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新たな名付け
しおりを挟む「っ!!!」
閃いた!
ヒラメが居た訳じゃない!
……
そうだ。名前を付けてしまおう!
種族は違うから、【ファーストネームドゴブリン特典スキル】は反映されなくとも、ペットに名前を付けるのは当然の行為。
例えそれが野良犬だろうとも、ここで会ったのが運命って奴だ。ここから動けないっていうなら仕方ないけど、普通に走って来たしな。多分大丈夫だろう。俺達にもそんな制限はないみたいだしな。
嫌なら無理に連れてくつもりはない。血の涙を飲んで別れよう。でも、名前は付けちゃうぞ。呼ぶのは自由だ。それくらい、今の荒んだ心には必要なんだ。
ゴブリンの心なんて、ほぼやる事しかねえけどな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。
ゴブリンの場合は『ゴブ』をどこかに入れないといけなかったけど、この場合は関係ないだろう。でも、名付けは不得意な俺。自覚してるだけまだマシな方だろう。
だから、コボルトなら『コボ』か『ボルト』を入れればいいんじゃねって発想になるんです。そして決めるのです。
「お前は名前付いてるのか? なければ『コボチャン』て呼んでいいか? コボルトのコボチャンだぞ。ダメか?』
ゴブリンとは一緒にしないぞ。そこだけは拘りだ。大した拘りじゃねえか。
雄か雌かは問題じゃない。可愛いものにはちゃん付けの方がいいだろう。多分雌っぽいし。ちんこが無ければ雌だろうって考察だ。深いだろう? 不快かい?
意味が分からなそうにじっとしてるが、可愛いぞ。こりゃ不味いな。離れられるかな。
俺の中では、正式名『コボルトイチチャン』。職業には就けられないからここまでだ。かなり略して呼ぶ事になる。増えたらまたその時考える。
股?
やっぱりちんこは見当たらないから尚合ってると思う。『サン』じゃ合わないし、全部片仮名だから大丈夫。
ナニがとは言わないが、名付けは自由だ。被っても仕方ない。ナニがとも言えないが。
「……ガウッ!」
暫くの沈黙の後、元気に返事をしてくれた。ちんこは無いからちん黙。深いな。
「おっ。そうかそうか。大丈夫か。じゃあ、今からお前はコボチャンな。よろしくな」
「ガウッ!」
意味が分からなそうに頭を傾けてたけど、面倒になったか理解したかのどちらかだろう。そう解釈する事にした。
しっかり返事もしてくれて、尻尾も猛烈にふりふりしてくれているのだからそうだろう。これは受け入れてくれたって事で合ってると思う。違っても遅いがな。
ちっくしょう。可愛いぜ。これが本当の畜生か。魔物だけど。
もう雌って事でいいと思う。流石に見せてくれとは言えないし、敢えて見たいとも思えない。犬だしな。
結構ワイルドだった顔付きが、気のせいか穏やかになった様に見える。より従順な犬っぽい。いい事だ。
やろうと思えばやれるだろうけど、二足歩行だから、見ように依ってはカップルに見えるのか? ゴブリンとコボルト。
うん。弱々同士、お似合いかも? まだ弱いって決め付けちゃダメか。弱々はゴブリンだけってか? ぎゃっぎゃっぎゃっ。ぐぎゃあ~
これは、やったら獣姦って事になるのだろうか。魔物同士でも、そんな概念はあるのだろうか。
まあいいか。今のところ全くそんな気にはならねえし。可愛いけど、それはペットとしてだしな。中にはオナペットにしてる奴も居るみたいだけど、俺は無理だった。
多分、ゴブリンになっても無理だと思う。多分だが。自信はない。舐められる位ならいいのかも? 別の意味で気持ちがいいのかも。穴の大きさにも依るか。ふむ。
これぞ新境地。これは開拓せよとよ天啓か?
「……」
そんな目で見たら嫌だよな。ごめんな。コボチャン。こんなゴブリンで。仕方ねえよな。言ってもゴブリンだし。ぎゃっぎゃっぎゃっ。
「じゃあ、行くか」
「ガウッ!」
こいつ、やっぱり俺の言葉が分かるのか? 普通に反応してるけど、そして普通に歩いて付いて来てるけど。マジで一緒に来るんだな。縄張りは? お役目は? 仲間は?
まあいいか。来るなら来るで、しっかり受け入れてやろう。それが飼い主の責任だ。俺は捨てたり暴力振るったりはしないからな。当然だが。
囮とか、盾役は他に居るからな。スカウトのスイチクンのように動いてもらう事はあるかもしれないけど。哨戒任務担当って事で紹介しようかな。
……
何だろう。気のせいかもしれないけど、嬉しそうに俺の後ろを少し離れて歩いてるけど。首輪も、リードもないけど、お互い二足歩行だけど、普通に犬を散歩してる気になるな。
すげーな。コボルト。これが特性か?
よく言う事を聞く、しっかり躾られた飼い犬のようだ。なんか嬉しい。ゴブリンじゃないからか? 雌だから?
それもあるだろうけど、やっぱり新たな仲間って感じがしていいな。嬉しいぜ。コボチャンがどう思ってるかは知らないけど。餌をくれるゴブリンって事でもいいな。
うん。全く問題なし。雑食なら尚よしだけど、これも試すしかないな。
あっ。皆に先に伝えておこう。いきなり連れてったらびっくりするだろうしな。うん。
取り敢えず、1度戻ろうかな。それともコボチャンの性能を確かめるべく、ちょいと狩りをしてみるか。性能って言ってもそっちの性の能力じゃない。ぎゃっぎゃっぎゃっ。
やっぱり雌ならなんでもやりてえのかな。俺、ゴブリン。それが専門職?
「ガルルルルッ」
「ん? どうした、コボチャン。いきなり唸って」
はっ! 索敵能力は俺の雄雌感知嗅覚より鋭いのか? 犬だけに、ゴブリンには負けんってか。魔犬だけに?
……
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