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よく似ている
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「一階が事務所なんですね」
「ええ。ですから、お昼もご自宅に戻っていらっしゃるようですよ」
仕事中でも一緒に昼食が食べられるなんて羨ましい。
そう思ってしまったことは内緒にしておこう。
「行きましょうか」
階段を上がり、玄関チャイムを鳴らすとすぐに扉が開かれた。
「志摩くん、それに谷垣くんもよく来てくれたね」
出迎えてくださったのは、磯山先生と綺麗な男性。
パートナーだと伺っていたが、二人で並んでいる姿だけで仲睦まじいのがよくわかる。
中に案内されついていくと、ソファーに可愛い男の子が青年と一緒に座っていた。
あの小さい子が直純くん。
座っているから正確にはわからないけれど、平均的な14歳の体格より随分と小さいのはわかる。
体格のいい小学生と比べたらどちらが中学生かわからないかもしれないな。
不安げな目でこちらを見ているのも当然だろう。
少しでも不安を解消してあげたくて、僕はそっと彼に近づき、彼の目線に合うように屈んでから挨拶をした。
「僕は谷垣尚孝。君の名前を教えてもらってもいいかな?」
「えっ、あ、はい。僕は、迫田…‥いえ、磯山直純です」
「そうか、直純くん。よろしくね」
差し出した手を取ってくれるかと少し賭けのようなものもあったけれど、彼は小さな手をおずおずと僕の手に乗せてくれた。
働き尽くめだった一花くんの手とは全然違うけれど、握られ慣れてない感じはありありと伝わってきた。
心を開くまで少し時間がかかるかもしれないな。
そう判断して、僕は挨拶を終えた後、一度唯人さんの元に戻った。
「磯山先生、これは私の友人のお店のお菓子です。美味しいのでぜひどうぞ」
唯人さんが紙袋から取り出して箱を渡すと、その包み紙を見て磯山先生はすぐに<星彩庵>のものだと気づかれた。
ああ、さすがだな。
磯山先生は、直純くんの隣に護衛のように座っていたあの青年にお茶の支度を手伝うように告げ、キッチンへ向かい、青年のいなくなった場所に代わるように、僕と唯人さんがそこに座った。
磯山先生のパートナーである絢斗さんと直純くん、そして僕と唯人さんが並んでソファーに座ったけれど、話のきっかけが難しい。
そっと直純くんに視線を向けると、突然僕と目があってびっくりしたのか、目を逸らされてしまった。
けれど、少しは意識してくれているようだ。
だって、目が合わないよりは全然いい。
ふふっ。いい傾向かな。
もう一度こっちを見てくれたタイミングを狙って、
「直純くん……これ、お土産だよ」
と<星彩庵>で買ってきた直純くんだけの贈り物を渡した。
どんな反応をしてくれるだろうか。
「君だけのお土産。きっと好きかなって思ったんだ」
そういうと、彼はお礼を言ってくれたけれど、開けるそぶりがない。
開けるように促すと、いいんですか? と少し大きな声をあげた。
自分だけの贈りものだということが信じられない様子だったけれど、彼はゆっくりとリボンを外した。
それを丁寧に折りたたむ姿が一花くんと重なった。
彼もまた自分だけの贈り物をものすごく喜んでくれたのを思い出す。
「わぁーっ!! 綺麗っ!!」
蓋を開け、中身が見えた瞬間、直純くんが興奮した様子で声を上げるのを見て、隣にいた唯人さんが笑みを浮かべた。
「一花さんと同じ反応でしたよ」
僕にだけ聞こえる声でそう囁くのを聞いて、やっぱり一花くんと彼はよく似ていると思った。
絢斗さんからそれが金平糖だと教えられて、興味津々の様子の彼に
「美味しいから、一個口に入れてみて」
というと、彼は小さな手でピンクの金平糖を手に取った。
