよ」
「うん、そうだね。私が死んだら、きっと悲しむね」
「ならっ...どうして?」
「さっき言ったじゃん、約束したの」
「約束?」
そう、とても大切な約束。

ーねぇ、亜美ちゃん...

ーなに?

ー亜美ちゃんにお願いがあるんだ

ーいいよ、だから何?

ー花育てない?此所に...

ー花?

ーそう、花。綺麗な花を育てないかい?

ー(本当に馬鹿)...いいよ、花育てよ!

「私どうしても、アイツと最期まで花を育てたいの」

たまには、我が儘もいいよね...
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