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日本旅行編
ケイさんとの出会い
「ユヅル。狭くないか?」
「うん。大丈夫。エヴァンは大丈夫?」
僕はエヴァンに比べるとずっと身体も小さいから、この席も十分広く感じる。
でも大柄なエヴァンには狭く感じるのかもしれない。
「もっと僕のところに来ていいよ。僕は十分広いから」
「ユヅルは優しいな。ありがとう。私はユヅルが隣にいてくれたらどんな席でも快適に感じられるよ」
ギュッと抱きしめてくれるエヴァンの温もりが嬉しい。
そんな話をしていると、CAさんがやってきた。
フランス語でエヴァンに話しかけている。
かなりネイティブだけど、なんとなく何を話しているか聞き取れるのは嬉しい。
どうやら何か飲み物を用意してくれるみたい。すごいサービスだな。
『僕、ジュースが飲みたいな』
エヴァンに尋ねられるよりも前にそう答えると、エヴァンは一瞬驚いていたけれど、僕と同じものを頼んでいた。
CAさんがその場を離れるとすぐにエヴァンに尋ねられる。
「ユヅル。すごいな。聞き取れていたのか?」
「うん。ミシェルさんやリュカの言葉よりはずっと聞き取りやすかったから」
「そうか。本当に耳がフランス語を理解できるようになっているな。えらいぞ」
エヴァンに褒められるのがなんとも嬉しい。
すぐに運ばれてきたジュースで乾杯して、喜びを分かち合った。
そうしている間に飛行機は無事に北海道に向かって飛び立った。
「札幌まではどれくらい?」
「そうだな。一時間半ほどで到着するようだよ」
「えっ。そんなに早く?」
フランスから日本に来るのは半日以上かかったから、一時間半で北海道に行けると思うとなんだかすごく早く感じる。
「ああ。フランスに帰るのに比べれば日本国内の移動は楽なものだよ。ホッカイドウに行ったら今度はオキナワにも行こう。ジュールの恩人にお礼を言いにいかないとな」
「うん! そうだね!」
あの小さな田舎に住んでいた僕がエヴァンと一緒に日本を出たこともびっくりしていたのに、北海道や沖縄に行けるようになるなんて半年前の自分なら信じられないだろうな。本当に僕はこの数ヶ月で運命が変わってしまった。
大好きな人だけじゃなく、大切なお友だちもできて幸せすぎる。
母さんがいなくなってしまったことだけは辛いし、後悔しているけれど、お父さんとようやく一緒になれて嬉しそうな姿をあのとき見られたから、きっと母さんにとっても今が一番幸せなんだと思う。
「エヴァン……大好き」
いろんな思いが込み上げてきて、エヴァンにギュッと抱きついた。
スッとエヴァンの顔が近づいてきて、僕の唇に重なった。
チュッと重ねるだけの軽いキスだったけれど、僕の気持ちに応えてくれたエヴァンの優しさが嬉しかった。
唇を離して二人で顔を見合わせて笑っていると、
「弓弦くん!」
と突然声がして驚いた。
びっくりして二人で声のするほうに顔を向けると、そこにいたのは理央くん。
「これ、ママが飛行機の中でみんなにあげてって言って渡してくれたんだ。はい、これ。弓弦くんとエヴァンさんの分」
「これ、飴?」
「うん。飛行機に乗ると、えっと……気圧、で頭が痛くなるかもしれないからって。これ、すごくよく効くんだって」
「わぁ、ありがとう!」
喜んで受け取ると、理央くんと観月さんは僕たちの隣の席に座っていた佳都さんたちのところにも持って行っていた。
「なんだか理央くんたち、郵便屋さんみたい」
「ははっ。そうだな。ありがたく頂こうか」
「うん!」
二人でそれぞれ袋からだし、お互いに食べさせ合うように口に入れると、甘いいちごミルクの味が広がった。
「んー! 美味しい!」
舐めていると、さっきまで詰まっていた感じがしていた耳がスーッと通るのがわかる。
これ、本当に効きそうだな。
そうしてあっという間に一時間半の空の旅が終わった。
CAさんたちに見送られながら飛行機を降りると、通路から雪景色が見える。
「わぁー! すごい! 雪だよ! いっぱい積もってる!」
フランスを出る時もチラチラと雪が待っていたけれど、辺り一面真っ白なのは初めて見る景色だ。
「見て、空良くん! 雪がいっぱい!」
僕たちの後ろを歩いていた空良くんに声をかけると、目を丸くしていた。
「すごーい! これ、全部雪ー?」
この景色を見られただけで、雪国に来られて良かったって本当に思う。
「ケイ、到着口で待ってるって!」
「わぁ、そうなんですね。楽しみ!」
スマホを片手に教えてくれたミシェルさんたちと荷物受け取り場に向かう。
広々とした場所で流れてくるみんなの荷物をジュルジュさんとリュカが全てとってくれて、みんなで到着口から出た。
パパママたちは、あと十五分くらいで到着して出てくるんだって。
「ケイ、どこかなー?」
ウキウキしたミシェルさんの声にちょっと緊張してしまう。
「あっ、ミシェルー! ここだよー!」
そんな声が聞こえてきてそちらを向くと、エヴァンさんくらい背の高い男の人の隣で笑顔で手を振っている可愛い男の人がいた。
「うん。大丈夫。エヴァンは大丈夫?」
僕はエヴァンに比べるとずっと身体も小さいから、この席も十分広く感じる。
でも大柄なエヴァンには狭く感じるのかもしれない。
「もっと僕のところに来ていいよ。僕は十分広いから」
「ユヅルは優しいな。ありがとう。私はユヅルが隣にいてくれたらどんな席でも快適に感じられるよ」
ギュッと抱きしめてくれるエヴァンの温もりが嬉しい。
そんな話をしていると、CAさんがやってきた。
フランス語でエヴァンに話しかけている。
かなりネイティブだけど、なんとなく何を話しているか聞き取れるのは嬉しい。
どうやら何か飲み物を用意してくれるみたい。すごいサービスだな。
『僕、ジュースが飲みたいな』
エヴァンに尋ねられるよりも前にそう答えると、エヴァンは一瞬驚いていたけれど、僕と同じものを頼んでいた。
CAさんがその場を離れるとすぐにエヴァンに尋ねられる。
「ユヅル。すごいな。聞き取れていたのか?」
「うん。ミシェルさんやリュカの言葉よりはずっと聞き取りやすかったから」
「そうか。本当に耳がフランス語を理解できるようになっているな。えらいぞ」
エヴァンに褒められるのがなんとも嬉しい。
すぐに運ばれてきたジュースで乾杯して、喜びを分かち合った。
そうしている間に飛行機は無事に北海道に向かって飛び立った。
「札幌まではどれくらい?」
「そうだな。一時間半ほどで到着するようだよ」
「えっ。そんなに早く?」
フランスから日本に来るのは半日以上かかったから、一時間半で北海道に行けると思うとなんだかすごく早く感じる。
「ああ。フランスに帰るのに比べれば日本国内の移動は楽なものだよ。ホッカイドウに行ったら今度はオキナワにも行こう。ジュールの恩人にお礼を言いにいかないとな」
「うん! そうだね!」
あの小さな田舎に住んでいた僕がエヴァンと一緒に日本を出たこともびっくりしていたのに、北海道や沖縄に行けるようになるなんて半年前の自分なら信じられないだろうな。本当に僕はこの数ヶ月で運命が変わってしまった。
大好きな人だけじゃなく、大切なお友だちもできて幸せすぎる。
母さんがいなくなってしまったことだけは辛いし、後悔しているけれど、お父さんとようやく一緒になれて嬉しそうな姿をあのとき見られたから、きっと母さんにとっても今が一番幸せなんだと思う。
「エヴァン……大好き」
いろんな思いが込み上げてきて、エヴァンにギュッと抱きついた。
スッとエヴァンの顔が近づいてきて、僕の唇に重なった。
チュッと重ねるだけの軽いキスだったけれど、僕の気持ちに応えてくれたエヴァンの優しさが嬉しかった。
唇を離して二人で顔を見合わせて笑っていると、
「弓弦くん!」
と突然声がして驚いた。
びっくりして二人で声のするほうに顔を向けると、そこにいたのは理央くん。
「これ、ママが飛行機の中でみんなにあげてって言って渡してくれたんだ。はい、これ。弓弦くんとエヴァンさんの分」
「これ、飴?」
「うん。飛行機に乗ると、えっと……気圧、で頭が痛くなるかもしれないからって。これ、すごくよく効くんだって」
「わぁ、ありがとう!」
喜んで受け取ると、理央くんと観月さんは僕たちの隣の席に座っていた佳都さんたちのところにも持って行っていた。
「なんだか理央くんたち、郵便屋さんみたい」
「ははっ。そうだな。ありがたく頂こうか」
「うん!」
二人でそれぞれ袋からだし、お互いに食べさせ合うように口に入れると、甘いいちごミルクの味が広がった。
「んー! 美味しい!」
舐めていると、さっきまで詰まっていた感じがしていた耳がスーッと通るのがわかる。
これ、本当に効きそうだな。
そうしてあっという間に一時間半の空の旅が終わった。
CAさんたちに見送られながら飛行機を降りると、通路から雪景色が見える。
「わぁー! すごい! 雪だよ! いっぱい積もってる!」
フランスを出る時もチラチラと雪が待っていたけれど、辺り一面真っ白なのは初めて見る景色だ。
「見て、空良くん! 雪がいっぱい!」
僕たちの後ろを歩いていた空良くんに声をかけると、目を丸くしていた。
「すごーい! これ、全部雪ー?」
この景色を見られただけで、雪国に来られて良かったって本当に思う。
「ケイ、到着口で待ってるって!」
「わぁ、そうなんですね。楽しみ!」
スマホを片手に教えてくれたミシェルさんたちと荷物受け取り場に向かう。
広々とした場所で流れてくるみんなの荷物をジュルジュさんとリュカが全てとってくれて、みんなで到着口から出た。
パパママたちは、あと十五分くらいで到着して出てくるんだって。
「ケイ、どこかなー?」
ウキウキしたミシェルさんの声にちょっと緊張してしまう。
「あっ、ミシェルー! ここだよー!」
そんな声が聞こえてきてそちらを向くと、エヴァンさんくらい背の高い男の人の隣で笑顔で手を振っている可愛い男の人がいた。
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