287 / 310
番外編
釣りって楽しい!
しおりを挟む
「んーーっ!! 重いっ!!」
「大丈夫、私が一緒に支えるから」
征哉さんが自分の釣竿を船に固定して、さっと僕の後ろに回って一緒に竿を持ってくれる。
「いいか。魚のタイミングに合わせるんだ。動き回る魚がふっと力を抜いた瞬間に引っ張るぞ」
「はい!」
一緒に竿を持ちながら、魚に引っ張られる感覚を手のひらに感じさせる。
まだだ、まだだ……。
手のひらに集中させる。
すると、ふっと力が抜けたような感覚を覚えた。
今だ! と思った瞬間、
「今だ!」
と征哉さんの声が聞こえた。
それに反応するようにグッと竿をあげると、魚が海から飛び出してきた。
「わぁー! 釣れたー!! おっきなお魚!!! 真っ赤なお魚だよ!」
僕が喜びの声をあげると、魚はビタン! と大きな音を立てて船の床に落ちた。
「おおー! すごいな、一花! アカムツじゃないか。これはすごいぞ!」
「あかむつ?」
「ああ。すごく美味しい魚で高級魚と言われてるんだぞ。刺身でも塩焼きでも煮付けでもなんでも美味しいからあとでこれを料理して食べよう」
「わぁー! 楽しみ!!」
「二階堂、一花が魚を釣り上げたところをちゃんと撮ったか?」
「もちろんでございます。あとでお楽しみくださいませ」
「わぁ、二階堂さん。ありがとう!!」
さっきは無我夢中でどうやってお魚が釣れたか覚えてないもんね。
「さぁ、一花。もう一度釣りを楽しもう」
「はーい。パパー、お魚さんの餌、つけてほしいな」
「ああ、私がつけよう」
パパにお願いするとすぐにつけてくれる。
そして今度は征哉さんと一緒に釣竿を振った。
またお魚さん釣れたらいいなぁ。
なんてお思っていると、今度は征哉さんのところにお魚さんが来たみたい。
「一花、一人で釣竿持っていられるか?」
「はい。大丈夫です! 征哉さん、頑張って釣ってください!!」
「ああ、大物を釣り上げるから楽しみにしててくれ」
僕からさっと離れて固定していた釣竿を持ち上げる。
グッと釣竿を引きながらリールを巻くその姿がかっこいい。
勢いよく征哉さんが竿をあげると魚がビタン! とまた音を立てて船の床に落ちた。
「わっ! 今度のもおっきい!」
「おお、金目鯛だぞ。これも煮付けにすると美味しいんだ」
「わぁー! 美味しいお魚! 征哉さん、すごーい!」
「ははっ。一花のアカムツがもっとすごいよ」
「じゃあ、私も大物を狙おうかな」
「パパー、頑張ってー!」
「ああ、任せておけ。私が麻友子と同じ真鯛を釣って、美味しい刺身を食べさせよう」
パパは嬉しそうに餌をつけるとヒョイっと遠くに飛ばした。
釣りをしているパパもかっこいいな。
「おー、引きが来たぞ!」
パパはクイクイと釣竿を動かして、リールを巻き始める。
「パパ、すごいな……」
「一花、釣りは楽しいか?」
「うん。とっても楽しい!」
ぼーっとパパを見つめていると征哉さんに尋ねられて答えた。
「そうか、じゃあ私も一花との釣り用に船を買うかな」
「えっ? 今、なんて言ったんですか? ちょっと聞こえなかった」
「いや、なんでもない。いい天気でよかったなって言ったんだ」
「はい。本当に楽しいです。今度は直くんたちも一緒にこれたらいいな」
「ああ。そうだな。そういうのも楽しいかもしれないな」
きっと征哉さんも釣りが楽しいんだな。
みんなで楽しいことができて僕は嬉しい。
「一花ーっ、釣れたぞ!!」
「わぁー! パパーすごーい!!」
パパは釣りあげた魚の口に指を入れて僕に見せる。
尻尾がバタバタと震えている。
パパは僕に見せると嬉しそうに小さなプールみたいなところに魚を入れた。
僕と征哉さんが釣った魚も一緒にそこで泳いでいる。
それからもアジとかサバとか、もう一匹アカムツとかたくさん釣れて僕は大満足だった。
「じゃあ、マリーナに戻って釣った魚で料理してもらおうか」
「わぁー、食べたい!!」
釣竿を片付けて、運転席に戻る。
ゆっくりと港に向かって動き始めた。
船の動きに身体を預けていると、なんだか眠くなってきた。
いっぱい身体を動かしたからかな。でももうちょっとだけ運転席から海を見たかったんだけどな。
「一花、眠いならあっちにベッドがあるぞ」
「うーん、ここがいい」
「そうか。じゃあ征哉くん、頼むよ」
パパのそんな声が聞こえたと思ったら、僕の身体はゆっくりと倒された。
征哉さんが膝に僕の頭を乗せてくれて、背中をトントンと叩かれるとそのまま気持ちよくなって眠ってしまった。
釣りって、本当に楽しかったな。
「大丈夫、私が一緒に支えるから」
征哉さんが自分の釣竿を船に固定して、さっと僕の後ろに回って一緒に竿を持ってくれる。
「いいか。魚のタイミングに合わせるんだ。動き回る魚がふっと力を抜いた瞬間に引っ張るぞ」
「はい!」
一緒に竿を持ちながら、魚に引っ張られる感覚を手のひらに感じさせる。
まだだ、まだだ……。
手のひらに集中させる。
すると、ふっと力が抜けたような感覚を覚えた。
今だ! と思った瞬間、
「今だ!」
と征哉さんの声が聞こえた。
それに反応するようにグッと竿をあげると、魚が海から飛び出してきた。
