ベビーシッター先でラブラブな家族生活はじまりました

波木真帆

文字の大きさ
39 / 203

かくれんぼしたい!

しおりを挟む
そろそろ琳と碧斗くんを起こそうか。

サークルに向かい、カーテンを開けると二人とも仰向けで頭をお互いの方に傾げてピッタリと寄り添って眠っていた。
まるで兄弟みたいに仲がいい寝相に思わず写真を撮って気がついた。

あれ? そういえばふわふわブランケットを二人で使ってるな。

そうか、西条さんが碧斗くんのを洗いに出したとき、琳が使っていたふわふわブランケットを碧斗くんと二人で使うようにかけ直したのかもしれない。

ブランケット自体は大人が使っても問題ないくらい大きいから子ども二人なら余裕で使えるけど、碧斗くんが寝汗をかくほど暑かったなら二人で被ったら余計に汗をかきそうな気がする。

琳は寒がりだからちょうどいいだろうけど、碧斗くんは起きたらシャワーに連れて行こうかな。

「碧斗くーん、りーん。起きてー。朝だよー」

その声に先に反応したのはやっぱり碧斗くん。

「はるかちゃん、おはよー」

「おはよう。よく眠れた?」

「うん! あれ? ぱぱはー?」

目を覚ました碧斗くんは隣を見てすぐに西条さんがいないことに気づいた。

「朝からお仕事があるってもう出かけたんだよ。でもどうしてここにいたの知ってるの?」

「あおとー、おしっこしたくなって、ぱぱよんだのー」

「えっ? 夜に?」

びっくりして尋ね返すと碧斗くんは大きく頷いた。

「はるかちゃんおねんねしてたからー。おしっこいって、それでぱぱにいっしょにねよーっていったの」

そうか。だから西条さん、ここに寝てたんだ。
碧斗くんがトイレに行きたいことにも気がつかないくらい熟睡してたって……僕のばか。

西条さん、優しいから僕には何も言わなかったけど、碧斗くんのこと任されていたのにグースカ寝ちゃって呆れてたかもな……。

「んー」

「あ、りんくん。おはよー!」

僕が自己嫌悪に陥っていると琳が目を覚まして、碧斗くんの興味は一気にパパから琳に移ってしまったようだ。

嬉しそうに琳を抱きしめると、あの時のようにほっぺたにチューしている。

琳も碧斗くんからそうされることに全く嫌がるそぶりもなく、くすぐったいよーと笑っている。
いつもは寝起きのぐずりもあったりする琳だけど、碧斗くんがいてくれるだけで助かっている。

あ、そうだ。シャワー浴びさせるんだった。

「碧斗くん、汗かいてる? シャワー行こっか」

「ん? あせ?」

キョトンとする碧斗くんの首元に手を当てると、特にベタベタする様子もない。
パジャマもそこまで気にするほど汗をかいていないな。

なんとなく違和感を感じながらも、とりあえず二人をトイレに連れて行って着替えさせた。

琳の服は昨日と同じ服。
乾燥機にかけていたからすっかり乾いている。

ついでに僕も着替えておこう。
いつまでもパジャマのままじゃ子どもたちに示しがつかないもんね。

碧斗くんと琳をサークルで遊ばせている間にささっと着替えを済ませた。

今日の朝ごはんはサンドイッチとフルーツ。
これなら手を怪我している琳も食べやすい。

三人での朝食を済ませて、洗濯しておいたふわふわブランケットをテラスに干し、次の洗濯物を洗濯機に入れた。
リビングに戻ってくると、碧斗くんと琳は二人でサークルの中で楽しそうに絵本を読んでいる。

この間に掃除でも……と思っていたところに、碧斗くんが立ち上がってサークルにしがみついた。

「ねぇねぇ、はるかちゃん。かくれんぼしたいー!」

「かくれんぼ? でも琳は……」

手を怪我しているしな。無理はさせたくない。
だけどその提案に琳の目が輝いた。

「かくれんぼ、したいー! したいー!」

いつもなら保育園で動き回っている時間だし、かくれんぼと聞けばやりたくなるのも無理はない。
ただでさえ、怪我をして好きなように動けずに身体がウズウズしているんだから。

「わかった、わかった。じゃあ、キッチンとテラス。そしてあそこにある碧斗くんのパパのお部屋は入っちゃダメ。いい?」

「「はーい!」」

返事は素直に元気よくする二人に笑ってしまいそうになりながら、僕はかくれんぼの許可を出した。

「じゃあ、りんくんからさきにかくれていーよ! あおとがりんくんをみつけるから!」

「わーい!」

碧斗くんが小さな手で目を覆ったのを見て、琳は嬉しそうにトタトタとかけだしていった。
僕はその後をそっと追いかけると、琳は脱衣所の洗濯機の陰にしゃがみ込んでかくれた。

