3 / 143
確認
しおりを挟むつい、両手を握り締めて叫んでしまった。
いかんな。
それに、日本語じゃなかった気がしたのは気のせいか。木のせいか?
……
いや。確かにここは田舎のようだが、流石に山の中って事はなかった。言い過ぎた。民家に植木はあるようだ。
おっと、いかんな。こんな夜中にこんな大声出したら気味悪がられるだけじゃ済まない生死を懸けた問題に発展してしまうかもしれない。
それより俺は精子を掛けたいぜ。ぐぎゃぎゃぎゃぎゃ。
……
あれ。やはりおかしいぞ。ぐぎゃぎゃぎゃぎゃって何なのさ。くっくっくっと気障ったく笑ったはずなのに。
いかんいかん。それより今は身を隠そう。
移動だ。
時折月明かりが照らすものの、今は夜のようだ。
それでも田舎とは言え、日本全国人が暮らして居る地域ならば、街灯やら家の明かりが漏れていて、真っ暗って訳ではない。
だが、これも種族特性か、なぜかよく見える。
俺は夜行性の魔物に生まれ変わったのか?
以前よりも身長が縮んでいるような気がするし、あの声、この体。俺は、あの緑色の醜い魔物に生まれ変わってしまったみたいだ。確認したくはないがするしかない。
ステータスを開けば分かるようだが、先ずは身の安全を確保する方が先だ。
例えどんなに醜かろうとも、俺は俺だ。覚悟は出来ている。
選んだのは俺なのだから、この結果も受け入れるしかない。
でもよお。
なんで、寄りにも寄ってコイツになるんだよお。
はあ、……
手と足、腹まで同じ色だから間違いないだろう。しかもほぼ裸。寒くは感じないのは助かるが、腰布1枚だってけのはどうなんだろうな。胴は全然隠せてないぞ。この野郎。
「…………」
長い沈黙があったかもしれない。
決して長くはないちんものがあるのは分かった。
やけに細いようだが、大丈夫か?
いや。これは通常時。気合いを入れれば、きっと立派に立ち上がってくれるはず。
いや。今はそこじゃなかった。
やはり、俺はゴブリンになっていた。
月明かりのお陰で助かった。
嫌だったけど、しっかり確認する事が出来た。出来てしまった。
ぐうの音の出ないとはこの事だ。
今は、ぐぎゃの音も出なかった。
とある民家の庭先に潜み、さっきの大声を上げてしまった蛮行の成り行きを見守る事にした後。
特に動きはないようだったので、カーテンを引かれた窓際に移動して自身を写し出してみた。
犬とも猫とも、車のクラクションとも警報ベルとも違ったはずだが、そこまでの関心はなかったようだ。それとも、あんな叫び声は日常茶飯事か。それならここはかなりヤバイ地域だな。
まあ、日本人の事なかれ主義のお陰か。危なかったぜ。ぎゃっぎゃっぎゃっ。
ちっ。
やはり醜いな。夜だからと言って見難いと掛けている訳ではない。掛けたいのは白い液体だ。そこは譲れない。
どうも、この体になってから、思考も、体も、この種族に引かれてしまっているようだ。つい下品な方向に行ってしまう。
多少は下品でエロいのは元からだったかもしれないが、少なくとも、見ず知らずの人の家の庭に無断でお邪魔して、窓ガラスを前に腰布を捲り上げたほぼ素っ裸の状態で暫く静止するなんて事はやった事はない。
はずだ。こんな状態で静止して精子を出した事はあるかもしれないが、今はそこまでするつもりはない。はずだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる