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櫻葉会長の驚き
前回更新したお話が一花編とあまりにも違っていたので前回のお話を削除し、改稿しました。
気づくのが遅くなってすみません。楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
どうやら着信ではなくメッセージのようだ。
<櫻葉グループ櫻葉一眞会長>の表示を見て、磯山先生方に断りを入れてすぐに確認をした。
<あと十分ほどで到着するようだ。駐車場から直接会場である庭に向かったらいいのだったか?>
想定よりも早い到着に驚きつつ急いでメッセージを返した。
<櫻葉会長。おはようございます。駐車場からは私が会場にご案内いたしますのでご安心ください。駐車場でお待ちしております。志摩>
すぐに既読がつき、楽しそうなスタンプだけが返ってくる。
その可愛いスタンプに思わず笑ってしまうが、きっと一花さんとのやりとりで使われているものなのだろう。
あの櫻葉会長が可愛いウサギがぴょんぴょん跳ねるスタンプなんて使っているとは誰も知らない事実だろうな。
一花さんの結婚式が楽しみで浮かれていらっしゃるのだろう。
まぁ、それも無理はない。一花さんの新しい人生の始まりの日なのだから。
「もうすぐ櫻葉会長ご一行がお着きになり、そのまま会場であるお庭に向かわれるようです」
私はすぐに磯山先生のご家族と蓮見さんにお伝えした。
櫻葉会長に家族で挨拶にいかれるようで、磯山先生は昇さんを連れて絢斗さんと直純くんを迎えにいかれるようだ。
私は蓮見さんと共に櫻葉会長を出迎えに向かった。
「君の愛しい人まで着替えに駆り出して悪かったかな?」
「いえ。浅香さんと緑川教授に誘っていただいて私は嬉しかったですし、尚孝さんのあの様子を見る限り、心から嫌がっているというわけではありませんのでご安心ください。ただ、恥ずかしいだけのようですから」
「まぁ、確かに照れはあるだろうが、彼ならドレスでも着物でも綺麗に着こなせるとわかるよ。私も敬介も伊達にファッション業界にいるわけではないから、似合わない人に誘いの声はかけないよ」
「はい。尚孝さんは誰よりも美しいです」
「ははっ、私の前で惚気るとは……君もなかなかだな」
蓮見さんの強面な表情からは想像できないほど柔らかな笑顔が返ってくる。
きっと浅香さんが美しい衣装に身を包んで現れるのが楽しみでたまらないんだろう。
なんとなく同志のような気持ちで駐車場に向かった。
駐車場についてすぐに大きな車がやってくる。
前もって伺っていた車種とナンバーと照合しすぐに櫻葉会長の車だとわかった。
車が止まるとすぐに運転席から櫻葉家の執事である二階堂さんが扉を開けにやってきた。
「おはようございます。二階堂さん。運転でお疲れになったでしょう」
「いえ、一花さまと征哉さまの結婚式ですから疲れなど一切ありませんよ」
明るい表情のまま扉を開けるとすぐに安城が車から降りてきた。私に視線だけ向けると、そのまま史紀さんをエスコートして降ろす。その後ろから続くように櫻葉会長が降りてきた。
櫻葉会長にお祝いの言葉をかけると満面の笑みを向けられた。
史紀さんもそんな櫻葉会長の様子が嬉しそうだ。
一花さんの結婚式ということもあって楽しみにしてくださっていたようだ。
「安城も来てくれてありがとう」
一緒に来ていた安城に声をかけると、櫻葉会長は驚いていた。
そうか、やはり私と安城との関係を知らなかったか。
我が家が先代の頃から<星彩庵>の常連で、大学で知り合った安城がそこの跡取りだと知ったことを伝えると、世間は狭いものだと目を丸くしていた。
磯山先生方ももう庭に来られているだろう。
会長たちを庭に案内する。
「磯山家の方々はお支度のために早くお越しになっていましたので、他の方も全員お揃いです」
「支度?」
支度というと驚いていたが、絢斗さんと直純くん、それから尚孝さんとイリゼホテルの浅香さんにはお着物とドレスをお召しいただくことになったと伝えると少し怪訝な顔をされた。
きっと直純くんはともかく他の人が女装する理由が理解できなかったからだろう。
「磯山先生が直純くんだけが女装をするのは不安になるだろうからと仰って、絢斗さんにもしていただくことになったんですが、絢斗さんがどうせならもっと多いほうがせっかくの結婚式に花を添えられると仰って、ちょうどその場にお越しになった浅香さんと、尚孝さんも仲間に引き入れてしまわれたのです」
