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ちょいとひと休み
しおりを挟む射精の回数制限の上限に達してなければ、1発やっても体力が半減する事はなかったが、初めて味わう不思議な虚脱感があった。
レベルが上がればその上限も増える。殺り続けて行ければやりたい放題。そんな楽しい未来が待ってるかもしれないし、隙を突かれて暗い死が待ってるかもしれない。
なんて思いながらマンションの制圧を終え、俺の一時拠点と決めた部屋にやって来た。最上階の真ん中の部屋。なんとなくここをそう決めた。
元々空き部屋だったのが大きい。クリーニングしたばかりなのか、退去して間もないのか、綺麗に清掃されてたようだし、ブレーカーを上げたら電気も繋がった。スマホの充電には必要だろう。
何気にこれが今日一番面倒なミッションだった。背が低いってデメリットも大きいぜ。何事も善し悪しだな。あんな高い所に設置しやがって。
早々と入居者とご対面なんて事にならない事を祈りたいが、雌なら逆にありがたいか? そうでもないか。面倒な事になるのは違いないので、警戒は怠らないし、何があってもいいようにはしておきたい。
まさか荷物もない部屋に真夜中に引っ越して来るなんて事はないと思うから、寝る分には問題ないと考えたい。それでも見張り役は欲しいと思う。
【ファーストネームドゴブリン特典スキル】の『同種族限定名付け職業付与権』。こんなの貰ってるのだから活用もしたい。
『決して裏切らない命令を聞く部下にも出来る』なんて表示されてるだけに、是非とも早い段階でやってみたいミッションだ。名付けのセンスには自信がないが、相手はゴブリンだ。なんでもいいだろう。そう、ナンでもな。
『ゴブ』はどこかに入れなければならないって事だから、ゴブナン。うん。悪くない。そこに数字を付けていってやるだけでもいいだろう。ゴブナン1。ゴブナン2。
それか『任意の職業を授けられる』のだから、職業プラス数字でも良さそうだ。ぎゃっぎゃっぎゃっ。オレのセンスなんてこんなもの。ゴブリン共よ。悪く思うなよ。多分その時の気分で決めちゃうと思うがな。
よし。もう深夜だが、動こうと思えば動けるし、一旦休憩って思ったから部屋で休んでたのだが。
「……」
ベッドを出して寛いで居たものの、やはり1人は心配になるな。俺がやって来た事をやり返される恐れもある。
安全対策で寝る時には扉に冷蔵庫を置いてやるつもりだが、まだ行けそうだな。全人類に向けての一斉アナウンスまでの期間は10日間。ここが今後の展開に大きく影響してくるのは間違いないだろう。
ならば行くか。初日を無事に終えられそうな満足感はあるが、レベルアップのせいか、まだ全然眠くない。これもゴブリンの特性か。
注意書きもないから陽の光で溶けてしまうなんて事はないと思うが、そもそも超夜型人間だったからかもしれないな。陽の光を浴びると溶けそうになる感覚はよく分かる。ありゃキツイ。特に徹夜明け。まあいいか。
さあ。本日、第2ラウンド、始めようかね。ぎゃっぎゃっぎゃっ。
ガチャリ
鍵は無いから無施錠になってしまうが、こればっかりは仕方ない。ピッキングで鍵を開けるのは割りと簡単なんだが、なぜか俺には閉める事が出来なかったんだよな。なんでだろうな。
単純に逆回しになるからか? まあいいや。入る時に気を付ければいいだろう。
カチリ
……マジか。鍵が掛かったぜ?
あんまり意味の無い鍵だけど。
ガジッガジッ
うん。開けようとしてみたけど、しっかり掛かってる。
やっぱりやってみるもんだな。時が経てば出来るようになる事もあるってか? 種族が変われば尚変わるってか。魔物なのにな。しかもゴブリンだぜ?
器用さが上がったお陰かな。それでも『並』なのにな。ゴブリン並って嬉しくない表現だよな。ちっくしょう。
まあレベルのお陰かもしれないが、それでもゴブリンすげー。本当に爪切らなくて良かったぜ。
それでも一応、簡単な仕掛けはしておくか。雌の髪の毛を扉に挟んでおくだけだ。これでも馬鹿にならない安全対策だ。俺が忘れてなければな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。
開けようとしただけで落ちるから、これでも何もしないよりはマシなはずだ。ナニも挟んでみるか? やらねえよ。いてえだろっ。ぎゃっぎゃっぎゃっ。
これに気付く奴も居るかもしれないが、そういう奴なら警戒してそれ以上は近付かないだろうしな。多分。
俺の気持ちの問題だ。さあ。行くぜ。
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