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番外編
紅に染まる約束
『異世界で突然国王さまの伴侶に選ばれて溺愛されています』
発売記念にこちらのお話の最後のお話を書いてみました。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<sideサミュエル>
「マオ。そろそろ休憩しようか」
「もうそんな時間? 忙しいとあっという間だね」
「ああ。だがマオが一緒にいてくれるだけで仕事が捗るよ」
国王として忙しい日々を過ごしている私と共に働きたいと言ってくれるマオのおかげで、仕事量は増えたにも関わらず効率的に仕事を進められるようになった。
私にとってマオがいてくれるだけで仕事が捗る精神的な支えももちろんあるが、実際にマオが私が仕事を楽に進められるように備えてくれるのが大きな要因と言えるだろう。
マオは自分が異世界からやってきた人の生まれ変わりだとは知らないが、きっと記憶の奥底にあちらの世界で培ってきた知識や経験があるに違いない。
もしかしたら、あちらの世界では優秀な文官だったのではないかと思っている。
そんなマオがそばにいてくれて毎日集中して仕事を進められるおかげで、二人の時間もたっぷりと作ることができる。マオとの時間が私の最高の幸せだから、それをたっぷりと堪能できるのは本当に嬉しい。
二人でゆったりとお茶の時間を過ごそうと、ベルを鳴らしサイラスを呼んだ。
すると、執務室にやってきたサイラスの手には大きな箱が二箱。
その大きな箱のせいでサイラスの顔が見えないほどだ。
「何事だ?」
すると、サイラスは執務室内にある大きなソファの前に置かれたテーブルにその箱を静かに置いて笑顔で私を見た。
「つい先ごろ、ダニエル殿がお持ちになりました」
「とすると、これは……」
驚く私に、サイラスは笑顔で大きく頷いた。
「そうか、想像より早かったな」
「はい。サミュエル様とマオ様のためにダニエル殿は一睡もせずに針を取り続け、完成させたとのことでございます」
「そうか、それほど尽くしてくれたのならその働きに見合うだけの賃金を、いや、それ以上に支払うように取り計らえ」
「承知いたしました」
そう言ってサイラスは部屋を出て行った。
今頃別室で待っているダニエルに話をしに行っているのだろう。
「サム、ダニエルさんって……」
「ああ。覚えているか? 以前、婚礼衣装を仕立てると話をしたのを。あのとき、マオも私の衣装を考えてくれただろう?」
「うん。お揃いの色を身につけようって」
「そうだ。その衣装が完成したのだよ。これで結婚式が挙げられる」
そう告げると、マオの表情が一気に輝いた。
「まだずっと先だと思ってた」
「ああ。だが、ダニエルが頑張ってくれたようだ。それだけ早く国民にマオが王妃だと伝えて欲しいのだろう。この国に平穏が戻ったのも、マオが私の思いを受け入れてくれたからこそだからな。マオ。この衣装を着て、国王である私の妃となってくれるか?」
箱を開け、出てきたのは真っ赤なドレス。
この色は、私たちを結びつけてくれたあのリンゴの色。
そしてリスティアではリンゴは愛の象徴だと言われている。
その濃く美しい赤いドレスをマオに見せると、マオは涙を流して喜んでくれた。
「もちろん。僕はサムと一生を共にしたい」
「マオ……っ!」
ああ、ようやく私たちは正式に夫夫になれるのだ。
衣装ができるまでが本当に長かった。
私はもう我慢することもできず、すぐにマオとともにダニエルが仕立てた婚礼衣装に身を包み、神殿に向かった。
「サミュエルさま。マオさま。お待ちしておりました」
揃いの赤い衣装に身を包んだ私たちを見て、神殿長は深く微笑んだ。
「よくぞこの色をお選びになりましたね。結婚の儀を執り行う前にお聞きいたしましょう。なぜ、このお色をお選びになったのですか」
神殿では、たとえ国王であっても神官長の問いには答えなければならない。
「これは私たちを結びつけてくれたリンゴの色だ。その色以外、考えられなかった」
そう告げると、神殿長は静かに目を細めた。
「それこそがまさに神の御意志。お二人にとってこの赤はこれから先、幸運をもたらす色となるでしょう。それをお忘れなきように」
赤が、私たちの幸運をもたらす色……
私はマオと顔を見合わせて静かに頷いた。
そうして、神殿長の祝詞が響き渡り私たちは正式に夫夫となった。
その証として王城から狼煙が立ち昇ると、新しく王妃となったマオをひと目見ようと国民たちは城の周囲に集まり始めた。
私たちは城下を見渡せるテラスに並び、寄り添って笑顔で手を振った。
「サミュエル陛下、ばんざーい!