そう説明すると納得されたようだ。
それどころか、史紀さんにも参加したらどうかと誘っていた。
最初こそ冗談だと思って断っていた史紀さんだったが。櫻葉会長が安城まで味方につけると恥ずかしそうにしながらも先ほどまでの抵抗はなさそうだった。
「支度をなさるお時間はまだありますから、とりあえず他の方のお召し物をみてからお決めになってはいかがですか?」
一応そうお声掛けしたが、きっと絢斗さんを見れば支度する気になるに違いない。
「櫻葉さん」
櫻葉会長の姿を見つけた未知子さんがこちらにやってきた。
新郎新夫の親として参列なさる二人の邪魔はしないようにそっと後ろで見守ることにした。
するとそこに。磯山先生と絢斗さんがやってきた。
会長は磯山先生にはすぐに気づかれたが、隣にいる絢斗さんにはまだ気づかれていない様子。
「こ、れは……見違えたな。実に美しい」
多少のことには動じない櫻葉会長も流石に驚いたようだ。声が震えている。
「もう、お世辞がお上手ですね。私よりもずっと似合っている子がいるので紹介しますね」
絢斗さんは嬉しそうに「直くーんっ!」と声をかけた。
その声にすぐに反応して直純くんが昇くんと共にやってくる。
「え、もしかして……」
「ええ。直純くんですよ」
「――っ、これは、見違えたな」
会長は茫然としながら二人が近づいてくる様子を見つめていた。
「あの、お久しぶりです」
緊張しながらもちゃんと自分から声がかけられている。
直純くん、成長したな。
「ああ、元気にしているようで何よりだ」
会長もどう対応していいのかわからないのがよく伝わってくるが、それでも直純くんへの優しさは感じられる。
「あの……先日は、一花さんと会わせてくださってありがとうございました。おかげでちゃんと謝罪することもできましたし、それに……すごく仲良くさせてもらって……僕、とても嬉しいです」
「いや、一花が君に会いたいと言ったからだ。私は何もしていないよ。それよりも一花と友人になってくれたことを私の方こそ喜んでいるよ」
「櫻葉さん……」
今日は家族で出席していただいて本当に良かった。
一花さんの結婚式が直純くんとの関係向上に一役買ったようだな。
気づくのが遅くなってすみません。楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
どうやら着信ではなくメッセージのようだ。
<櫻葉グループ櫻葉一眞会長>の表示を見て、磯山先生方に断りを入れてすぐに確認をした。
<あと十分ほどで到着するようだ。駐車場から直接会場である庭に向かったらいいのだったか?>
想定よりも早い到着に驚きつつ急いでメッセージを返した。
<櫻葉会長。おはようございます。駐車場からは私が会場にご案内いたしますのでご安心ください。駐車場でお待ちしております。志摩>
すぐに既読がつき、楽しそうなスタンプだけが返ってくる。
その可愛いスタンプに思わず笑ってしまうが、きっと一花さんとのやりとりで使われているものなのだろう。
あの櫻葉会長が可愛いウサギがぴょんぴょん跳ねるスタンプなんて使っているとは誰も知らない事実だろうな。
一花さんの結婚式が楽しみで浮かれていらっしゃるのだろう。
まぁ、それも無理はない。一花さんの新しい人生の始まりの日なのだから。
「もうすぐ櫻葉会長ご一行がお着きになり、そのまま会場であるお庭に向かわれるようです」
私はすぐに磯山先生のご家族と蓮見さんにお伝えした。
櫻葉会長に家族で挨拶にいかれるようで、磯山先生は昇さんを連れて絢斗さんと直純くんを迎えにいかれるようだ。
私は蓮見さんと共に櫻葉会長を出迎えに向かった。
「君の愛しい人まで着替えに駆り出して悪かったかな?」
「いえ。浅香さんと緑川教授に誘っていただいて私は嬉しかったですし、尚孝さんのあの様子を見る限り、心から嫌がっているというわけではありませんのでご安心ください。ただ、恥ずかしいだけのようですから」
「まぁ、確かに照れはあるだろうが、彼ならドレスでも着物でも綺麗に着こなせるとわかるよ。私も敬介も伊達にファッション業界にいるわけではないから、似合わない人に誘いの声はかけないよ」
「はい。尚孝さんは誰よりも美しいです」
「ははっ、私の前で惚気るとは……君もなかなかだな」
蓮見さんの強面な表情からは想像できないほど柔らかな笑顔が返ってくる。
