天涯孤独になった僕をイケメン外国人が甘やかしてくれます

波木真帆

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日本旅行編

みんなで朝食

「この人がケイさん? 想像していたよりずっと若いんだね。僕と同じ年くらい?」

この年で世界的なピアニストなんて凄すぎる。
するとミシェルさんとリュカは顔を見合わせて笑い出した。

「どうかした?」

「ううん。やっぱりそう思っちゃうよねと思って」

「どういうこと?」

ミシェルさんとリュカがどうして笑っているのかわからない。
だけど、僕たちの会話を聞いていたセルジュさんたちも笑っているから、きっと僕が何かおかしなことを言ってしまったんだろう。でも全然心当たりがない。

「ごめん、ごめん。ケイは……えっと、日本語でなんて言うんだっけ? セルジュ」

セルジュさんに助けを求めると、彼はそっとミシェルさんに近づいて耳元で囁いた。

「あっ、そうだ! ドウ、ガンなんだよ」

「ドウ、ガン? ああ、童顔って……えっ、じゃあ僕より年上ってこと?」

「ケイは二十八だからリュカと同じ年だよ」

「えっ??」

びっくりしてリュカを見ると笑顔で頷いている。

「ケイさんが同じ年、って本当?」

「ええ。本当ですよ。全然見えないですけどね」

僕はその言葉にもう一度ケイさんの写真を見た。
服装が可愛らしいからと言う理由もあるんだろうけど、いや、絶対にリュカと同じ年には見えない。

というか、僕と同じ年だって言ったほうがすんなり納得してしまうくらいだ。
海外では日本人は若くみられると言うけれど、それにしたってすごく若い。

理央くんと空良くんも正直なところ、中学生くらいに見えるけれどケイさんの若さはそれ以上だな。

「ピアノの腕は年齢よりもずっと上だからそのギャップにびっくりするはずだよ」

ミシェルさんの言葉にみんなが頷く。
なんだかケイさんに会えるの、すごく楽しみになってきたな。

「さぁ、朝食にしよう」

エヴァンが声をかけてくれて僕たちはそれぞれ席に座った。
運ばれてきたのは、フランス式の朝食。
サクサククロワッサンとショコラショー。
それに果物やスープだ。

「明日はホッカイドウで新鮮な海産物の朝食を食べられるとミヅキが話していたから、今日はフランス式にしておいた」

確かにここにきてからおせちやお雑煮、お蕎麦に甘酒。それにおにぎりも食べたし、ちょっとパンが恋しくなっていたところだった。僕もすっかりフランスに慣れてきていたんだなとわかる。エヴァンはそんな僕のことをわかってこの朝食を用意してくれたんだろう。さすがだな。

まずはパピーが紅茶を淹れてくれて、それで一息つく。

「ユヅル、クロワッサン食べるか?」

「うん」

口を開けるだけでショコラショーに浸したクロワッサンが口に運ばれてくる。

『んー! 美味しい!』

『ユヅル。クロワッサン食べたらフランス語になってる』

『あっ!』

無意識に切り替わっていたことに、ミシェルさんに言われて気づいた。

『ユヅルの頭が二言語脳に切り替わってきたということだよ。だいぶフランス語に慣れてきたな』

話すのはまだまだ難しいけれど、聞き取りは良くなってきたかなとは思っていた。

『このまま行けば、フランス語も日本語と同じくらいに話せるようになるよ』

そう言われて嬉しくなる。
早く話せるようになって大学に通えたらいいな。

そこからはフランス語をメインに話しつつ、朝食を済ませた。

『それじゃあ着替えを済ませてロビーで集まろう』

エヴァンさんの声かけにセルジュさんたちが頷く。

『ユヅル。あのお揃いのコート持ってきてね』

『うん。わかった!』

クリスマスにママたちからプレゼントしてもらったあのふわふわのもこもこコート。
あれでみんなで北海道に行けるなんて幸せだな。

そうして着替えを済ませた僕たちは、もこもこコートを手に部屋を出た。
パピーと一緒にエレベータに乗り込みロビーに着くと、ちょうど同じタイミングで隣のエレベータからミシェルさんとセルジュさんが出てきて笑ってしまった。

『いいタイミングだったね』

『リュカたちはどこかなー。あ、あそこにいる!』

リュカの手にもちゃんとあのコートがかかっている。
ああ、ほんと楽しみすぎる。

エヴァンに案内されてホテルの玄関に向かうと、大きな車が用意されていた。
後ろに六人乗れるタクシーだ。パピーは助手席に乗るみたい。

エヴァンたちは僕たちを先に車に乗せてくれた。
広々とした車内はゆったりと寛げていい。

そうして車はあっという間に羽田空港に向かって走り出した。
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