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番外編
国家機密並みの……
<side悠臣>
キッチンで、磯山の手伝いをしていると、遥が直くんに手を取られてリビングを出て行ってしまった。
連れて行かれる遥の表情に少し戸惑いがある気がした。
「あっ、ちょっ」
慌ててキッチンから出ようとしたけれど、磯山に制される。
「せっかく友だち同士で楽しく過ごしてるんだから、邪魔するなよ」
「でも……」
「直に任せておけばいって。友利さんもたまには友人と話す時間も必要だろう」
確かに、うちに来てからはずっと家で碧斗と琳と過ごしてくれている。
それ以外に話す相手といえば、私だけ。
この家で、直くんや緑川教授たちと話をしている姿は、家にいる時の遥とは少し違う。
「それより、アレは足りてるか? 必要なら無くなる前に注文しとけよ。そういえば西条に注文アプリ紹介してたっけ?」
「注文アプリ?」
そんなものを聞いた覚えはないが……
「そうか、悪い。ちょっと待っててくれ」
そういうが早いか、スマホを取り出し磯山先生と話し始めた。
いくつかの操作をした後で、笑顔でこちらを向いた。
「お待たせ。これ、アプリのQRコードと最初のパスワード」
QRコードはともかく、教えてもらったパスワードはかなりセキュリティの高い十五桁の複雑な文字列。
「すごいな、これ」
「ああ、でもこれに入ってからまた本人認証で合格するまでが少し時間がかかるからここでやっておけよ」
「そんな厳しいアプリなのか?」
国家機密でも守っているのか?
「まぁな。でも入ったらその理由がわかるよ」
ニヤリと意味深な笑みを浮かべた磯山が少し気になったけれど、とりあえず磯山先生もご存知のものなら問題ないだろう。
私はすぐに教えられたQRコードからアプリをインストールした。
厳重なパスワードを入れると、すぐに本人認証が始まる。
氏名、生年月日から始まり、勤務先、年収、資産、家族構成、そして、紹介者の名前など、かなりプライベートに踏み込んだ内容を入力する。
「磯山、これって大丈夫なんだよな?」
「ああ、そこで入力した内容が外部に漏れることは絶対にないよ」
弁護士を生業としている磯山だからこそ、不確かなものに絶対という言葉は使わない。
だからこそ信用ができる。
最後まで入力を終えると、一瞬の間を置いて、認証完了の文字が現れた。
「認証されたようだ」
「よかったな。これでアプリが使えるぞ」
磯山がそう告げた途端、スマホのアプリが起動した。
商品の購入サイトのようだが、見覚えのある商品が並んでいる。
「これ、遥たちのシャンプーか」
「ああ、このアプリを開発した大元は倉橋さんなんだ。西条も知っているだろう? 倉橋祐悟さん」
「えっ! あの?」
倉橋さんといえば、桜城大学出身で知らない人はいない。
いや、今は同じ大学出身者でなくても、何かしらの経営者なら知らないものはいないだろう。
本業以外にも多種多様の業種に彼の手が加わっていて、世界中のセレブたちの間でも彼の名は有名だ。
「このアプリでは倉橋さんが開発したものを直接注文できるんだ。それ以外にも<綺>の高級肉や、イリゼホテルのスイーツなんかも注文できるそれ以外にも、ありとあらゆるものが揃っている」
「すごいな……」
錚々たるラインナップに驚きしかない。
「だからあんなにセキュリティが厳しかったのか……」
「ああ、倉橋さんが認めた人しか入れないんだ。まぁ、西条は余裕で入れるのはわかっていたけどな」
「どうして?」
「西条の住んでいるマンションの設備も倉橋さんが開発したものを全て採用してあるそうだから。あのマンションを購入できる時点で倉橋さんの審査にも通っているってことだからな」
うちのマンションのオーナーは倉橋さんではないが、オーナーと倉橋さんがつながっていたということか。
なるほど。マンション購入の際もかなり審査が厳しかったが、そういう理由だったか。
だが、あのマンションを買っていて正解だったというわけだな。
このアプリはこれからたっぷりと使わせてもらうとしよう。
「いいものを教えてくれてありがとう」
「いや、西条のおかげで直にいい友人ができたから俺もお義父さんも喜んでいるんだ」
そう話をしていると、遥が直くんと一緒にリビングに戻ってきた。
心なしか、直くんの隣に立つ遥の耳まで赤い。
何かあったんだろうか?