少し手を震わせながら、口に入れると一瞬で目に喜びが現れた。
どうやら気に入ってくれたようだ。
「最初は舌の上で甘みを味わって、途中で噛み砕くとほろほろと崩れて口全体に甘みが広がりますよ」
そう教えると素直にその通りにしてくれた。
それがとても可愛い。
「これはそのまま置いておいても溶けませんから、ゆっくり楽しんで食べてくださいね」
僕の言葉に彼は嬉しそうに蓋を閉めていた。
そのタイミングを見計らったように、磯山先生と青年がトレイを持ってこられた。
カステラも知らない様子に少し驚いたけれど、さっきの金平糖と同様に興味はあるようだ。
恐る恐る口に運ぶと、彼の目が輝いた。
「美味しいっ!!」
可愛い声をあげた直純くんに恥ずかしいと思わせないように、僕もすかさずカステラを口にして、美味しいというと彼はホッとしたように笑顔を見せてくれた。
カステラを食べ終わると、磯山先生がそっと僕たちに合図をしてくれた。
そろそろ本題に入るのだろう。
でもどうやって僕と彼を二人っきりで話をさせてくれるのかと思っていると、
「そういえば絢斗。この谷垣くんは桜守出身だそうだよ。絢斗の後輩だな」
という話が始まった。
そうか、絢斗さんも桜守か。
同じ学校を卒業したというだけで親近感が湧くのも不思議なものだ。
「直くんも、桜守に入る予定なんだよ。ねぇ、直くん」
「えっ、は、はい。編入試験に合格できたら……ですけど」
「大丈夫だって。直くんなら絶対に受かるよ。ねぇ、谷垣くん。私よりは最近の桜守を知っているはずだから、直くんにいろいろ教えてあげて」
ああ、なるほど。
これなら、勉強を教える体で部屋に入ることができる。
磯山先生も絢斗さんもそれを狙ってのやりとりだったんだろう。
さすがだな。
「うん。今はどんな勉強をしているのかな。よかったら見せてもらってもいい?」
「は、はい。あの、部屋に行きますか?」
素直な彼は、僕たちの思惑通りに僕を部屋に招いてくれた。
「ええ。ですから、お昼もご自宅に戻っていらっしゃるようですよ」
仕事中でも一緒に昼食が食べられるなんて羨ましい。
そう思ってしまったことは内緒にしておこう。
「行きましょうか」
階段を上がり、玄関チャイムを鳴らすとすぐに扉が開かれた。
「志摩くん、それに谷垣くんもよく来てくれたね」
出迎えてくださったのは、磯山先生と綺麗な男性。
パートナーだと伺っていたが、二人で並んでいる姿だけで仲睦まじいのがよくわかる。
中に案内されついていくと、ソファーに可愛い男の子が青年と一緒に座っていた。
あの小さい子が直純くん。
座っているから正確にはわからないけれど、平均的な14歳の体格より随分と小さいのはわかる。
体格のいい小学生と比べたらどちらが中学生かわからないかもしれないな。
不安げな目でこちらを見ているのも当然だろう。
少しでも不安を解消してあげたくて、僕はそっと彼に近づき、彼の目線に合うように屈んでから挨拶をした。
「僕は谷垣尚孝。君の名前を教えてもらってもいいかな?」
「えっ、あ、はい。僕は、迫田…‥いえ、磯山直純です」
「そうか、直純くん。よろしくね」
差し出した手を取ってくれるかと少し賭けのようなものもあったけれど、彼は小さな手をおずおずと僕の手に乗せてくれた。
働き尽くめだった一花くんの手とは全然違うけれど、握られ慣れてない感じはありありと伝わってきた。
心を開くまで少し時間がかかるかもしれないな。
そう判断して、僕は挨拶を終えた後、一度唯人さんの元に戻った。
「磯山先生、これは私の友人のお店のお菓子です。美味しいのでぜひどうぞ」
唯人さんが紙袋から取り出して箱を渡すと、その包み紙を見て磯山先生はすぐに<星彩庵>のものだと気づかれた。
ああ、さすがだな。
