天涯孤独になった僕をイケメン外国人が甘やかしてくれます

波木真帆

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日本旅行編

幸せな朝の目覚め

美味しいクッキーを味わっていると、エヴァンがパピーに声をかける。
キャリーケースがどうのって言ってるみたいだけど、何かあったのかな?

『そうか、じゃあ持ってきておいてくれ』

それだけはちゃんとわかった。

「エヴァン。何を持ってくるの?」

「ああ、ホッカイドウに行くためのキャリーケースだよ。今あるものを持っていくのは荷物が多すぎだから必要な分だけ持っていこうと思ってね」

「そっか、そんなこと何も考えてなかった」

僕は北海道に行けることだけしか頭になかったけど、エヴァンはいろいろ考えてたんだ……

「ユヅルはそれで良いんだ。みんなと楽しむことだけ考えていたらいい。準備は私やジュールがする」

「エヴァン……ありがとう。パピーも」

メルシーとお礼を伝えると、パピーは笑顔を見せてくれた。

おにぎりを食べた後に、美味しいお菓子も食べてお腹いっぱいになってしまった。

「ユヅル。もう眠いんじゃないか?」

「うん……」

「明日早いからもう寝ようか」

「うん……」

「歯磨きは私がしておくから……」

そんなことを話した気がする。もう頭の中は半分眠っていたみたい。
エヴァンに抱きしめられた感触と、頬に唇があたる感触まではわかったけれど、そのあとは夢の中に落ちてしまっていた。

「んっ……」

目を覚ますといつものようにエヴァンに抱きしめられていた。
ここだけみたら、フランスにいるのか、日本にいるのかもわからない。
きっと北海道に行っても朝の目覚めは同じだろう。

エヴァンとくっついて寝られることに幸せを感じながら、そっとエヴァンの頬に触れてみた。
少しざらついた頬。寝起きの朝だけ触れることができる。
この頬に触れられるのも僕だけなんだと思ったら、優越感でいっぱいになる。

エヴァンへの想いが込み上げてきて、ちゅっと唇を重ねる。
途端に僕を抱きしめる力が強くなる。

「あ、起きてた?」

「ああ。可愛い子猫が戯れているのをみていたよ」

愛おしそうに僕を見つめてキスを返してくれる。
本当に幸せすぎて怖いくらいだ。

『おはよう』

『おはよう。ユヅルのフランス語は実に可愛い』

まだ発音が覚束ないせいだと思うけれど、エヴァンが可愛いと言ってくれるならいいか。

「着替えて出かける準備をしようか」

「うん。あ、朝食は?」

「セルジュから昨夜連絡があった。ミシェルがユヅルとリュカと朝食を一緒に食べたいと言っているそうだ。個室を用意してもらっているからそこで食べよう」

「わーい!」

エヴァンとの二人っきりの時間ももちろん大好きだけど、ミシェルさんやリュカと一緒に過ごす時間も僕にとって大事な時間。さっと身支度を整えて、エヴァンと一緒にミシェルさんたちと朝食をとる部屋に向かった

「ねぇ、パピーもいる?」

「もちろんだ。すでに出発の準備もできているから朝食を食べたらそのまま空港に向かうぞ。アヤシロたちとは空港で待ち合わせだからな」

「わぁ、そうなんだ。楽しみだね」

北海道のスケジュールは全く知らないけれど、エヴァンがわかってくれているから安心だ。
僕はついていけばいい。

「ケイさんとも北海道で会うんだよね?」

「ああ。彼らはもうホッカイドウに到着しているとセルジュに連絡があったようだ。空港まで迎えに来るようだよ」

「そうなんだ。じゃあそのまま演奏会?」

「そういうことになるだろうな」

フランスに行ってからはほとんど毎日のようにヴァイオリンに触れていたから、日本に来てからヴァイオリンに触れなかっただけで不思議な感じがしていた。

フランスを発つ時にヴァイオリンを一緒に持ってきておいて正解だったな。

ある部屋の前に着き、エヴァンがノックをするとすぐに扉が開いた。

『旦那さま。ユヅルさま。おはようございます』

笑顔のパピーに出迎えられて挨拶を返す。

今日のパピーはなんだかすごく機嫌がいいみたい。
笑顔でエヴァンに何か話をしているけれど、内容はよくわからないな。

「ユヅル! おはよう」

部屋の奥からミシェルさんの声が聞こえる。

「あっ、おはよう!」

「よく眠れた?」

「うん! もう今日が楽しみでたまらなくって。ケイさんに会えるのも楽しみ!」

「ケイもユヅルたちに会えるのを楽しみにしてたよ。みて、これ!」

そう言って見せてくれたのは、雪国の写真。
その真ん中でもこもこのコートを着て笑顔を見せている人がいる。

ちょっと遠くて顔ははっきりと見えないけれど、すごく若そうな人だな。
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