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一緒にやりたいこと
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「あら、おかえりなさい」
「未知子お母さん、ただいま」
「浅香さんとのお茶会はどうだった?」
一花の笑顔で楽しかったということはわかっているだろうけれど、母さんは一花の口からいろいろと聞きたいんだろう。
部屋に戻る時間も惜しむように一花に話しかけている。
「はい、すっごく楽しかったです。あと、途中で榎木先生と佳史さんに会って、一緒にお茶したんです」
「あら、ふふっ。榎木先生と有原さんもデートしてたのね。相変わらず仲良しだった?」
「ああ。有原くんが限定スイーツを食べたいと言ってイリゼホテルに来ていたようだ。榎木くんはいつも通り余裕な表情をしていたが、有原くんは照れまくっていたな。でも一花と浅香さんとお茶をして楽しんでいたようだよ」
まさかあんな話をしていたとは流石に母さんには言えないが、楽しそうだったのは確かだ。
「今度、浅香さんと佳史さんがお家に来てくれることになったんです!」
「あら、じゃあその時は私もお邪魔しちゃおうかしら」
「はい。あっ、お母さん。これ、お土産です。浅香さんがお母さんって」
「まぁまぁ、嬉しいわ。あとで浅香さんにお礼を言っておかないとね」
「大丈夫。私から言っておくよ」
今頃は蓮見さんと甘い時間を過ごしているかもしれないからな。
「一花。少し休むか?」
「大丈夫です。今日はすごく楽しかったから、疲れてないです」
「そうか、じゃあちょっとやりたいことがあるから一緒にやろうか」
そう言って、一花をベッドに座らせてポケットからスマホを取り出した。
「一花のスマホも出してくれるか?」
「はーい」
あのふれあいパークで家族とグリで撮った写真が待ち受けのスマホを取り出し、ロックを解除すると生まれたばかりの一花を抱いた櫻葉会長夫妻の写真が現れる。
どちらも一花のお気に入りの写真だ。
何をするわけでもなく、写真だけを見つめているときもあるくらいだからな。
「何をするんですか?」
「ああ、そうだった」
あまりにも可愛い一花の写真に思わず見惚れてしまっていたが
「さっき蓮見さんに面白いアプリを教えてもらったんだ。それを一花にも使えるようにしようと思ってね」
そう言って、アプリの説明を始めた。
「一花が集中しても時間を忘れることのないように、時間になったら私の声で知らせるアプリなんだよ」
「えっ、征哉さんの声が聞こえるんですか?」
「ああ、嬉しいか?」
「はい。征哉さんの声なら絶対忘れたりしないし、それに……お仕事でいない時間に征哉さんに声をかけられるのは嬉しいです」
「ああ、そうだな。私も同じだ。仕事中に一花の声で労ってもらおうと思ってるんだ。そうすれば仕事も捗りそうだよ」
「ふふっ。征哉さんの役に立てるなら嬉しいです」
一花の嬉しそうな表情を見ながら、一花のスマホにQRコードを読み取り私の番号を入れて登録する。
登録が完了したら、お互いのアイコンを作り合う。
このアイコンが、アラームが鳴った時に声と共に現れて起こしてくれるのだ。
「ここで作ったアイコンが声と一緒に現れるんだよ」
アイコンの作り方を一花に説明すると、
「わぁー、楽しそうです! じゃあ、征哉さんにそっくりなのも作れるんですね」
「ああ、そうだ。私も一花にそっくりなアイコンを作るよ」
「ふふっ。嬉しいです」
それからお互いに画面を見ながら、アイコンを作り上げていく。
倉橋社長が開発しただけあって、細部にまでこだわりが詰まっていて、輪郭ひとつとってもものすごい種類がある。
この中から一花に合うものを選ぶのは、私でも楽しく感じられる。
一花によく似たアイコンを作る。
小さめの丸顔にぱっちりとした大きな目、小さいけれど形の良い鼻と、ぷるぷると瑞々しい唇、そしてショートカットより少し伸びた艶々の黒髪を合わせると、
「ああっ、いいな」
思わず声が漏れてしまうほど、一花にそっくりなアイコンが出来上がった。
あとは洋服だな。
あの時の耳付きのパーカーが可愛かったが、あれに似たものはあるだろうかと衣服を探してみると、
「これはすごいな」
驚くほどの洋服が現れた。
さすが倉橋社長と思えるほどたくさんの衣装が現れた。
普段着だけでも百着以上はあるだろうか。
他にもドレスや着物、着ぐるみに下着もたっぷり揃っている。
いくらでも着せ替えが自由だから、今はとりあえず一花に見せてもいいものにしておこうか。
あとでドレスや下着なんかに着替えさせてもいい。
思わずにやけそうになるのを必死に抑えながら、衣装を選ぶ。
当然のように見つかったウサギ耳付きのグレーのパーカーを選んで着せ、白のズボンを合わせると、まさにあの日、温泉旅行に行った日の一花が現れた。
「ああ、いいな。これでいい」
満足いく仕上がりになったアイコンを見ながら、一花にも
「できたか?」