磯山先生は、直純くんの隣に護衛のように座っていたあの青年にお茶の支度を手伝うように告げ、キッチンへ向かい、青年のいなくなった場所に代わるように、僕と唯人さんがそこに座った。
磯山先生のパートナーである絢斗さんと直純くん、そして僕と唯人さんが並んでソファーに座ったけれど、話のきっかけが難しい。
そっと直純くんに視線を向けると、突然僕と目があってびっくりしたのか、目を逸らされてしまった。
けれど、少しは意識してくれているようだ。
だって、目が合わないよりは全然いい。
ふふっ。いい傾向かな。
もう一度こっちを見てくれたタイミングを狙って、
「直純くん……これ、お土産だよ」
と<星彩庵>で買ってきた直純くんだけの贈り物を渡した。
どんな反応をしてくれるだろうか。
「君だけのお土産。きっと好きかなって思ったんだ」
そういうと、彼はお礼を言ってくれたけれど、開けるそぶりがない。
開けるように促すと、いいんですか? と少し大きな声をあげた。
自分だけの贈りものだということが信じられない様子だったけれど、彼はゆっくりとリボンを外した。
それを丁寧に折りたたむ姿が一花くんと重なった。
彼もまた自分だけの贈り物をものすごく喜んでくれたのを思い出す。
「わぁーっ!! 綺麗っ!!」
蓋を開け、中身が見えた瞬間、直純くんが興奮した様子で声を上げるのを見て、隣にいた唯人さんが笑みを浮かべた。
「一花さんと同じ反応でしたよ」
僕にだけ聞こえる声でそう囁くのを聞いて、やっぱり一花くんと彼はよく似ていると思った。
絢斗さんからそれが金平糖だと教えられて、興味津々の様子の彼に
「美味しいから、一個口に入れてみて」
というと、彼は小さな手でピンクの金平糖を手に取った。
少し手を震わせながら、口に入れると一瞬で目に喜びが現れた。
どうやら気に入ってくれたようだ。
「最初は舌の上で甘みを味わって、途中で噛み砕くとほろほろと崩れて口全体に甘みが広がりますよ」
そう教えると素直にその通りにしてくれた。
それがとても可愛い。
「これはそのまま置いておいても溶けませんから、ゆっくり楽しんで食べてくださいね」
僕の言葉に彼は嬉しそうに蓋を閉めていた。
そのタイミングを見計らったように、磯山先生と青年がトレイを持ってこられた。
カステラも知らない様子に少し驚いたけれど、さっきの金平糖と同様に興味はあるようだ。
恐る恐る口に運ぶと、彼の目が輝いた。
「美味しいっ!!」
可愛い声をあげた直純くんに恥ずかしいと思わせないように、僕もすかさずカステラを口にして、美味しいというと彼はホッとしたように笑顔を見せてくれた。
カステラを食べ終わると、磯山先生がそっと僕たちに合図をしてくれた。
そろそろ本題に入るのだろう。
でもどうやって僕と彼を二人っきりで話をさせてくれるのかと思っていると、
「そういえば絢斗。この谷垣くんは桜守出身だそうだよ。絢斗の後輩だな」
という話が始まった。
そうか、絢斗さんも桜守か。
同じ学校を卒業したというだけで親近感が湧くのも不思議なものだ。
「直くんも、桜守に入る予定なんだよ。ねぇ、直くん」
「えっ、は、はい。編入試験に合格できたら……ですけど」
「大丈夫だって。直くんなら絶対に受かるよ。ねぇ、谷垣くん。私よりは最近の桜守を知っているはずだから、直くんにいろいろ教えてあげて」
ああ、なるほど。
これなら、勉強を教える体で部屋に入ることができる。
磯山先生も絢斗さんもそれを狙ってのやりとりだったんだろう。
さすがだな。
「うん。今はどんな勉強をしているのかな。よかったら見せてもらってもいい?」
「は、はい。あの、部屋に行きますか?」
素直な彼は、僕たちの思惑通りに僕を部屋に招いてくれた。
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