人類を滅ぼすのが使命みたいなんですが種族がゴブリンってのはないんじゃないでしょうか

解析中

　さっきから何かやってるが、何やってんだ？

　じい～っと見られてるが。ちょっとずつ動きながら、交互に２人共。野郎にそんなに見詰められても嬉しくねえ。マジでムカついて来た。

　視姦されるってこんな感じなのかな。せめて雌にやってもらったら癖になるかもしれないが、これはちょっと無理かもな。不快感のが強い。流石の俺でもこれは気持ちよくなれそうもない。


　俺ゴブリン。更になんか馬鹿にされてる気もビンビン伝わって来るような。ゴブ棒を舐めるなよ。ちんこの方じゃないぞ。ビンビンにさせたいのはちんこの方だけど。

　今回は対人類ゴブリン専用撲殺兵器『ゴブリンの棍棒』の方だ。最低でも１撃入れて死んでやる。それくらいの覚悟で行くぜ。

　人類に対して攻撃力補正大。今こそ真の力を見せてくれ。散々見て来たな。ありがとな。


　毒ナイフもいつでも投げられるようにスタンバイ。言っても既にホルダーだけの状態で異次元収納に入れてあるから気持ちの問題だ。

　この方が油断させられるし、使い勝手もいい。俺ゴブリン。こういう卑怯な手は大好物。ぎゃっぎゃっぎゃっ。


「ファイチクン。あいつは油断してるようだからチャンスだぞ。慌てず左右から挟む形で交互に攻撃する感じて行くぞ。分かるか？」

「へ、へい。兄貴。それくらいなら分かりやす。２対１ならこっちのが有利でやんすよね。

　あっしは初めての戦闘になりやすが、人間の雄の弱点は頭と金玉。それくらいも知ってやす。任せて下さい。兄貴に貰ったこの力、今ここで発揮してやりやす」

「お、おお。そうか。期待してるぞ。ファイチクン。共にあいつを倒そうぞ」

「へい。兄貴」

　お、おお。なんて頼りになるファイチクン。変な言葉遣いが移ってしまったが、名付けて良かった。流石、ファイター。そんな事まで知ってたのな。まあ、ゴブリンでも一緒だが。

　生け贄とか囮とか、時には俺の盾となり死んで行けばいい。なんて思っててごめんよ。それはいつまでも変わらないとは思うけど。


　よし。っていうか、あいつは本当に何をやってんだ。ずっと見てるけど、ゴブリンだからって油断し過ぎじゃね？　ナイフ投げてみようかな。

　投擲術もあるし、筋力増強もさせた。致命傷は難しくても、少なからずダメージは与えられるはず。

　しかも薄暗いから避け難いだろう。外しても無限増殖機能付きだから、いくらでも出せるしな。１本ずつだけど。ぎゃっぎゃっぎゃっ。

　ゴブリンを舐めるとどうなるか、多分臭くてそんな気も起きないと思うけど、ゴブリン魂見せてやる！


「ああ。やっと全部見えたよ。隠れてた方は何かスキルとか持ってるかと思って警戒して損したよ。貴重な時間を返せよな。

　レベルが２の方が只のゴブリンで、レベルが１の方がゴブリンファイターで変な名前まで付いてるのか。初めて見たな。

　でも、少しだけステータスも高いようだけど、まだまだ誤差の範囲って感じかなあ。

　経験値も只のゴブリンよりは貰えそうだけど、まだレベルも１だし、装備がゴミで助かったのかな。ははは。

　よし。でも人間じゃ経験値は入らないみたいでレベルは上がらなかったから、魔物は残さず倒すぞ。

　よしよし。お前たち動くなよ。下手に動かなければひと振りで殺ってやるからなあ」


　ちっ。俺の気合い入れたタイミングを逸らされた。突然話し始めやがった。しかも長い解説の後、それでも油断はせずにじりじりと近付いて来る。

　あいつはあいつで自分を奮い立たせる為に呟いてたのだろう。声は大きくてよく通るが。深夜だからってのもあるのかな。ここも暗くて怖いしな。


　ファイチクンをゴブリンファイターにしたお陰で警戒感を高められたのか。でもレベルは１だとな。俺も知らない新情報をありがとよ。

　最初から１なのか、職業を与えたから１なのか。それもどうでもいいな。誤差の範囲って言ってるくらいだから、大した事はないのだろう。今はまだ。

　これで終わってしまうかもしれないが、それも仕方ない。

　俺のレベルは『２』で『ステータス評価』も固定させる事にしたからその通りだ。やるな。

　それは偽造だがな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。やはり見破れなかったか。馬鹿野郎。それは俺もか。


　恐らく鑑定か何かを取得してるって事だろうな。さっきのムカつく感覚は、鑑定されてたって事か。

　こいつにポイントがどれだけあったか知らないが、他に回す余裕は無いのが普通。であって欲しいと願いつつ。でもあの装備はそれなりに良さそうだ。

　こりゃ詰んだかもな。なんて弱気になりつつも、やっぱり見逃がしてくれる気はなさそうだ。ならばやるしかないんだな。当たり前か。