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1. 異世界デビュー
町歩き3 ポーション専門店2
しおりを挟む暫く待ってはみたものの、流石は理想的で素敵な美男美女のエルフの夫婦が営むポーション専門店。中々人が途切れない。
俺は何かを買いに来た訳でもない。ただ、顔を出すと約束したから来ただけの男。だからお客さんを優先して順番を譲ってたんだけど、流石にもう堪えられません。
見てても飽きない顔立ちだとは思うけど、商い中だから気を使ってみたけど、それでもやっぱり野郎に興味は無いやろう。2つも掛けてみた。分かるかな?
……
どうも、奥さんのクリスティさんは不在なのか、ずっとケビンさん1人で応対していらっしゃる。だから忙しいみたい?
だからいつまで経ってもゆっくり話せるような状況にはならないみたいだから、今度は順番を譲らずに、そのまま列に並んでひと言告げてお暇する事にした。
これでも約束を果たした事にはなるはず。俺の方は特に用はないから、それでよしとして下さい。
時間は無駄にしちゃダメ。どうせぼおっとするなら、ぼおっとする体勢をしっかり整えてからぼおっとしていたいって話。違ったか?
「随分お待たせしてしまってすみませんでした。ずっと声も掛けられなくて重ね重ねすみません」
しっかり気付いてはいたのか、俺の番になった途端にそう言って何度も頭を下げてくれた。
いい人やあ。この顔で、この体格で、この声で、この性格。俺に勝てる要素など、逆説攻めするしかない世界。
トランプゲームの大富豪なら、革命起きなきゃなんともならない世界。そんなチャンスは現実には無いだろう。あっても直ぐに革命返しされそうだ。
「いえいえ。これだけ忙しそうにされてたのですから仕方ないですよ。商売繁盛は良い事です」
せめて善い人って所では、これ以上の差をつけられたくない。これも偽善。俺はそんな男。
「それはそうなのかもしれませんが、お恥ずかしい話しですが、妻が研究に張り付いてしまいまして、もうも少しだからと言って部屋から動かないのですよ。それでこの有り様なのですよ。ははは」
おう。それは俺のせいでもあったのか。それまた失礼しましたか。でも、それとこれは別問題。俺は悪くないはず。
やはりクリスティさんは、そっちの人だったか。やり出したら止まらない。出来るまではそう言い続けて引っ張っちゃうタイプ。皺寄せが来るのは旦那さんであるケビンさん。御愁傷様でございます。
「そうでしたか。それはそれは、何と申し上げてよいやら。お疲れ様です。お邪魔しても悪いですし、私はひと事声を掛けに来ただけですから、これで失礼させて頂きます。
明日にはこの町を出る予定ですので、クリスティさんにも宜しくお伝え下さい」
「ああ。そうでしたね。申し上げございません。例の話なのですが、仮登録が承認されましたので、それで掛かり切りになっているのですよ。
良い報告が出来るようになり次第、全国のポーション専門店には伝えますので、町に依った際には是非お店の方にも立ち寄ってみて下さい。
妻にはモルトさんが来て下さった事は話しておきます。態々お忙しい中ありがとうございました」
惚れてまうやろう。普通なら。女だって言われたら惚れちゃう自信がある。これは野郎だこれは野郎だこれは野郎だと、3回言い聞かせて思い留まれた。良かった。
「分かりました。ありがとうございます。程々にと伝えても意味がないのでしょうが、一応、回復薬を作る側がそれで体調を崩したら笑えませんし、周りに悪影響を及ぼしても良くないと思いますよ。とお伝え下さい。では、失礼します」
「そうですね。よくお分かりで。ですが、伝えるだけは伝えてみます。ありがとうございました。では、モルトさんの旅が良きものにならん事を」
ちょっと惚れた。これは仕方ない。その笑顔、心遣い。誰でも惚れるやろ。掘れるやろ? 俺は嫌だけど。
だから掘られる前に店を出た。そんな笑顔ではなかったと思いたい。奥さん居るし。
そうか。仮とは言え、新商品として登録されたのか。後は実物を完成させるだけ。それで籠って研究してるのか。
伝える事は伝えたから、それ以上は何も言うまい。こっちの労働環境を当てはめば、ほぼ皆ブラック企業だとは言え、自分の意思でやってるのだからいいのだろう。
そもそも経営者にはそんな概念関係ない。全て自己責任。俺には責任はないはずだ。だよね?
マジックポーチの容量を確かめたかったが、使って確めろって事だったし、お客さんも居たから仕方ない。その分のお礼を考えようとしてたんだけど、それもいいか。
色々含めての取り引きだった訳だし、俺はアイデアを提供したって事で納得しよう。ありがとうございました。
またこの町に来る事があれば寄る事になるだろう店。ここにも1つ出来ました。素直に嬉しい。
はっ! でも、でもでもでも。クリスティさんのお胸。エルフのおっぱい事情を確認出来なかったじゃん!