と声をかけると、一花は満足げな顔で
「はい、できました!!」
と画面を見せてくれた。
「未知子お母さん、ただいま」
「浅香さんとのお茶会はどうだった?」
一花の笑顔で楽しかったということはわかっているだろうけれど、母さんは一花の口からいろいろと聞きたいんだろう。
部屋に戻る時間も惜しむように一花に話しかけている。
「はい、すっごく楽しかったです。あと、途中で榎木先生と佳史さんに会って、一緒にお茶したんです」
「あら、ふふっ。榎木先生と有原さんもデートしてたのね。相変わらず仲良しだった?」
「ああ。有原くんが限定スイーツを食べたいと言ってイリゼホテルに来ていたようだ。榎木くんはいつも通り余裕な表情をしていたが、有原くんは照れまくっていたな。でも一花と浅香さんとお茶をして楽しんでいたようだよ」
まさかあんな話をしていたとは流石に母さんには言えないが、楽しそうだったのは確かだ。
「今度、浅香さんと佳史さんがお家に来てくれることになったんです!」
「あら、じゃあその時は私もお邪魔しちゃおうかしら」
「はい。あっ、お母さん。これ、お土産です。浅香さんがお母さんって」
「まぁまぁ、嬉しいわ。あとで浅香さんにお礼を言っておかないとね」
「大丈夫。私から言っておくよ」
今頃は蓮見さんと甘い時間を過ごしているかもしれないからな。
「一花。少し休むか?」
「大丈夫です。今日はすごく楽しかったから、疲れてないです」
「そうか、じゃあちょっとやりたいことがあるから一緒にやろうか」
そう言って、一花をベッドに座らせてポケットからスマホを取り出した。
「一花のスマホも出してくれるか?」
「はーい」
あのふれあいパークで家族とグリで撮った写真が待ち受けのスマホを取り出し、ロックを解除すると生まれたばかりの一花を抱いた櫻葉会長夫妻の写真が現れる。
どちらも一花のお気に入りの写真だ。
何をするわけでもなく、写真だけを見つめているときもあるくらいだからな。
「何をするんですか?」
「ああ、そうだった」
あまりにも可愛い一花の写真に思わず見惚れてしまっていたが
「さっき蓮見さんに面白いアプリを教えてもらったんだ。それを一花にも使えるようにしようと思ってね」
そう言って、アプリの説明を始めた。
「一花が集中しても時間を忘れることのないように、時間になったら私の声で知らせるアプリなんだよ」
「えっ、征哉さんの声が聞こえるんですか?」
「ああ、嬉しいか?」
「はい。征哉さんの声なら絶対忘れたりしないし、それに……お仕事でいない時間に征哉さんに声をかけられるのは嬉しいです」
「ああ、そうだな。私も同じだ。仕事中に一花の声で労ってもらおうと思ってるんだ。そうすれば仕事も捗りそうだよ」
「ふふっ。征哉さんの役に立てるなら嬉しいです」
一花の嬉しそうな表情を見ながら、一花のスマホにQRコードを読み取り私の番号を入れて登録する。
登録が完了したら、お互いのアイコンを作り合う。
このアイコンが、アラームが鳴った時に声と共に現れて起こしてくれるのだ。
「ここで作ったアイコンが声と一緒に現れるんだよ」
アイコンの作り方を一花に説明すると、
「わぁー、楽しそうです! じゃあ、征哉さんにそっくりなのも作れるんですね」
「ああ、そうだ。私も一花にそっくりなアイコンを作るよ」
「ふふっ。嬉しいです」
それからお互いに画面を見ながら、アイコンを作り上げていく。
倉橋社長が開発しただけあって、細部にまでこだわりが詰まっていて、輪郭ひとつとってもものすごい種類がある。
この中から一花に合うものを選ぶのは、私でも楽しく感じられる。
一花によく似たアイコンを作る。
小さめの丸顔にぱっちりとした大きな目、小さいけれど形の良い鼻と、ぷるぷると瑞々しい唇、そしてショートカットより少し伸びた艶々の黒髪を合わせると、
「ああっ、いいな」
思わず声が漏れてしまうほど、一花にそっくりなアイコンが出来上がった。
あとは洋服だな。
あの時の耳付きのパーカーが可愛かったが、あれに似たものはあるだろうかと衣服を探してみると、
「これはすごいな」
驚くほどの洋服が現れた。
さすが倉橋社長と思えるほどたくさんの衣装が現れた。
普段着だけでも百着以上はあるだろうか。
他にもドレスや着物、着ぐるみに下着もたっぷり揃っている。
いくらでも着せ替えが自由だから、今はとりあえず一花に見せてもいいものにしておこうか。
あとでドレスや下着なんかに着替えさせてもいい。
思わずにやけそうになるのを必死に抑えながら、衣装を選ぶ。
当然のように見つかったウサギ耳付きのグレーのパーカーを選んで着せ、白のズボンを合わせると、まさにあの日、温泉旅行に行った日の一花が現れた。
「ああ、いいな。これでいい」
満足いく仕上がりになったアイコンを見ながら、一花にも
「できたか?」
と声をかけると、一花は満足げな顔で
「はい、できました!!」
と画面を見せてくれた。
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