人類を滅ぼすのが使命みたいなんですが種族がゴブリンってのはないんじゃないでしょうか

復活のおたけさん

文字の大きさ
54 / 143

狩りと収穫?

しおりを挟む

 雌親と雄ガキがコンビニに入って行った。

 駐車場には他の車はないし、ここから見える範囲では、他には客も居ないようだ。こいつらが客なのかは微妙だが、他には居ない方がありがたい。俺の生存率が上がるから。

 店員も、1人って事はないかもしれないが、居ても2、3人だろう。それくらいなら殺れるはず。奇襲からの投擲と魔法。そして怯んだ隙にもう1人。そんな感じのシュミレーションだ。

 実際には臨機応変。出たとこ勝負。その場の状況に合わせて動いてしまうとは思うが、ヤバイと思ったらお逃げって選択肢も忘れない。

 商品棚に隠れてからの気配遮断。そんな俺を見付けられるかな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。

 あっ。店内なら匂いで見付かるか。くせえから。ぎゃっぎゃっぎゃっ。危ねえ危ねえ。やっぱり殺るか殺られるか。そっちの覚悟の方が必要そうだな。


 タバコ臭いクソ野郎は、当たり前のようにその場にポイ捨てすると、火も消さずに車に乗り込んだ。

 こいつもさっきの奴と同じ輩。いや。それ以上か。

 それやると、タバコの逆襲を受けるんだぞ。知る訳ねえか。ぎゃっぎゃっぎゃっ。

 こいつも軽傷では済まさない。警鐘に耳を傾けるような奴でもないだろう。確実に殺す。それだけだ。

 車内に1人なら余裕だぜ。多分な。


 取り敢えず、更に低く身を屈め、サイドミラーに映らないように注意して近付く。所謂、死角ってやつだ。俺は刺客。お前を殺す資格を持つ魔物だ。なんてな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。


 捨てられたタバコが可哀想だぜ。まだもうちょっとは吸えるだろうに。勿体ない。

 だが、結構きりきりまで吸う派だったようだな。見掛けに依らず勿体ないって感覚は持ってんだな。意外だぜ。

 せこいのか、エコなのか、健康的なのか。それは意見が別れるだろう。今はどうでもいいが、そもそも吸わないのが1番だ。特に俺の前ではな。

 タバコの火はなかなか消えねえからな。マジでこれで火災になる事もあるんだぞ。以後気を付けな。以後はねえだろうがな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。

 白い煙が線香のようにも見える。良かったな。これから自らの逝く先を示してくれてるぞ。なんてな。上に逝くとは限らんか。真っ逆さまかもな。


 ゴブリンにとっては調子くれたシャコタン車はありがてーな。窓も全開で片肘出してやがるから余裕で中も確認できるし手も届く。


 いきなり「ゴブリンカッター!」

 シャンッ! スパンッ!

「いあっ! なっ!」

 ドバッ どばばばば~~

「あっ、あっ、あ、あああぁ~~っ!」

 クソ野郎。勘違いしそうな悲鳴を上げんじゃねえ。

 頸動脈を切断できたようだな。良かったぜ。流石に骨までは行ってねえと思うが、やはりこれ位なら切れるよな。ゴブリンカッター舐めんなよ。

 危うくきったねえ液体浴びる所だったぜ。このクソ野郎。どうせ浴びるなら雌汁にしてくれってな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。

 そろそろいいか。おっ。逝ったか?

 目が死んでるってのは、この事を言うんだな。実際死んでるなら当然か。ぎゃっぎゃっぎゃっ。

 赤い血もきったねえなあ。こいつに似てどす黒いぜ。お似合いの死に様だ。これも餞別だ。取っときな。釣りは要らねえぜ。お前の吸ってたタバコと、

 ぽいっ

「ゴブリンフレイム!」
 
 ブワッッ! ……ボワッ!!

 車内に色んな物資が積まれてるようだから、これもよく燃えるだろう。俺は萌えないがな。あばよ。

 次だ。急げ。

 店内に駆け込む。すると目の前でナニやらお取り込み中のようだった。お陰でこっちには気付かれなかったようだ。来客チャイムは鳴ったがな。

 先ずはクソ女郎か。こっちに背中を向けてる女郎の延髄に向けての投擲から、応対中の店員にはゴブリンファイヤー。そして、その奥に居た目が合った気がするクソ雄ガキには、お試しのゴブリンブラストの3連撃。

 ドシュッ!!

「ぎゃっ!! ……」


 バシュン!! …… ドンッ!!

「あぐっ!! ……」


 ブワッ! ………… ドンッ

「うわっ!」

 ふっ。クソ女郎と店員は1撃必殺。奥のクソ雄ガキは空気に押されて軽く吹っ飛んだ感じだ。子供だから効いた感じの威力だが、体勢を崩して座り込んでいる。

 その弾みで包丁は手離したようだ。所詮はガキ。初戦ではなかったようだが、ここまでだ。容赦はしない。

 止めを刺すべく駆け寄って、ゴブリン怒りの棍棒を振り下ろす。今度はいい親の元に産まれられるといいな。あばよっ。

「っ!」

 グジャッ! ビチャッ どさっ

 はい。3丁上がり!

 人を殺るって事は、殺られる覚悟も必要だぜ。ガキんちょよ。殺ってはなかったのかもしれないが。もう遅い。


 他の店員は? ……

 奥か? まだ居るぞ。雄の匂いで残念極まりないが、気は抜かない。一気に殺る! 通報される前だとありがたい。

 バックヤードに1人居た。全く気付いてないようで助かった。結構な音はしたと思うけど、ご老人が1人。オーナーか? まあいい。これが最後のお勤め。お疲れ様でした。

 ゴッガッ! グジャッ どさっ

 よし。他は居なさそうだな。

 コンビニ経営なんて大変なお仕事。ありがとうございました。勿論、勝手な思い込みだけど。

 今回は未遂だったが、そのうちきっとここもまた、食料品や日用品目当ての人間の襲撃を受ける事になるだろう。それもあるあるだ。

 人間に殺られるか魔物に殺られるかの違いだったんだ。どっちも不幸だな。笑えない。

 まあ、結果としては元人間、今魔物の俺が襲撃した事になる訳だが。こんな幕引きも良かったのかもよ。良かあねえか。ぎゃっぎゃっぎゃっ。お疲れ様。


 さて。一応、防犯カメラの録画装置は処理しておくか。どうせ見付かってもどうしようもないとは思うが、それでも俺の脅威は秘匿すべきだろう。胸囲なんて測ってないけどな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。

 機械なんてもんは、物理的破壊、アンド水浸し。これが1番さ。

 棍棒からの、ゴブリンフロー。しっかり奥まで浸かってくれた事だろう。奥まで届けてこそだしな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。

 なかなかいいじゃないか。ゴブリンフロー。俺も見倣おう。奥までじんわり浸してやるぜ。こんなに出せるかな。なんてな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。

 フローはフローでも、不労なんていい響きだけど、浮浪は嫌だな。絶賛浮浪してますが。あっ。マジシャンに就いてんだった。しかも正確にはフロウだし、全然違うわな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。


 おっと。流石にここまでやっときゃ大丈夫だろう。さあ、急げ。警察とか他の客が来る前にお逃げだぜ。

 だが!

 基本は飲み食い要らずだけど、酒とつまみ、缶詰類の回収だけはしておこう。祝杯は魔物になってもいいもののはずだ。俺の中の人間性が叫んでる。たまには飲もうぜってな。玉はないのにな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。

 そんなの関係なしで落ち着いたら1杯やりたいぜ。そしていっぱいやりたいぜ。ってな。


 飲み物なんかは箱ごと裏で冷やしてくれてるからありがたい。これは報酬だ。俺、お疲れ様さん。

 選んでる時間はないから適当に。異次元収納空けといて良かったぜ。

 まるっと棚ごと。まさかこんな大人買い、じゃねえや。大人回収が出来る日が来ようとは。雇用してもらえそうだよな。この能力。こんなゴブリン雇いたくねえか。ぎゃっぎゃっぎゃっ。


 あっ。お菓子と甘味も頂いておこうかな。そうだな。あっても困るもんじゃねえし、下手な店より旨かったんだよな。俺の味覚では。値段も手頃だし。

 期限切れてもゴブリンなら簡単に腹は壊さないだろう。そこん所どうなのかな。まあいいか。毒味する奴も居るしな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...