ま、まさか、研究してるってのは口実で、実は俺の思惑に気が付いて隠れてるだけだったとか?
ないな。ないない。胸もない?
うん。歩いてるエルフの女の人発見。ありません。すとんと一直線。お見事。
スカート履いてるから女性で間違いないだろう。そういう趣味の野郎だったら別だけど。男だと言われても信じるつもりはないけど。
他にも、ワンピース着てる人も居た。スタイルは抜群だけど、出っ張りがない。残念とは思わないけど、バランス的には、顔とのプロポーションも取れてるからいいのだろう。
何でも受け入れられてしまう種族だ。素晴らしい。是非とも、もっとお近付きになりたい。物理的に。そして密着して色んな所を押し付け合って合体させたい。あそこもそこも。
なんなら、独りで旅するつもりだったけど、エルフのパーティになら入りたい。パンティにも入りたい。見てからにしたいけど。
道すがらお見受けする限りでは、やはり『ない』。そういう仕様みたい。でも、ハーフエルフとかダークエルフとかの検証はまだだ。まだ終わらんよ。俺の異世界おっぱい事情検証の旅は。まだまだこれからだ!
さ。予約に行こう。
花街じゃない。お食事処。
昨日、SSのプロフェッショナルな店員さんに教えてもらった店の1つ。『懐石料理 梅桜』。恐らくこの町1番の高級料亭かと思うって言ってたお店。
お昼もやってるみたいだから、夜より昼のが安く済みそうだから、行ってみる事に。その後に花街に行けるってのもある。あるある。
よっし。今日も気合いが入って来た!
すんなりお店も見付かりまして、聞いたら皆さん知ってまして、簡単に辿り着く事が出来ました。
昼は特に予約も必要ないらしく、それでも1席押さえてもらいました。
それでこれまた広場へゴー。お昼までマジックポーチへの温か料理収納タイムです。容量の限界を見せてみろ。って、時々ワインを飲みながら。行き交う人達を眺めながら。
……
……
結構買ったなと思う。どんだけ食うんやねん。って突っ込みが聞こえて来そうな位は買ったと思う。自分でもよく買ったと褒めてやりたい位。
人に依っては無駄遣いと言うだろう。だが後悔はしていない。公開する事もない。
ただ、マジックポーチや。お前はどんだけ収納出来るんだい?
その問いに返る言葉はない。お時間となりましたので、本日のお買い物タイムはここまで。
グリーンリー夫妻、ありがとう。エルフ、大好きです。前からだけど、もっと好きになりました。花街に居ないかな。あったかな? 専門店。
さて。
予約時間になりそうだから移動しましょうか。
この町最後の散財。いや、この後も真の散財が待っている。待っててくれ。花街よ。エルフのお店がなくても行くからな。
『懐石料理 梅桜』よ。懐石料理の定義とは? なんて聞くつもりはない。
その昔、辞書でも、ウィッキーさんのペディアでも調べた事がある。俺が思ってたのと違って驚いた事がある。だからいいだろう。
要は、腹が満たせればいいのだろう。極論すれば、見方を変えれば何でもありさ。味方になる意思があればそうなるさ。だからいいのさ。これもあり。
こっちの世界では、この様に発展したのだろう。俺はそう解釈した。
外国人に聞きました。好きな日本料理はランキングに乗ってきそうなラインナップが出て来た。それも少しずつ。高そうなお皿に盛られて。女体盛りはなかった。
寿司、天ぷら、富士山。
刺身、ラーメン、神社。
唐揚げ、カレー、温泉。
おそば、焼き鳥、秋葉。
なんでも有り。まさに、日本代表のオンパレードやあ! 4列共3個目がおかしいけど。それは食べ物じゃない。何となく並べただけ。
流石、この町1番の高級料亭と言われるだけの事はある。こんなの食べられたら、もう、料理無双は無理そう。
……
ちょっと厳しかったか。前にも思ったけど、棲み分け出来てるのだから、それなりにニーズがあって何よりだけど、米も味噌も醤油もあるのは有り難いけど、ちょっとだけ残念に思ってしまう。
マヨネーズに依るこれうめええぇも出来ないし、揚げ物無双なんてやってみたかったのに。納豆まであったら、もう俺の入る余地がない。と思う。
俺の、夢の楽々不労所得生活は、そんな甘いものじゃないようだ。甘味もそれなりに充実してるし。
先人に感謝だけど、味覚については全く問題ない世界で良かったけど、それも金が全て。金がなければ食べられない。当たり前だけど、お昼に5,000ジェニは高いと思ってしまう庶民的な俺。酒は飲んでない。
でも旨かったから、馬は買ってないけど、また来たいと思った。何かの祝いで、お疲れ様会で、事ある毎に通いたい。
やはり稼がないと。行商頑張ろう。明日から。今日はこれまでのお疲れ様会って事で、悔いの残らぬようハッスルしに行くのです。そして残さずイくのです!
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