不感症の僕が蕩けるほど愛されちゃってます

波木真帆

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最初で最後の人※

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安田さんに身体を奪われたあの日、僕は体液やらローションやらでドロドロに汚れた身体のまま、裸で冷たいシーツの上に転がされていた。
道端に落ちているぼろ布のように扱われたことも悔しかったし、尋常じゃない痛みと太ももを伝わる嫌な感触に涙が止まらなかった。


だけど、今日は違う。
いつの間にか身体は綺麗に清められ、智さんにしっかりと抱きしめられている。
お互いに裸なのが少し恥ずかしい気もするけれど、そのお陰で智さんの温もりを肌で感じられるのが嬉しい。

セックスの最中、ずっと智さんは僕を気遣ってくれながらも余裕のない顔で僕を求めてくれた。
そして、智さんに抱きしめられながら心も身体もたくさんの愛を感じた。

大好きな人に求められ、僕も智さんの愛を求めて……これが愛し合うという行為だったんだ。
僕は本当に何も知らなかった。

あの時、無理やり中に侵入されて身体も心も傷つけられて、大切な処女を失ってしまったって思ってた。
穢れた僕はもう幸せを願っちゃいけないんだと。

でも、違ったんだ。

――どちらかでも心が伴ってないセックスはただの暴力

智さんが言ってくれたこの言葉の意味が今でははっきりとわかる。

安田さんとのアレはセックスなんかじゃなかったんだ。

だから、僕は愛する人に初めてを捧げた。
そう思っていいよね?

「智さん……僕の最初で最後の人になってください……」

まだ眠っている智さんの心に届くようにそっと呟き、智さんのほっぺたにちゅっとキスすると、突然ギュッと抱きしめられた。

「わっ! あ、起こしちゃい、ましたか?」

「ふふっ。私の可愛い子猫が腕の中で戯れているのを見逃すわけにはいかないからな」

「子猫って……恥ずかしいです……っ」

「可愛いんだから仕方ないだろう? 私は一生可愛い暁を離すつもりはないよ。暁はもう私だけのものだ」

「智さん――ったっ!」

智さんの言葉が嬉しくて抱きつこうとしたら腰にびりっと痛みが走った。

「暁っ、大丈夫か?」

「ごめんなさいっ、なんか腰が……」

「暁が謝ることはないよ。全部私のせいだ」

「えっ? 智さんのせい? どうしてですか?」

「暁が可愛すぎてなかなか手放せなかったからな。私も淡白だと思ってたんだが、暁を前にするとどうも我慢できなくて……身体を清めながら、風呂場でも暁を愛してしまったんだ。意識失っていたのに、本当に悪い」

「そんな……っ、謝らないでください。僕……すっごく嬉しいのに……」

「嬉しい?」

「はい。だって、智さんがそんなに求めてくれるなんて……思わなかったから」

僕の身体に我慢できないくらい興奮してくれたって、それだけですっごく嬉しい。

「暁……私はもう暁にしか反応しないよ。だから、私にとっても暁が最初で最後の心から好きになった相手だ」

「智さん……っ、嬉しいっ!!」

「暁……今、悪いと謝ったばかりの口でこんなことを言うのは申し訳ないんだが……今、暁が欲しくてたまらないんだ。優しくするから、もう一度愛したい。いいか?」

「智さん……僕も、智さんに愛されたいです……」

「暁っ!!」

「んんっ!!」

智さんの柔らかな唇が重ねられ、それからじっくりと身体中にキスされて、智さんが僕の身体の奥に挿入ってきた。
昨夜の行為でまだ柔らかいままだったんだろう。
僕の中は智さんの形を覚えているようでスルスルと受け入れていった。

ピッタリとはまったパズルのように、智さんの大きなモノが僕の最奥に挿入ってきて心地よい快感に僕はあられもなく声を出し続けた。

そして、何度か智さんの精を身体の中で受け止めて僕はそのままお風呂場へと連れて行かれた。

「さ、としさん……」

「暁は寝ていていいよ。綺麗に清めておくから」

「ぼ、くも、さとし、さんを……き、れいに……」

「ふふっ。そうか、じゃあ、今度は暁にお願いしよう。今日は休んでいてくれ」

そう優しく抱きしめられているうちに、僕はうとうととしかけてしまう。
ああ、やっぱり智さんに抱きしめられると心地良すぎて眠ってしまうな。

「おやすみ……暁。愛してるよ。起きたら大事な話をしよう……」

薄れゆく意識の中でそんな言葉が聞こえたような気がした。
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