「わぁー! 釣れたー!! おっきなお魚!!! 真っ赤なお魚だよ!」
僕が喜びの声をあげると、魚はビタン! と大きな音を立てて船の床に落ちた。
「おおー! すごいな、一花! アカムツじゃないか。これはすごいぞ!」
「あかむつ?」
「ああ。すごく美味しい魚で高級魚と言われてるんだぞ。刺身でも塩焼きでも煮付けでもなんでも美味しいからあとでこれを料理して食べよう」
「わぁー! 楽しみ!!」
「二階堂、一花が魚を釣り上げたところをちゃんと撮ったか?」
「もちろんでございます。あとでお楽しみくださいませ」
「わぁ、二階堂さん。ありがとう!!」
さっきは無我夢中でどうやってお魚が釣れたか覚えてないもんね。
「さぁ、一花。もう一度釣りを楽しもう」
「はーい。パパー、お魚さんの餌、つけてほしいな」
「ああ、私がつけよう」
パパにお願いするとすぐにつけてくれる。
そして今度は征哉さんと一緒に釣竿を振った。
またお魚さん釣れたらいいなぁ。
なんてお思っていると、今度は征哉さんのところにお魚さんが来たみたい。
「一花、一人で釣竿持っていられるか?」
「はい。大丈夫です! 征哉さん、頑張って釣ってください!!」
「ああ、大物を釣り上げるから楽しみにしててくれ」
僕からさっと離れて固定していた釣竿を持ち上げる。
グッと釣竿を引きながらリールを巻くその姿がかっこいい。
勢いよく征哉さんが竿をあげると魚がビタン! とまた音を立てて船の床に落ちた。
「わっ! 今度のもおっきい!」
「おお、金目鯛だぞ。これも煮付けにすると美味しいんだ」
「わぁー! 美味しいお魚! 征哉さん、すごーい!」
「ははっ。一花のアカムツがもっとすごいよ」
「じゃあ、私も大物を狙おうかな」
「パパー、頑張ってー!」
「ああ、任せておけ。私が麻友子と同じ真鯛を釣って、美味しい刺身を食べさせよう」
パパは嬉しそうに餌をつけるとヒョイっと遠くに飛ばした。
釣りをしているパパもかっこいいな。
「おー、引きが来たぞ!」
パパはクイクイと釣竿を動かして、リールを巻き始める。
「パパ、すごいな……」
「一花、釣りは楽しいか?」
「うん。とっても楽しい!」
ぼーっとパパを見つめていると征哉さんに尋ねられて答えた。
「そうか、じゃあ私も一花との釣り用に船を買うかな」
「えっ? 今、なんて言ったんですか? ちょっと聞こえなかった」
「いや、なんでもない。いい天気でよかったなって言ったんだ」
「はい。本当に楽しいです。今度は直くんたちも一緒にこれたらいいな」
「ああ。そうだな。そういうのも楽しいかもしれないな」
きっと征哉さんも釣りが楽しいんだな。
みんなで楽しいことができて僕は嬉しい。
「一花ーっ、釣れたぞ!!」
「わぁー! パパーすごーい!!」
パパは釣りあげた魚の口に指を入れて僕に見せる。
尻尾がバタバタと震えている。
パパは僕に見せると嬉しそうに小さなプールみたいなところに魚を入れた。
僕と征哉さんが釣った魚も一緒にそこで泳いでいる。
それからもアジとかサバとか、もう一匹アカムツとかたくさん釣れて僕は大満足だった。
「じゃあ、マリーナに戻って釣った魚で料理してもらおうか」
「わぁー、食べたい!!」
釣竿を片付けて、運転席に戻る。
ゆっくりと港に向かって動き始めた。
船の動きに身体を預けていると、なんだか眠くなってきた。
いっぱい身体を動かしたからかな。でももうちょっとだけ運転席から海を見たかったんだけどな。
「一花、眠いならあっちにベッドがあるぞ」
「うーん、ここがいい」
「そうか。じゃあ征哉くん、頼むよ」
パパのそんな声が聞こえたと思ったら、僕の身体はゆっくりと倒された。
征哉さんが膝に僕の頭を乗せてくれて、背中をトントンと叩かれるとそのまま気持ちよくなって眠ってしまった。
釣りって、本当に楽しかったな。
1,224
あなたにおすすめの小説
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
ふたなり治験棟 企画12月31公開
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
若頭の溺愛は、今日も平常運転です
なの
BL
『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』続編!
過保護すぎる若頭・鷹臣との同棲生活にツッコミが追いつかない毎日を送る幼なじみの相良悠真。
ホットミルクに外出禁止、舎弟たちのニヤニヤ見守り付き(?)ラブコメ生活はいつだって騒がしく、でもどこかあったかい。
だけどそんな日常の中で、鷹臣の覚悟に触れ、悠真は気づく。
……俺も、ちゃんと応えたい。
笑って泣けて、めいっぱい甘い!
騒がしくて幸せすぎる、ヤクザとツッコミ男子の結婚一直線ラブストーリー!
※前作『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』を読んでからの方が、より深く楽しめます。
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる