マイルームから異世界転移?!二つの世界の力を使って成り上がる

破滅

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静かなる日常と、新たな絆

第四十五話 廃墟の聖域、マナの残響

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俺たちの背後で、地下トンネルが、地響きと共に、完全に崩落した。
その音を最後に、世界は、絶対的な、静寂に、包まれた。瀧との、唯一の、繋がりであった、通信機も、今は、ただの、沈黙した、金属片と化している。
俺たち、三人は、ついに、学園都市の、全ての、秩序から、切り離され、この、忘れ去られた、廃墟に、取り残されたのだ。

「……さて、と。で、この、ガラクタの山の中で、一体、どこに、Z粒子反応炉を、繋げば、いいのかしらね?」

テスラの、途方に暮れた、しかし、どこか、挑戦的な、声が、がらんどうの、地下施設に、響き渡った。
俺たちは、手持ちの、懐中電灯の、光だけを、頼りに、周囲の、探索を、開始した。
そこは、まさに、百年の、時が、止まった、場所だった。
巨大な、しかし、今は、完全に、その、動きを、止めた、機械群。壁や、床には、マナの、暴走事故の、影響だろう、美しい、しかし、不気味な、結晶体が、サンゴのように、群生している。
空気は、肌を刺すように、冷たい。北見市の、初夏の、夜の、それとは、質の違う、魔力そのものが、発する、無機質な、冷気だ。

「……ダメだ、こりゃ」
テスラは、携帯型の、アナログ式、環境スキャナーを、見ながら、肩を、落とした。
「この、施設全体が、高密度の、残留マナで、汚染されてる。その、影響で、強力な、電磁妨害(ジャミング)が、常時、発生してるんだ。私の、精密な、分析機器も、共振フレームを、作るための、マテリアル・ファブリケーターも、ここでは、起動すら、しない。……完全に、技術的な、デッドゾーンだよ」

絶望的な、報告。
俺たちは、狩人からは、逃れた。だが、その、代わりに、シュタを、救うための、手段を、失ってしまった。
その時だった。
「……待て」
と、ルリが、壁に、掛けられた、一枚の、古い、設計図を、指差した。埃を、払うと、そこに、現れたのは、この、旧・最峰学園の、中枢施設であった、「マナ・リアクター」の、詳細な、見取り図だった。
「……『中央制御室(セントラル・コントロールーム)』。リアクターの、暴走時にも、その、機能を、維持できるよう、最高レベルの、電磁シールドと、物理防壁で、守られている、区画だ。もし、この、廃墟の中で、唯一、まともな、場所が、残っているとすれば、そこしかない」

俺たちの、新たな、目標が、決まった。
俺たちは、ルリが、示す、地図を、頼りに、この、巨大な、廃墟の、迷宮の、奥深くへと、進み始めた。

だが、その、道は、平穏ではなかった。
俺たちが、中央通路へと、足を踏み入れた、瞬間。
周囲の、闇の中から、ゆらり、と、いくつもの、青白い、人影が、姿を現した。
それは、かつて、この場所で、命を落とした、人々の、亡霊、ではなかった。
百年前の、事故で、暴走した、純粋な、マナが、意思のようなものを、持ち、人の形を、模倣した、エネルギー生命体。
マナの残響マナ・エコー』。
この、廃墟が、 haunted と、呼ばれる、元凶。

「……エネルギー体に、物理攻撃は、効かない……!」
ルリが、舌打ちし、拳銃を、構える。だが、彼女の、弾丸は、その、青白い、体を、何の影響も、与えられずに、すり抜けていくだけだった。テスラの、ガジェットも、この、純粋な、魔法の、産物には、無力だ。

「――俺が、やる」

俺は、二人の、前に、出た。
この、敵の、本質は、かつて、俺が、異世界で、戦った、『瘴気獣』とは、対極。
瘴気が、淀んだ、「死」の、エネルギーなら、こいつらは、純粋すぎる、「生」の、エネルギーの、暴走体。
ならば、それを、中和できるのは、同じ、「生」の、エネルギー。
俺自身の、生命力――『氣』。

俺は、シュタのいない、右の拳に、自らの、氣を、集中させた。
そして、襲いかかってくる、マナ・エコーの、一体に、向かって、その、拳を、叩き込む。
特別な、技ではない。ただ、純粋な、氣の、塊。
俺の、拳が、触れた、瞬間、マナ・エコーは、甲高い、悲鳴を、上げ、まるで、陽光に、晒された、朝霧のように、その、輪郭を、失い、霧散していった。

俺の、學園都市で、培った、力が、この、異世界じみた、廃墟の、魔法を、打ち破る。
俺は、二人を、守るように、剣の、ない、腕で、次々と、現れる、エコーの、群れを、薙ぎ払っていった。

やがて、俺たちは、分厚い、鉛で、覆われた、巨大な、扉の前に、たどり着いた。
『中央制御室』。
そこは、まるで、百年の、時が、止まったかのような、空間だった。
巨大な、ドーム状の、部屋。壁一面に、並ぶ、真空管と、アナログメーターが、埋め込まれた、古代の、コンソール。そして、正面の、巨大な、強化ガラスの、向こう側には、今は、もう、完全に、沈黙した、巨大な、マナ・リアクターの、炉心が、口を、開けていた。

「……すごい……」
テスラが、その、光景に、息を呑む。
「ここは、外の、マナ汚染から、完全に、隔離されてる! これなら、私の、機材も、問題なく、動かせる!」
彼女は、まるで、宝の山を、見つけた、子供のように、目を、輝かせながら、古代の、コンソールを、調べ始めた。
そして、彼女は、見つけた。
壁の、隅にある、埃を、かぶった、緊急用の、主電源ケーブル。
それは、百年前の、事故の際に、閉鎖された、この土地の、力の、源泉――『龍脈(レイライン)』へと、直接、繋がる、古代の、送電線だった。

「……やった……! やったよ、翔! ルリ!」
テスラが、歓喜の、声を、上げた。
「この、古代の、マナ伝送路(ライン)と、私たちが、持ってきた、次世代の、Z粒子反応炉を、直結させる! そして、この、土地に、眠る、龍脈の、莫大な、エネルギーを、利用して、私の、全ての、機材を、動かすんだ!」

それは、あまりにも、壮大で、そして、あまりにも、美しい、計画だった。
不知火兵廠の、最新技術(Z粒子反応炉)で、旧・最峰学園の、古代技術(マナ伝送路)を、再起動させ、大地の、自然エネルギー(龍脈)を、汲み上げ、機巧院の、天才の、頭脳(テスラの機材)で、シュタという、奇跡の、存在を、蘇らせる。
学園の、科学と、異世界にも、通じる、魔法。その、全てが、今、一つに、なろうとしていた。

俺とルリは、制御室の、入り口で、見張りに立つ。
テスラは、工房から、持ち出した、ありったけの、ケーブルと、工具を、広げ、狂ったように、作業に、没頭し始めた。

数時間後。
「……できた……!」
テスラが、汗と、オイルに、まみれた、顔で、叫んだ。
Z粒子反応炉の、コアと、古代の、マナ伝送路が、無数の、ケーブルで、不格沈に、しかし、確かに、繋がっていた。

「……いいかい、二人とも。もし、私の、計算が、間違ってたら、私たちは、みんな、この、廃墟の、本当の、幽霊になっちゃうからね」
テスラは、そう、悪戯っぽく、笑うと、壁に、設置された、錆びついた、巨大な、ブレーカーの、レバーに、手をかけた。
そして、覚悟を、決め、一気に、それを、引き下ろした。

一瞬の、沈黙。
そして、工房全体に、低い、うなり声が、響き渡る。
死んでいたはずの、古代の、コンソールが、一つ、また、一つと、命を、吹き込まれたように、光を、灯し始めた。アナログの、メーターの、針が、ゆっくりと、しかし、力強く、上昇していく。
Z粒子反応炉の、コアが、安定した、力強い、青白い、光を、放ち始めた。

テスラは、その、光景を、満足げに、見つめ、そして、俺たちに、向かって、ウインクした。
その、頬についた、オイルの、汚れが、やけに、誇らしげに、見えた。
「――計画、第二段階、開始(フェイズ・ツー、スタート)!」

シュタを、救うための、最後の、そして、最も、困難な、作業が、今、この、忘れ去られた、廃墟の、中で、静かに、始まった。
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