きっと浅香さんが美しい衣装に身を包んで現れるのが楽しみでたまらないんだろう。
なんとなく同志のような気持ちで駐車場に向かった。
駐車場についてすぐに大きな車がやってくる。
前もって伺っていた車種とナンバーと照合しすぐに櫻葉会長の車だとわかった。
車が止まるとすぐに運転席から櫻葉家の執事である二階堂さんが扉を開けにやってきた。
「おはようございます。二階堂さん。運転でお疲れになったでしょう」
「いえ、一花さまと征哉さまの結婚式ですから疲れなど一切ありませんよ」
明るい表情のまま扉を開けるとすぐに安城が車から降りてきた。私に視線だけ向けると、そのまま史紀さんをエスコートして降ろす。その後ろから続くように櫻葉会長が降りてきた。
櫻葉会長にお祝いの言葉をかけると満面の笑みを向けられた。
史紀さんもそんな櫻葉会長の様子が嬉しそうだ。
一花さんの結婚式ということもあって楽しみにしてくださっていたようだ。
「安城も来てくれてありがとう」
一緒に来ていた安城に声をかけると、櫻葉会長は驚いていた。
そうか、やはり私と安城との関係を知らなかったか。
我が家が先代の頃から<星彩庵>の常連で、大学で知り合った安城がそこの跡取りだと知ったことを伝えると、世間は狭いものだと目を丸くしていた。
磯山先生方ももう庭に来られているだろう。
会長たちを庭に案内する。
「磯山家の方々はお支度のために早くお越しになっていましたので、他の方も全員お揃いです」
「支度?」
支度というと驚いていたが、絢斗さんと直純くん、それから尚孝さんとイリゼホテルの浅香さんにはお着物とドレスをお召しいただくことになったと伝えると少し怪訝な顔をされた。
きっと直純くんはともかく他の人が女装する理由が理解できなかったからだろう。
「磯山先生が直純くんだけが女装をするのは不安になるだろうからと仰って、絢斗さんにもしていただくことになったんですが、絢斗さんがどうせならもっと多いほうがせっかくの結婚式に花を添えられると仰って、ちょうどその場にお越しになった浅香さんと、尚孝さんも仲間に引き入れてしまわれたのです」
そう説明すると納得されたようだ。
それどころか、史紀さんにも参加したらどうかと誘っていた。
最初こそ冗談だと思って断っていた史紀さんだったが。櫻葉会長が安城まで味方につけると恥ずかしそうにしながらも先ほどまでの抵抗はなさそうだった。
「支度をなさるお時間はまだありますから、とりあえず他の方のお召し物をみてからお決めになってはいかがですか?」
一応そうお声掛けしたが、きっと絢斗さんを見れば支度する気になるに違いない。
「櫻葉さん」
櫻葉会長の姿を見つけた未知子さんがこちらにやってきた。
新郎新夫の親として参列なさる二人の邪魔はしないようにそっと後ろで見守ることにした。
するとそこに。磯山先生と絢斗さんがやってきた。
会長は磯山先生にはすぐに気づかれたが、隣にいる絢斗さんにはまだ気づかれていない様子。
「こ、れは……見違えたな。実に美しい」
多少のことには動じない櫻葉会長も流石に驚いたようだ。声が震えている。
「もう、お世辞がお上手ですね。私よりもずっと似合っている子がいるので紹介しますね」
絢斗さんは嬉しそうに「直くーんっ!」と声をかけた。
その声にすぐに反応して直純くんが昇くんと共にやってくる。
「え、もしかして……」
「ええ。直純くんですよ」
「――っ、これは、見違えたな」
会長は茫然としながら二人が近づいてくる様子を見つめていた。
「あの、お久しぶりです」
緊張しながらもちゃんと自分から声がかけられている。
直純くん、成長したな。
「ああ、元気にしているようで何よりだ」
会長もどう対応していいのかわからないのがよく伝わってくるが、それでも直純くんへの優しさは感じられる。
「あの……先日は、一花さんと会わせてくださってありがとうございました。おかげでちゃんと謝罪することもできましたし、それに……すごく仲良くさせてもらって……僕、とても嬉しいです」
「いや、一花が君に会いたいと言ったからだ。私は何もしていないよ。それよりも一花と友人になってくれたことを私の方こそ喜んでいるよ」
「櫻葉さん……」
今日は家族で出席していただいて本当に良かった。
一花さんの結婚式が直純くんとの関係向上に一役買ったようだな。
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