マイルームから異世界転移?!二つの世界の力を使って成り上がる

破滅

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新たなる仲間と深淵の影

第二十五話 絶望の門、一筋の光明

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「止まれ!それ以上近づけば射殺するぞ!」

城壁の上から放たれた冷たく、恐怖に満ちた警告。俺たちの足元に突き刺さる矢が、衛兵たちの極限状態を物語っていた。背後からは爆音の陽動から我に返った**瘴気獣(ミアズマ・ビースト)**の群れが地響きを立てて迫る。距離はおよそ100メートル、猶予は一瞬も残されていなかった。

「くそっ!どうする翔!」
瀧が悲痛な声を上げる。彼のハイテクスーツの防御力をもってしても、あの数の群れに飲み込まれれば一瞬で引き裂かれるだろう。

「俺たちは冒険者だ!厄災に関する緊急の情報を持っている!」
俺は声を枯らして叫んだが、壁の上の衛兵たちは弓を降ろそうとしない。彼らにとって、瘴気の森から現れた得体の知れない俺たちは、魔物の群れと同じ、あるいはそれ以上に排除すべき脅威なのだ。パニックと疑心暗鬼。それはどんな強固な城壁よりも厄介な壁だった。

このままでは全滅する。
俺は覚悟を決めた。言葉で伝わらないのなら、見せるしかない。俺たちが何者であるかを。

「瀧!援護を頼む!」
「翔!?まさかお前……!」

俺は瀧の制止を聞くことなく迫り来る瘴気獣の群れへと向き直った。そして、空っぽ寸前のはずの体とシュタ、そして『水の魔石』に残された最後の一滴まで、全てのエネルギーを振り絞った。戦うためじゃない。証明するためだ。

「シュタ!見せてやれ!俺たちの力を!」

シュタが俺の右腕でシンプルな白銀の刃を形成する。その刀身に水の魔石から引き出した最後の清浄なエネルギーが蒼い光となって宿る。俺はそれを水平に薙ぎ払った。

「――浄化の刃ピュリファイ・ブレード!」

俺の剣から放たれたのは破壊の衝撃波ではない。ただ清らかに、どこまでも澄み切った一筋の蒼い光の斬撃。光の軌跡が瘴気に汚された大地に一本の線を引く。その線に触れた瘴気はジュウッと音を立てて蒸発し、飛び込んできた数匹の瘴気獣は断末魔すら上げることなく聖なる光に浄化され、塵となって消滅した。それはこの絶望的な戦場において、あまりにも場違いで神々しい光景だった。

城壁の上の衛兵たちが息を呑むのが分かった。あの禍々しい瘴気とは明らかに質の違う清浄な力。俺たちが魔物の類でないことは、この一撃だけで十分に証明できたはずだ。

だが、俺の体はすでに限界だった。最後の一撃で完全にエネルギーを使い果たし、膝から崩れ落ちそうになる。そして浄化の光に一瞬怯んだ瘴気獣の群れが、再び俺たちへと殺到しようとしていた。

もう終わりか。
そう思ったその時だった。

「――全軍、射撃止め!あの人たちを援護するよ!今すぐ西の水門を開けな!」

城壁の上から凛とした、聞き覚えのある快活な声が響き渡った。見上げるとそこにいたのは獣王アカデミーの制服を身に纏い、壁の上から必死に指示を飛ばしているミコの姿だった。

「ミコ!」
「やっぱりショウじゃん!生きてたんだね!よっしゃ、みんな、あの二人を壁に近づけさせるんじゃないよ!援護射撃、始め!」

ミコの号令一下、城壁の上から雨のような矢と魔術師たちが放つ炎や氷の魔法が、俺たちの頭上を越えて瘴気獣の群れへと降り注いだ。その援護射撃に足止めされているほんの数秒の間に、俺たちの目の前にあった固く閉ざされていた鉄格子の水門がギギギと音を立ててゆっくりと開かれていく。

俺は残った力を振り絞り瀧の肩を担ぐと、その希望の隙間へと転がり込むように飛び込んだ。俺たちが中に入った直後、水門は再び轟音と共に閉ざされる。門の向こう側から瘴気獣たちの、おびただしい数の爪が鉄格子を引っ掻く忌まわしい音が響いていた。

