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序章
プロローグ
しおりを挟むその場にたどり着いたとき、少年は膝から崩れ落ちた。
「パ……パパ……?」
掠れきった声は、ちゃんと空気を震わせたのかどうかも怪しかった。口の中がからからだ。舌も口蓋の内側にはりついて、ほとんど言うことをきいてくれない。息はしているつもりなのに、酸素はちっとも肺に入ってこなかった。
がれきと化した飛行艇の残骸をめちゃくちゃに掘り進んだ指先は、すっかり爪がはがれて真っ赤に染まっている。しかし、不思議と痛みは感じなかった。
外から舞い込んだ砂粒が、煤けたがれきの上にうっすらと膜をつくり始めている。
爆発の影響でねじ曲がった筐体の端から、剥がれ落ちたケーブルや何かがだらりと垂れさがり、風にぶらぶらと揺れている。
少年は這うようにして、求める人のそばに近づいた。
とはいえ相手は、すでに人の形などしていない。
もちろん、少年の呼びかけへの返事もなかった。
(パパ……パパ)
そんな。
ウソだ。
パパがいなくなるわけがない。
僕のパパが。あんなに強くて素敵なパパが──。
「や、だ……イヤだ」
自分にとってはたった一人の。
「たいせつ」なんて言葉では、とても表しきれないほどの。
あなたがいなくなってしまったら、自分はこの惑星で、どうやって生きていけばいいというのか。
「パパ……。パパああああ──っ!」
喉から、血がほとばしるのではないかと思った。
その大きな絶叫とともに、少年の意識は白くはじけた。
その叫びを聞くものは、
ただ林立する岩塊の柱の間をぬって吹く、
無機質な砂の風ばかりである。
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