家族ごっこ

ハルノヒ

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母子ごっこ5〜 赤ちゃんごっこはもうしない

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礼央は自室での勉強が終わり、水を飲みに1階に降りてきたそうだ。

「父さん今日も深夜回るみたいだし、先に寝たら?」
と冷蔵庫から取り出したペットボトルの水を飲みながら何事もなかったように礼央が言う。

(あれ?さっきの自慰行為バレてなかったのかな?)

礼央は持っていたペットボトルをソファ前のロウテーブルに置き、里穂の隣に腰掛ける。

「ねぇ母さん」
と顔を近づけて言う。

また『えっちしよ?』
って言われるのかも……

里穂は少しドキドキしながら答える。
「な、なに?」

礼央は里穂の肩に手を置いて覗き込むように顔を見つめた。
整った顔立ちの綺麗な瞳の少年が自分を見ている。

里穂は下半身がきゅうっと締め付けられる感覚になる。

そして礼央はにこりとほほ笑んで言った。

「父さん遅くてさみしいのはわかるけど、早く寝ないとお肌に悪いよ」

里穂の頭をぽんぽんとしてテーブルに置いたペットボトルを掴んで立ち上がった。

(え…?)
身構えていたのが拍子抜けして里穂は思わず引き止めてしまう。

「え…あの……しないの?」

「え?」
礼央は里穂を見下ろし不思議そうな顔をする。

「いや、その、えっち……はしないけど……、もう赤ちゃんごっこはしないのかな…って」
里穂は自分で言った事に恥ずかしなって顔が熱くなった。
(何言ってるの私……)

礼央は暫く真顔で里穂を見つめていたかと思うと
突然「ぷっ…」と吹き出した。

「あはは!母さんはえっちだね!」

「え!?」
(私何て事口走ってるの!?)
恥ずかしくて両手で顔を覆う。

「いやっちがくて!せっかく礼央くん私に甘えてくれてたのに」

すると礼央は再びロウテーブルに水の入ったペットボトルを置き、ソファに座り直し里穂の頭を撫でた。

「えっちな母さんも可愛い」

(違うってばぁ……)
恥ずかしくて何も言えなくなる。

「赤ちゃんごっこはもうしないよ」
里穂の髪を優しく撫でながら言う。


「僕はもう赤ちゃんじゃないからね」

と挑むような目を里穂に向けて
再び立ち上がり2階に行ってしまった。


里穂は残されたテーブルの上のペットボトルを見ながら、自分の失言に呆然としていた。

礼央がえっちな事をするのを期待してしまっている自分がいたのだ。

(何て馬鹿な事を…。これじゃあ母親失格どころか人間失格だわ…)

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