王都の現状と作戦司令部
門の内側で俺と瀧は泥水の中に倒れ込み、荒い息を繰り返していた。
ようやくたどり着いた。安堵と同時に凄まじい疲労が全身を襲う。「……ったく、死ぬかと思った……」「……同感だ」

「ショウ!大丈夫かい!?」
城壁の上からミコが駆け下りてきた。彼女の服も顔も煤と泥で汚れている。彼女もまたこの街でずっと戦い続けていたのだ。「ミコ……助かった。お前がいなけりゃ今頃あいつらの餌食だ」
「へへっ、当然だろ!それよりそっちのメカメカしいのは新しい仲間かい?」
ミコがハイテクスーツに身を包んだ瀧を興味津々に見つめる。「……瀧だ。こいつは俺の最高のパートナーだ」と俺が紹介すると、瀧は「このスーツのおかげで、お前らが助かったんだがな」と憎まれ口を叩いた。

束の間の再会もそこそこに、俺は本題を切り出した。「ミコ、ギルドへ案内してくれ。この厄災に関する緊急の、そして最悪の情報を手に入れた」

ミコの案内で俺たちは包囲下の王都の内部を目の当たりにした。そこは俺が初めて訪れたあの活気ある都の面影はなかった。家々の壁には戦闘の跡が生々しく残り、広場は負傷者を治療するための野戦病院と化している。行き交う人々の顔には疲労と、そしていつ終わるとも知れない戦いへの絶望の色が濃く浮かんでいた。

冒険者ギルドもまた様変わりしていた。かつて陽気な冒険者たちが酒を酌み交わしていた酒場は、今や各部隊のリーダーたちが地図を広げ怒声を飛ばし合う緊迫した作戦司令部となっていた。

俺たちはこの場の責任者であるギルドマスターの元へと通された。屈強なドワーフである彼は俺たちの姿を見ると、その厳つい顔をさらに険しくした。「……森から来た、だと?よくぞ生きて戻った。して、お前らがもたらした情報とは、何だ」

俺はこれまでの経緯を簡潔に、しかし正確に報告した。森が中心部から瘴気に汚染されていること。魔物が異常な耐性を持つ『瘴気獣』へと変貌していること。そしてその瘴気獣の弱点が純粋な属性エネルギーであること。瀧はドローンが収集した森の中心部にある『深淵の裂け目』の位置と、その規模を示す三次元マップをホログラムで投影した。

ギルドのリーダーたちが息を呑む。
そして俺が最後の切り札として瘴気の巨王から回収した『瘴気の核』をテーブルの上に取り出すと、その場の空気が凍り付いた。

希望と絶望の狭間で:最終任務の始動
ギルドに詰めていた高位の魔術師である老婆が震える手でその核に触れた。「……なんという、ことじゃ……。これはただの魔石ではない。純粋な混沌と破滅のエネルギーそのものの結晶……。〝裂け目〟がこのようなものを生み出しているというのなら、この厄災は我々の想像を遥かに超えている。これはもはや魔物の氾濫(スタンピード)ではない。世界そのものが異なる法則に〝書き換えられよう〟としておるのじゃ……!」

絶望的な沈黙が作戦司令部を支配した。
その沈黙を破ったのはギルドマスターだった。

「……だが、お前たちは希望ももたらしてくれた」
彼は俺の報告書――瘴気獣の弱点についての記述――を強く握りしめた。「そしてこの『核』……。これがあれば、あるいは……」
ギルドマスターは何かを決意したように俺の目を真っ直ぐに見つめた。「若いの。お前たちの名前を聞こう」
「神崎、翔です」
「瀧だ」
「獣王アカデミーのミコだよ!」

「ショウ、タキ、ミコ。よく聞け。我々は、この厄災の根源である『深淵の裂け目』への総攻撃を計画している。だが我々の力だけでは、あの裂け目を完全に閉じることはできん。……しかしお前たちがもたらした情報とこの核があれば、一つの、ほとんど自殺行為に近い、無謀な作戦を実行できるかもしれん」

ギルドマスターは地図の上に一つの駒を置いた。それは裂け目のまさに中心を示していた。

「浄化の力を持つ少年、ショウ。お前にしか頼めん。この街の、いやこの世界の運命を懸けた、もう一つの、そして最後の任務だ」

俺たちの戦いはまだ終わってはいなかった。
いや、むしろここからが本当の始まりなのだ。
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