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1. 異世界デビュー
町歩き3 ほっとひと癒やし
しおりを挟むがっつりクリーンを掛けまくる。特におちんちんには念入りに。獣臭がする訳ではないと思うけど、全くなんの問題もなかったけど、色んな獣人さん達と繋がっちゃったから、全身も念には念を入れてクリーン。
体内にあるかもしれない不穏な病原菌にまで意識を向け、変な病気にならないように祈りながら発動させたりもした。こういうのは気持ちの問題もある。
でも、気持ち良過ぎて、ちょっとだけ息子が反応したとかしないとか。何事もやり過ぎはよくない。ナニ毎だけに。
現在16時30分前。暗くなるにはまだ早い。かと言って、ナニかを精力的にこなす気もない。ナニも。
精力使ったし、ゆっくりまったりしたい。これ本音。
こっちも風呂屋はある。所謂、銭湯。戦闘する為の場所じゃない。公衆浴場。公衆の面前で欲情する施設でもない。まだそっちの趣味には目覚めていない。
ある程度の人口がある町ならば、最低でも1つはある。生活魔法のクリーンはあるが、やはり湯船に浸かるというのは、それとは違った心地良さがある。
公衆衛生の為や、癒やしの場、ストレス発散の施設としても活用されているようだ。
今泊まっている宿には風呂がない。猫は水が嫌いだからだろうか。そこは確認してなかった
昨日は花街のSSで風呂に入れたが、小さかったし、ゆったり足を伸ばして入る事は出来なかった。棒はがっちり伸ばして入れられたけど。
1度味わってしまうと、やはりまた入りたくなってしまうのが元日本人。股に入れたくなるのがこの1本棒。
残念ながら、男女別だし、そんなサービスはない。だだっ広い子供用プールみたいな浴槽と、蒸し風呂、サウナがある位。
足を伸ばせるどころか泳げるが、やはりそれをやると親に怒られる。そんな光景はどこでも見られるのだろう。
なんて解説してる内に入浴シーンは終了。おっさんの入浴シーンが気になる奴が居るだろうか。
どいつもこいつもブラブラぶらぶらさせやがって。俺はブラなら見たいけど、そんはブラブラは見なくない。
皆さんご立派で。いやいや。見たくなくても視界に入ってしまうのだから司会してしまう。そんな死界は嫌だ。
平和って大事。平穏って素晴らしい。
何事もなく、若干不愉快な思いもしたが、それはお互い様。かなり心地良く過ごし、癒やされた。
風呂上がりにまたクリーンを掛けまくったけど。股だけじゃなくて全身に。色々浮いてたから仕方ない。
夕食はまた『おふくろの味 八重亭』に行き、美味しく、肉じゃが定食、単品の揚げ出し豆腐を追加して堪能した。
反省を活かしてルートの確認はしておいたから、不安を感じる事もなく宿に戻る事が出来た。人通りもそれなりにあったからというのが大きかった。人は独りでは困る事が多い。これ格言。
これでこの町の滞在が終わる。明日は朝一で鍛冶屋に行って町を出る。俺は大人だけど、明日に興奮して寝付けない。なんて事にはならないように準備を整えてから横になった。
眠れなくても横になるのが大事。この理論も紆余曲折あったけど、眠りたければ妄想を極めればいい。いや、瞑想すればいい。直ぐに眠れるようになる。
瞑想出来なくても寝付けるから、これは凄い。
瞑想出来るようになっても凄いし、出来るようになる過程でも安らかな眠りを提供してくれる。これはいいものだ。試してみる価値のあるものだ。
そして、レベル5の瞑想術は伊達じゃない。
…………
………
……
…
.
* * *
結局、この宿の薄味には慣れなかったが、町で仕入れたマイ調味料を加えてやる事で解決出来た。店には失礼かもしれないが、味覚は人それぞれ。許して欲しい。
一応こっそりやってたつもりだが、分かってたみたいだ。そんなに気を使わなくて大丈夫ですよ。なんて天使のような笑顔付きで教えてくれた。
看板娘とはこのような娘の事を言うのだろう。店主とは大違い。それも人に依るのか。
「味覚の違いは仕方にゃいが、うちではこれが標準だにゃん」
文字だけ見れば可愛いが、それを全く可愛いとも思えない太い声で、厳つい風貌のおっさん猫が言ってもぴくりとも反応しない。息子同様気が抜ける。
つい、こうして突っ込みたくはなるが、それはあっちの娘さんにであって、野郎猫にではない。何でだろう。ナニでだろう。
最後は招き手で「また来てにゃん」位の挨拶は欲しかったが、それもなかった。残念過ぎる。
安心して眠る事は出来たから礼は言って宿を出たが、風呂の無い理由は聞かなかったが、『寛ぎの宿 猫の尻尾亭』。次は無い。だが、あの娘だけは有り。
何処にも寄らずに鍛冶屋へ。
朝一だというのに、既に営業中。鍛冶屋の朝は早いのか。そもそもこっちの朝は皆早かった。
俺が来ると分かっていたからか、流石に何かを打ってるって事はなく、直ぐに応対してくれた。
「おお。モルトか。やはりお前を見ると酒が飲みたくなるな。だが今は仕事の話が先だな。これが注文の品だ。確認してくれ」
そう言ってゴトゴトと作ってくれた物を並べて行くドノバン。おはようも無しでこれだ。これがドワーフ仕様か?
