ベビーシッター先でラブラブな家族生活はじまりました

波木真帆

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番外編

おすすめのアプリ

<side遥>

「お疲れー。着てみた?」

クローゼットから出ると、すぐに直から声をかけられた。
そう聞くと言うことは、僕が洋服の中にアレを着ているかどうか直にはわかっていないということだ。

僕自身もクローゼットを出る前にしっかりと姿見でおかしなところがないか確認した。
だから大丈夫だと思うけど、なんとなく、心許ない気がするのは、あのベビードールについていた下着を穿いているからだろう。

いつも穿いている下着とは比べようもないほど布面積の少ないそれは、かろうじて僕のささやかなものを覆ってはいた。
けれど、生地はベビードールのそれとほぼ同じでかなり透け感がある。

これは、穿く意味があるのか……?

そう思ってしまうほど、下着感が全くない。
しかも後ろはTバックになっていてお尻が丸出しになっている。
ますます穿いている意味をなさない気がするけれど、ベビードールにいつもの下着をつけているのも違う気がして悩んだ挙句に穿いてみたというわけだ。

「あのさ、あの下着って……」

「あっ、気づいた? 言うの忘れちゃってたから気づかなかったかもって心配してたんだ。ちゃんと穿けた?」

「穿くには穿けたけど、妙に心許ない感じがするんだけど……」

正直に感想を告げると、直は楽しげに笑った。

「大丈夫、大丈夫。最初はみんなそう思うけど、慣れると楽に感じるようになるから」

らしい、とか曖昧な言葉ではなく、そう言い切ると言うことは、直もあの心許ない下着を穿いたことがあるってことだ。
今回も直とカールのも一緒に買ったって言ってたし。

僕もそんなふうに思える日が来るんだろうか……

まだ想像がつかない。

「あの、僕がアレを着てるってわからないよね?」

「大丈夫だって。アレ、素材がすごくいいからもこもこしないでしょ?」

「うん。それはびっくりした」

肌に吸い付くような滑らかさで、服を着ても全く邪魔だと感じない。
それどころか着ていることを忘れそうなくらい心地いい。

「気に入ったら、ここで買うといいよ」

そういって直はスマホを取り出した。

「このアプリなんだけどね……」

見せてくれたのは、<恋する子猫の狼さん>というアプリ。
なんとも名前が面白い。

直が画面をスクロールして見せてくれた中には、美味しそうなスイーツやら食材やらいっぱい載ってる。

「えー、すごい。これ、ネットスーパーみたいなもの?」

「まぁそんな感じだけど食べ物だけじゃなくて、いろんなもの売ってるよ」

確かに、毛糸から家電までなんでも売ってる。

「あとね、こっちが面白いんだよ」

直が右上の星マークを押すとパッと画面が切り替わった。

「えっ、何これ?」

「ほら、みて。可愛いよ」

そう言って見せてくれたのは、僕が服の中に着たものとよく似たベビードール。

「ここで、好きなの選んで買えるから楽しいよ。今日、西条さんに見せて気に入ったらいっぱい揃えたらいいよ」

「えっ、でも……」

「これ、このアプリの招待パスワードね。ほら、インストールして」

僕は直の勢いに押されて、気づけばスマホにそのアプリを落としていた。
個人情報をいくつか入力すると、あっという間に使えるようになったみたいだ。

「あ、これって支払いとはどうなっているの?」

「あー。えっと……さっき、個人情報を入れた時、登録したカードでの支払いにチェック入れた?」

「うん。これから入力するのかなって思ったから」

「それなら大丈夫。もう登録されてるよ」

そう言われてびっくりしたけど、考えてみたらスマホの引き落としで使っているカードが、すでに僕のスマホに登録されている。きっとそれと一緒に引き落とされるってことなんだろう。すごいアプリだな。

「じゃあ、そろそろリビングに戻ろうか。碧斗くんと琳くんもそろそろお風呂に入ったりするだろうし。その前に帰るでしょ?」

チラリと時計を見ると、確かにもう二人はお風呂に入る時間だ。

「二人っきりの夜、楽しんでね」

そう言われて一気に顔が熱くなる。
ドキドキしたまま、僕は直と一緒にリビングに戻った。

部屋に入ると、すぐに悠臣さんが駆け寄ってくる。

「どうした? 顔が赤いな。暑かった?」

「あ、いえ。なんでもないです。大丈夫です」

「そう? ならいいけど」

なんとか誤魔化すことができてホッとする。

「碧斗、琳」

悠臣さんが二人に声をかけると、二人が駆け寄ってきた。

「ぱぱー、なーにー?」

「パパと遥はそろそろ帰るけど、本当にここに泊まるんだな?」

「うん! たけしおじちゃんとふーちゃんとおふろはいるって、やくそくしたもん! ねー、りんくん」

「うん。りん、おじーちゃんとねんねするのー! ぱんやさんもいくんだよー!」

前回のお泊まりがよっぽど楽しかったんだろうな。
全く寂しがるそぶりもない。

「じゃあ、パパたちは帰るぞ」

「うん。ぱぱー、はるかちゃん。ばいばーい!」

あっけらかんと手を振られて、僕は悠臣さんと顔を見合わせて笑ってしまった。
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