ふふ、あれならすぐに見つかりそう。
でも三歳、四歳のかくれんぼならあんなものか。

僕が脱衣所から出ると、琳が「もーいーよ」と声を上げた。

碧斗くんに聞こえてなさそうだったから、もういいみたいだよと教えてあげると嬉しそうに探しにいった。

そして数分後、

「みーつけたー!!」

碧斗くんの嬉しそうな声がリビングにいた僕の耳にも聞こえてきた。

早かったな、やっぱりすぐに見つかったか。

「みつかっちゃったぁー!」

そう言っている琳も嬉しそうな声だからいいか。
二人でリビングに戻ってきて、今度は碧斗くんが隠れる番。

琳は手で目を隠せないから、目をぎゅっと瞑って待っている。

「どこにしよーかなー」

トタトタ走りながら、碧斗くんが扉を開けていく。

「あ、そこはダメだよ」

碧斗くんが西条さんの部屋の扉を開けているのが見えて、慌てて注意した。

「はーい」

碧斗くんは素直にその場から離れて他の隠れ場所を探しにいったけれど、僕は初めて見る西条さんの部屋の電気がつけっぱなしになっていたのが気になった。

勿体無いなぁ。これって消したほうがいいよね?

入っちゃダメだって言われているけど、電気を消すだけ。
自分に言い聞かせてそっと中に入り、リモコンを手に取って消そうとしたら、ベッド横のゴミ箱に目が留まった。

「えっ、これ……」

ゴミ箱の中の大量のティッシュに思わず顔が赤くなる。
自分だって男だからこれがなんの用途で使われたものか、わかる。

僕は慌てて電気もそのままに部屋を飛び出した。
しおりを挟む
感想 527

あなたにおすすめの小説

忘れられた幼な妻は泣くことを止めました

帆々
恋愛
アリスは十五歳。王国で高家と呼ばれるう高貴な家の姫だった。しかし、家は貧しく日々の暮らしにも困窮していた。 そんな時、アリスの父に非常に有利な融資をする人物が現れた。その代理人のフーは巧みに父を騙して、莫大な借金を負わせてしまう。 もちろん返済する目処もない。 「アリス姫と我が主人との婚姻で借財を帳消しにしましょう」 フーの言葉に父は頷いた。アリスもそれを責められなかった。家を守るのは父の責務だと信じたから。 嫁いだドリトルン家は悪徳金貸しとして有名で、アリスは邸の厳しいルールに従うことになる。フーは彼女を監視し自由を許さない。そんな中、夫の愛人が邸に迎え入れることを知る。彼女は庭の隅の離れ住まいを強いられているのに。アリスは嘆き悲しむが、フーに強く諌められてうなだれて受け入れた。 「ご実家への援助はご心配なく。ここでの悪くないお暮らしも保証しましょう」 そういう経緯を仲良しのはとこに打ち明けた。晩餐に招かれ、久しぶりに心の落ち着く時間を過ごした。その席にははとこ夫妻の友人のロエルもいて、彼女に彼の掘った珍しい鉱石を見せてくれた。しかし迎えに現れたフーが、和やかな夜をぶち壊してしまう。彼女を庇うはとこを咎め、フーの無礼を責めたロエルにまで痛烈な侮蔑を吐き捨てた。 厳しい婚家のルールに縛られ、アリスは外出もままならない。 それから五年の月日が流れ、ひょんなことからロエルに再会することになった。金髪の端正な紳士の彼は、彼女に問いかけた。 「お幸せですか?」 アリスはそれに答えられずにそのまま別れた。しかし、その言葉が彼の優しかった印象と共に尾を引いて、彼女の中に残っていく_______。 世間知らずの高貴な姫とやや強引な公爵家の子息のじれじれなラブストーリーです。 古風な恋愛物語をお好きな方にお読みいただけますと幸いです。 ハッピーエンドを心がけております。読後感のいい物語を努めます。 ※小説家になろう様にも投稿させていただいております。

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

子持ちの私は、夫に駆け落ちされました

月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

美形×平凡の子供の話

めちゅう
BL
 美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか? ────────────────── お読みくださりありがとうございます。 お楽しみいただけましたら幸いです。 お話を追加いたしました。

分厚いメガネ令息の非日常

餅粉
BL
「こいつは俺の女だ。手を出したらどうなるかわかるよな」 「シノ様……素敵!」 おかしい。おかしすぎる!恥ずかしくないのか?高位貴族が平民の女学生に俺の女ってしかもお前は婚約者いるだろうが!! その女学生の周りにはお慕いしているであろう貴族数名が立っていた。 「ジュリーが一番素敵だよ」 「そうだよ!ジュリーが一番可愛いし美人だし素敵だよ!!」 「……うん。ジュリーの方が…素敵」 ほんと何この状況、怖い!怖いすぎるぞ!あと妙にキモい 「先輩、私もおかしいと思います」 「だよな!」 これは真面目に学生生活を送ろうとする俺の日常のお話

冷徹公爵の誤解された花嫁

柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。 冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。 一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。

処理中です...