歩けなくなったお荷物な僕がセレブなイケメン社長に甘々なお世話されています

波木真帆

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完璧な計画

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< side未知子>

ーああ、母さん。今、ひかるは近くにいる?

ーええ。でも眠っているわ。

ーそうか、それなら今のうちに話をしておくよ。

ーどうしたの? 何か進展があったの?

ーああ。磯山先生と榊さんが協力してくれることになって、もう今日にでも決着がつきそうだ。だから、今日は少し帰宅が遅くなるかもしれない。

ーそう。ひかるくんが寂しがるかもしれないけど、仕方がないわ。決着するなら早い方がいいものね。大丈夫。ひかるくんのことは私に任せておいて。

ーひかるが寂しがるってどういうことだ?

ー部屋が広すぎるっていうから、夜は征哉が隣で寝るから大丈夫って言っておいたの。そうしたら、少し照れているみたいだったけれど表情は嬉しそうだったわ。きっと誰かと一緒に寝るのが初めてなのね。征哉が早く帰ってきたらいいなって、さっきも休む前も何度も話していたから。

そう教えてやると、電話口の征哉がハッと息を呑んだ気がした。

ー征哉? どうかした?

ーああ、いや。なんでもないよ。終わったら急いで帰ってくるから。起きたらそう伝えておいてくれ。

わかったわという私の返事を聞いたかどうかわからないうちにさっさと切ってしまう征哉の様子に思わず笑ってしまう。
あの子はきっと驚くようなスピードで全てを終わらせてくるはずね。
ふふっ。こんなにもひかるくんを特別に思っているくせに、まだ気づいていないなんて……。
本当に、あの子にとっては初めての感情なのかもしれないわね。


<side征哉>

ひかるが、私が帰ってくることを望んでいるばかりか、私が隣で寝ることを嫌がっていないなんて……。
そんなことを知ってしまったら、早く帰らないわけには行かないな。
ひかるが起きている間に帰れたらいいが、とりあえず今は目の前のことを終わらせるしかないか。

奴を尾行してくれている調査員からの報告によればまだ奴は自宅にいるようだ。
今日は臨時休業にしたらしいと言っていた。

まぁ、それもそうだろう。
スタッフがひかるしかいない中で営業して、やっと回せていたというのにひかるなしでは到底営業できるはずがない。
それに今は、店よりも示談金を受け取ることの方が奴にとっては重要だからな。

今は、どうやって忍び込むかを足りない頭で必死に考えていることだろう。

どれだけ愚かで杜撰な計画でも部屋には問題なくたどり着けるようにしてやるよ。
そこにはひかるはいないけどな。

「榊さん、今日は力を貸してくださってありがとうございます」

「いや、あんな奴を野放しにしていた私たちに捕まえる機会を与えてもらってありがたいと思っているよ。それで、被害者の子は大丈夫なのか?」

「はい。我が家で母がそばについていてくれていますから、問題ありません」

「ああ、未知子さんが一緒なら安心だな」

聖ラグエル病院内にある会議室を対策本部にして、榊さん主導の元、私服警官が配備される。
どうみても、入院患者や病院関係者にしか見えないからさすがだ。

さぁ、こっちの準備は万端だ。
いつでも罠にかかりに来い。


<side養父 佐伯茂雄 >


「じゃあ、行ってくるぞ」

「あんた! しっかりサインさせてくるんだよ!」

「ああ、わかってるって」

示談金と慰謝料が手に入ったら、あのババアはさっさと捨てて若くて可愛い嫁でももらうか。
あいつの兄貴がやっている施設から邪魔者を引き取る代わりに金をもらっていたから、あいつをそばに置いといてやったが、大金が入ればあいつなんかなんの価値もない。

俺の人生もこれからだな。

俺は勝利を確信しながら、聖ラグエル病院に向かった。

さすがに表から入るわけにはいかねぇからな。
こういうところにはいくつか裏口があるはずだ。

そっと裏にまわれば五箇所ある裏口の中で一番端の裏口の鍵が開いていた。

へへっ。思った通りだ。
ちょろいもんだよ。

ゆっくりと扉を開け、中を覗いてみたが誰もいる気配はない。

大病院といってもこんなもんだよな。

とりあえず特別室か。
階段かエレベーターでも……。

キョロキョロと辺りを見回していると、突き当たりの角にエレベーターが見えた。

よし! ツイてるな、俺。

特別室は……7階か。
三部屋あるみたいだが、どこかまではわからんな。

とりあえず部屋を見ていけばいいか。

そう思っていたが、7階について見てみると、真ん中と端の部屋には空室の札がかかっている。

なんだ、すぐに見つかったな。
楽勝だ。

そっと扉を開け、中に入ると大きなベッドが見える。

ちっ!
こんないい部屋で寝てやがる。
ひかるのくせに図々しい。

っと、その前にあの監視カメラ壊しとかねぇとな。
今の俺の姿が映ったら困る。

そっとカメラの死角に入り、ホームセンターで買ってきたスプレーをかけ画面が映らないようにしてやった。
本当はバキバキに壊したいところだが、ひかるが起きて騒ぎ出したらうるさいからな。

これだけスプレーかけとけば大丈夫だろう。

よし。
あとはひかるにサインを……あっ、これ!

ひかるのベッドに近づこうと思った俺の目に飛び込んできたのはテーブルに置かれた小さな機械。

これ、ボイスレコーダーじゃねぇか。
ハハッ。こんなところに置きっぱなしとは威勢のいいこといっていたわりにはあの医者も間抜けだな。

これもありがたくもらっとくぜ。

あとは、ひかるにサインを貰えばいい。

とりあえずポケットに忍ばせていたナイフを取り出し、ベッドに近づいた。
これで脅せばすぐに書くだろう。
どうせ相手は自分で動くこともでないガキだからな。

ベッドに近づき、

「おいっ! いい加減に起きろよ!! 俺の手を煩わせんな!」

そう叫びながら布団を剥ぎ取った瞬間、鋭い勢いで何かが飛んできたと思ったら一瞬のうちに手に持っていたナイフが弾き飛ばされた。
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