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新たな会敵?
しおりを挟むその後、店内に置いてあった大量のタバコを燃やしてやったら、しっかり自火報、自動火災報知設備が作動して、ベルの音がけたたましく鳴り響きやがった。
しっかりしてますね。それはとっても大事な装置です。じゃねえよ。俺にとっては大変危険な設備だった。知ってたはずなのに、タバコ憎さでやっちまったぜ。ゴブリン反省。
だが、今度はもう驚かない。発見したらまた燃やしてやるぜ。股には注意しながらな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。
裏口からダッシュでお逃げした。最早、俺を認識できる奴はそれなりの能力を持った選択者くらいかな。なんて思ったのに。
だいぶ離れられたから良かったが、あまり良くなさそうな雰囲気の物体を発見してしまった。
前方に、確認中停止物体発見。
あれはゴブリンのフォルムじゃねえ。耳の位置ともふり加減が大違い。二足獣って事だろうが、背はそれ程高くない。俺と変わらない位か、やや低いかも。
あれは、俺の記憶が正しければ、『小犬』って呼ばれてたコボルトだろう。犬からすれば全然小さくないのにな。まあいいや。
小汚くは見えない濃い目の茶色の毛並みだな。ゴブリンと一緒にすんなって?
それはいいだろう。もふり加減を確かめたいって気持ちはあるが、魔物って事で『人類殲滅軍』って事だろうが、問題は、こっちを見て唸ってやがるのか? そこが問題だ。
気配を遮断しようとも、俺のこの染み出す匂いまでは抑えられないか。匂いじゃねな。臭いだな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。ぐぎゃあ~
あれは敵対的行動だよな。威嚇とも、警戒とも取れるかもしれないが。
敵対するってーのなら受けて立つが、出来れば受け手で擦ってちんこを立てて欲しい。そうすりゃ直ぐに立ててやるのにな。そして出してやる。そんな事されなくても立てる自信はあるけどな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。違うか。
言葉は通じない事は分かってるのだが、それでも話し掛けてしまうのが元人間の性。出来れば穏便に済ませたいのだが。果たしてあの犬ころに知性はあるのだろうか。ゴブリンに言われてたらお仕舞いか。ぎゃっぎゃっぎゃっ。ぎゃあ?
「おい。俺を見て唸ってるみたいだが、こちらは敵対するつもりはないぞ。同じ魔物として協力できるのならそうしたいが、言葉は通じるだろうか。分かるか?」
「ガルルルルッ」
「……」
あかん。ダメっぽいな。一応距離を取って話し掛けてみたが、腰を落として更に唸りやがった。試しに顔は向けたまま、少し下がってみる。
すすすすす
「ガルッ」
「……」
ちょいと警戒が薄れたか? 気のせいか? 臭いが和らいだ? 自分で言っててなんだが、やっぱり匂いは匂いだな。結構傷付くかも。臭いって。
縄張り意識でもあるのだろうか。犬だけに。
仕様も知らないだけに厄介だな。経験値が入るならまだマシかもしれないけど、それは俺にとってもヤバイ話だろうし、これは悩ましい。
下手に手を出してしまって、その匂いとか付いてしまうと厄介だろうしな。こっちは匂いには無頓着って言うかタバコ以外は全然気にならないし、どんな臭い匂いがしててもへっちゃら。それがゴブリンの特性です。……
全然嬉しくないぜぐぎゃあ~
昨日殺った選択者の呟きだと、同じ人間殺っても経験値は入らなかったって言ってたし、それは魔物側、人類殲滅軍も同じかもしれない。
試すにしてもリスクの方が高いと判断します。決して犬が怖いって訳じゃない。事もない?
交尾に限らず、初めての相手には気を使うべきだろう。ある程度の予想は付くが、あくまでも予想だ。天気予想みたいな感じだな。外れる事も多い。あれは予報とは言わない。
奴がどんな動きをして、どんな攻撃をしてくるのか分からないんだから当然だ。ファンタジーの世界観は1つじゃない。実はすげー強キャラかもしれない。例えよくあるパターンの弱々キャラだったとしても、お互い様だしな。
……
それに、奴が雌だとするなら尚更に優しく接するべきだろう。これ、俺の哲学だ。その方が平和になれる。そんな気がするだけの哲学だが、あながち間違ってないだろう。穴がちの方が望まれる? ぎゃっぎゃっぎゃっ。
犬とやりてえとは思わないけど、気遣いはお互いに必要だと考える。それが平和への第1歩。魔物同士だけどな。
向こうはその場から動く気配はないし、唸るのも止めたみたいだ。これだけ離れれば大丈夫なんだな。俺と同じ様な思考で居てくれると嬉しいな。犬だけど。
犬だけに、素早さは厄介だろうし、俺達よりも牙が発達してるだろうし、戦ったら怪我をするのは避けられそうもない。それは嫌。
気配遮断が効かない相手は厄介です。魔法なら当たるかもしれないけど、派手にやると仲間を呼ばれる可能性もある。俺も呼べばいいんだろうけど、誰かは殺られる未来しか見えない? 今はまだ。
だから身を引くのです。別の道を行けばいいだけの話。俺、ゴブリン。いつでも引ける野郎です。
「警戒させて悪かった。敵対する気はないから俺は別の道を行く。お互い人間の殲滅頑張ろうな」
「……」
無視か。グギャグギャにしか聞こえないのか。仕方ない。
すすす
更に少し下がってみると、低くしてた体勢を戻しやがった。ふむ。やはり縄張り意識かな。言葉は通じなくとも態度は分かるってか。
別に負けた気もしないからいいけどさ。ちっ。飛び掛かって来なくて良かったとは思うけど。……。
なんだろう。魔物も同族以外は敵になっちまう可能性があるんだろうか。それならゴブリンピンチじゃね。言葉が通じて穏便に提携とか同盟を結んで事に当たりたいのだが。
やれやれ。魔物の世界も厳しいのかな。ぐぎゃあ~
まあ、仕方ない。ゴブリンはゴブリンらしく、同族の仲間を増やして力を付けるしかないか。その方が交渉もし易くなるだろうし。そんな未来が来るといいな。
よしよし。ならばここは別ルートで人間を狩る事にしよう。後ろを向いた途端に走って来るとか止めて欲しいぞ。大丈夫だろうな。
……
うん。分かる訳がない。匂いをたどれば直ぐに見付かってしまうかもしれないゴブリン。既にヤバイのか?
……
この道を行けばどうなるものか。行けば分かるだろうけど、行きません。逝くぞー。なんて気分じゃねえしな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。
見逃してくれよお~
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