ドワーフの感覚は分からない。相手にしみれば同じ様な事を言われるのかもしれないが。前は初対面で名前で反応したはずだが、2度目でこれだ。
まさか顔を見て酒が飲みたくなると言われる日が来ようとは。雇用なんかしたら大変そうだ。ドワーフには気を付けよう。
だが、ドワーフとは酒を飲んでから話をした方がいい。これはよく分かった。ありがとう。
・鍬、鋤、鎌、×3ずつ
・ナイフ ×10
・包丁 ×10
・砥石、ヤスリ、布、コーティング剤等の入った武器や防具、金属類の簡易メンテナンスキット ×3
今回は、これだけ用意してくれて、お値段45万でいいそうだ。
まる2日あったとは言え、優先順位は低くていいと伝えたはずなのに、飛び込みの仕事でこれだけ仕上げてくれたのは有り難い。流石と言うべきか。
顔色は、……。よく分からないけど、無理してなければいいか。野郎だし。ポーション専門店のクリスティさんもそうだったが、こっちの人達は仕事好きが多いのかもしれない。
趣味と実益を兼ねているのかもしれないが、この人達が特殊なだけなのかもしれないが。種族もエルフとドワーフで特殊だし。まあいいか。
1つ1つ手に取って確認してみるが、正直、素人の俺にはそこまでの違いは分からないが、重厚感はあるのに重さを感じない。初めて持つはずなのに、手にしっくり馴染んでくるようだ。これが匠の技なのか。
それに、簡易鑑定君も教えてくれる。ドワーフの鍛冶師が打った銘品。これは凄く良い物です。と。
銘も入っているからか? いや。品質も極上と出る。売るのが勿体無くなるくらいの物だが、行商人なんだから売らなくちゃ。
1つは俺用に取っておこう。包丁とナイフだけ。
「これは凄いな。俺でも凄い品だと分かる。この手に伝わってくる感覚。農作業は手伝いくらいしかやった事はないのだが、これなら負担が掛からずに作業出来そうだ。
ありがとう。ドノバン。どれも素晴らしい1品だ。この包丁とナイフは1つずつ俺が使わせてもらうよ」
全て正直に話す。職人に対して嘘を言うつもりはない。ヨイショする事はあっても、ここまでの職人にそれは意味がない。なんて、格好付けてみただけ。
「お、おお。そ、そうか。そりゃ良かったぜ。ま、まあ、なんだ。問題ないようならいい。それに、モルトが使ってくれるって言うのは嬉しい、ぞ。がっはっはっ」
デレたのか? デレちゃったのか? ドノバンよ。ちょろいぞ。だが、正直な感想に正直に返してくれたのか。俺も嬉しいぞ。がっはっは。
「ああ。大事に使わせてもらう。ありがとう。安過ぎな気もするが、ドノバンがいいなら何も言わないぞ」
「はっ。値段はそれでいい。それよりメンテナンスが必要になったら持って来い。俺が直してやる」
やはりデレたのか。それはここに来いって事だよな。野郎に言われても嬉しくないが、何故かドノバンに言われるとそうでもないような。
だが! 決して野郎に興味はない! そこは揺るがない! 変わらない!
「ああ。分かった。その時は頼む」
ちょっと格好付けながら、手付けで10万ジェニ渡してあったから、追加で35万ジェニを払う。
きっちり上限の50万ジェニに届かない45万って所も俺の琴線に触れてくる。こういう感覚の人達とは気が合う。はず。だといいな。
酒の話だけでなく、仕事に対するの感覚まで共感出来るなら、きっと良い取り引き相手になれると信じたい。それ以上の仲は望んでない。本当だ。
材料費は掛かるからって事でこの値段になったらしいが、技術料とか燃料費とか、その他にも様々な経費は掛かっているだろうに、飲み代なんかを入れられた日には値引きなんか出来なくなるだろうから止めて欲しいが。
それでも他との調整もあるからと、基本的にはこれからも全部5掛け。出来る範囲でのサービスは付けるって事になっていた。
その辺の話はこれからだと思ってたし、言われるまで特に決めてなかったと思い出したのだが、いいと言うならいいだろう。
俺にとってはこんなに有り難い事はない。マイナスにならなければ特に言う事はない。生きて行く為には金は必要だ。お互いに。
しかも、ドワーフの作った製品は物が違う。全てに銘、刻印付き。これでこの製品はドノバンが作った物だと分かる様になっている。保証付きって事ではないが、信頼の証。こういうのっていいなって思う。
あからさまにどーんって名前を打ち出しちゃうのは粋じゃないと思うけど、然り気無くとか、こんな所にあったのかって感じのロゴとかだったら格好いいって思っちゃう。
そんな感覚を持ったおっさんです。賛否両論は認めます。ご自由に。
「また珍しい酒が入ったら来てくれ」
飲みが始まる前に出発しようとした俺に掛けられた言葉がこれだった。泣けるじゃねえか。ドワーフも好きになったかも。勿論、人間的にって意味で、肉体的にはノー・サンキュー!
どん
「こいつは荷馬車に置いてあった物だ。俺には旨いと思えないアルコール度数のビールだ。ドノバンなら問題ないだろうが、仕事終わりに飲んでくれ。いいか。仕事終わりにだぞ。じゃあ、またな」
「お、おお。そうか。ありがとうよ。またな。……ゴクリ」
男にさよならは言わない。股も関係ない。これで本当の最後になるかもしれないし? ビールを1瓶置いていった。
荷馬車には何も置いてない。朝用意した物だ。格好よく立ち去る為に、アルコール度数を50%にしたやつを製造しておいた。
反応は知らない。冷やしてもないし、直ぐには飲んでないと思いたいが、……。どうだろうか。もの凄い生唾を飲み込む音が聞こえたような気がしたが。
最後まで俺の方を見てなかったとは思うが、それはデレからか、ビールのせいなのか。
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