キッチンで、磯山の手伝いをしていると、遥が直くんに手を取られてリビングを出て行ってしまった。
連れて行かれる遥の表情に少し戸惑いがある気がした。
「あっ、ちょっ」
慌ててキッチンから出ようとしたけれど、磯山に制される。
「せっかく友だち同士で楽しく過ごしてるんだから、邪魔するなよ」
「でも……」
「直に任せておけばいって。友利さんもたまには友人と話す時間も必要だろう」
確かに、うちに来てからはずっと家で碧斗と琳と過ごしてくれている。
それ以外に話す相手といえば、私だけ。
この家で、直くんや緑川教授たちと話をしている姿は、家にいる時の遥とは少し違う。
「それより、アレは足りてるか? 必要なら無くなる前に注文しとけよ。そういえば西条に注文アプリ紹介してたっけ?」
「注文アプリ?」
そんなものを聞いた覚えはないが……
「そうか、悪い。ちょっと待っててくれ」
そういうが早いか、スマホを取り出し磯山先生と話し始めた。
いくつかの操作をした後で、笑顔でこちらを向いた。
「お待たせ。これ、アプリのQRコードと最初のパスワード」
QRコードはともかく、教えてもらったパスワードはかなりセキュリティの高い十五桁の複雑な文字列。
「すごいな、これ」
「ああ、でもこれに入ってからまた本人認証で合格するまでが少し時間がかかるからここでやっておけよ」
「そんな厳しいアプリなのか?」
国家機密でも守っているのか?
「まぁな。でも入ったらその理由がわかるよ」
ニヤリと意味深な笑みを浮かべた磯山が少し気になったけれど、とりあえず磯山先生もご存知のものなら問題ないだろう。
私はすぐに教えられたQRコードからアプリをインストールした。
厳重なパスワードを入れると、すぐに本人認証が始まる。
氏名、生年月日から始まり、勤務先、年収、資産、家族構成、そして、紹介者の名前など、かなりプライベートに踏み込んだ内容を入力する。
「磯山、これって大丈夫なんだよな?」
「ああ、そこで入力した内容が外部に漏れることは絶対にないよ」
弁護士を生業としている磯山だからこそ、不確かなものに絶対という言葉は使わない。
だからこそ信用ができる。
最後まで入力を終えると、一瞬の間を置いて、認証完了の文字が現れた。
「認証されたようだ」
「よかったな。これでアプリが使えるぞ」
磯山がそう告げた途端、スマホのアプリが起動した。
商品の購入サイトのようだが、見覚えのある商品が並んでいる。
「これ、遥たちのシャンプーか」
「ああ、このアプリを開発した大元は倉橋さんなんだ。西条も知っているだろう? 倉橋祐悟さん」
「えっ! あの?」
倉橋さんといえば、桜城大学出身で知らない人はいない。
いや、今は同じ大学出身者でなくても、何かしらの経営者なら知らないものはいないだろう。
本業以外にも多種多様の業種に彼の手が加わっていて、世界中のセレブたちの間でも彼の名は有名だ。
「このアプリでは倉橋さんが開発したものを直接注文できるんだ。それ以外にも<綺>の高級肉や、イリゼホテルのスイーツなんかも注文できるそれ以外にも、ありとあらゆるものが揃っている」
「すごいな……」
錚々たるラインナップに驚きしかない。
「だからあんなにセキュリティが厳しかったのか……」
「ああ、倉橋さんが認めた人しか入れないんだ。まぁ、西条は余裕で入れるのはわかっていたけどな」
「どうして?」
「西条の住んでいるマンションの設備も倉橋さんが開発したものを全て採用してあるそうだから。あのマンションを購入できる時点で倉橋さんの審査にも通っているってことだからな」
うちのマンションのオーナーは倉橋さんではないが、オーナーと倉橋さんがつながっていたということか。
なるほど。マンション購入の際もかなり審査が厳しかったが、そういう理由だったか。
だが、あのマンションを買っていて正解だったというわけだな。
このアプリはこれからたっぷりと使わせてもらうとしよう。
「いいものを教えてくれてありがとう」
「いや、西条のおかげで直にいい友人ができたから俺もお義父さんも喜んでいるんだ」
そう話をしていると、遥が直くんと一緒にリビングに戻ってきた。
心なしか、直くんの隣に立つ遥の耳まで赤い。
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