「マオ妃殿下、ばんざーい!」
幾重にも重なる歓声が城壁を震わせる。
かつて絶望に沈んだこの国は、今、確かに息を吹き返していた。
その中心にいるのは、私の腕の中にいるこの小さな伴侶だ。
私はそっとマオの肩を抱き寄せる。
「マオ。これからもずっと私のそばにいてくれるか?」
「はい。ずっと一緒です」
その答えに胸の奥がじんわりと熱くなる。
神の怒りに翻弄された国はようやく救われた。
そして私は、生涯をかけて愛する伴侶を得た。
この手を離すことは、もう二度とない。
愛しているよ、マオ。
発売記念にこちらのお話の最後のお話を書いてみました。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<sideサミュエル>
「マオ。そろそろ休憩しようか」
「もうそんな時間? 忙しいとあっという間だね」
「ああ。だがマオが一緒にいてくれるだけで仕事が捗るよ」
国王として忙しい日々を過ごしている私と共に働きたいと言ってくれるマオのおかげで、仕事量は増えたにも関わらず効率的に仕事を進められるようになった。
私にとってマオがいてくれるだけで仕事が捗る精神的な支えももちろんあるが、実際にマオが私が仕事を楽に進められるように備えてくれるのが大きな要因と言えるだろう。
マオは自分が異世界からやってきた人の生まれ変わりだとは知らないが、きっと記憶の奥底にあちらの世界で培ってきた知識や経験があるに違いない。
もしかしたら、あちらの世界では優秀な文官だったのではないかと思っている。
そんなマオがそばにいてくれて毎日集中して仕事を進められるおかげで、二人の時間もたっぷりと作ることができる。マオとの時間が私の最高の幸せだから、それをたっぷりと堪能できるのは本当に嬉しい。
二人でゆったりとお茶の時間を過ごそうと、ベルを鳴らしサイラスを呼んだ。
すると、執務室にやってきたサイラスの手には大きな箱が二箱。
その大きな箱のせいでサイラスの顔が見えないほどだ。
「何事だ?」
すると、サイラスは執務室内にある大きなソファの前に置かれたテーブルにその箱を静かに置いて笑顔で私を見た。
「つい先ごろ、ダニエル殿がお持ちになりました」
「とすると、これは……」
驚く私に、サイラスは笑顔で大きく頷いた。
「そうか、想像より早かったな」
「はい。サミュエル様とマオ様のためにダニエル殿は一睡もせずに針を取り続け、完成させたとのことでございます」
「そうか、それほど尽くしてくれたのならその働きに見合うだけの賃金を、いや、それ以上に支払うように取り計らえ」
「承知いたしました」
そう言ってサイラスは部屋を出て行った。
今頃別室で待っているダニエルに話をしに行っているのだろう。
「サム、ダニエルさんって……」
「ああ。覚えているか? 以前、婚礼衣装を仕立てると話をしたのを。あのとき、マオも私の衣装を考えてくれただろう?」
「うん。お揃いの色を身につけようって」
「そうだ。その衣装が完成したのだよ。これで結婚式が挙げられる」
そう告げると、マオの表情が一気に輝いた。
「まだずっと先だと思ってた」
「ああ。だが、ダニエルが頑張ってくれたようだ。それだけ早く国民にマオが王妃だと伝えて欲しいのだろう。この国に平穏が戻ったのも、マオが私の思いを受け入れてくれたからこそだからな。マオ。この衣装を着て、国王である私の妃となってくれるか?」
箱を開け、出てきたのは真っ赤なドレス。
この色は、私たちを結びつけてくれたあのリンゴの色。
そしてリスティアではリンゴは愛の象徴だと言われている。
その濃く美しい赤いドレスをマオに見せると、マオは涙を流して喜んでくれた。
「もちろん。僕はサムと一生を共にしたい」
「マオ……っ!」
ああ、ようやく私たちは正式に夫夫になれるのだ。
衣装ができるまでが本当に長かった。
私はもう我慢することもできず、すぐにマオとともにダニエルが仕立てた婚礼衣装に身を包み、神殿に向かった。
「サミュエルさま。マオさま。お待ちしておりました」
揃いの赤い衣装に身を包んだ私たちを見て、神殿長は深く微笑んだ。
「よくぞこの色をお選びになりましたね。結婚の儀を執り行う前にお聞きいたしましょう。なぜ、このお色をお選びになったのですか」
神殿では、たとえ国王であっても神官長の問いには答えなければならない。
「これは私たちを結びつけてくれたリンゴの色だ。その色以外、考えられなかった」
そう告げると、神殿長は静かに目を細めた。
「それこそがまさに神の御意志。お二人にとってこの赤はこれから先、幸運をもたらす色となるでしょう。それをお忘れなきように」
赤が、私たちの幸運をもたらす色……
私はマオと顔を見合わせて静かに頷いた。
そうして、神殿長の祝詞が響き渡り私たちは正式に夫夫となった。
その証として王城から狼煙が立ち昇ると、新しく王妃となったマオをひと目見ようと国民たちは城の周囲に集まり始めた。
私たちは城下を見渡せるテラスに並び、寄り添って笑顔で手を振った。
「サミュエル陛下、ばんざーい!
「マオ妃殿下、ばんざーい!」
幾重にも重なる歓声が城壁を震わせる。
かつて絶望に沈んだこの国は、今、確かに息を吹き返していた。
その中心にいるのは、私の腕の中にいるこの小さな伴侶だ。
私はそっとマオの肩を抱き寄せる。
「マオ。これからもずっと私のそばにいてくれるか?」
「はい。ずっと一緒です」
その答えに胸の奥がじんわりと熱くなる。
神の怒りに翻弄された国はようやく救われた。
そして私は、生涯をかけて愛する伴侶を得た。
この手を離すことは、もう二度とない。
愛しているよ、マオ。
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いぬぞ〜さま。コメントありがとうございます!
ルーファス&蓮のお話の発売記念にこちらのお話を久々更新でしたが、
何を書こうかと思った時にやっぱりこの二人はこれでしょう!となりました。
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そしてサミュエルも赤をお揃いで着せてみましたが、この色がルーファス(赤)にも続いていくんですよねぇ♡
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四葩さま。コメントありがとうございます!
いえいえ、こちらこそ読んでいただきとっても嬉しいです💕
マオもサムが自分以外に何を大切に思っているかを理解していますからね。
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