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日本旅行編
一ノ宮さんへの挨拶
「初めまして。今日はこのホールを使わせてくださってありがとうございます。あの、僕の隣にいるのが、僕の旦那さまのエヴァンです」
エヴァンに抱きついたまま紹介する。
コートの中でエヴァンが僕の腰を抱く力が強くなった。
見上げると、嬉しそうに僕を見つめている。
「エヴァンもケイさんに挨拶して」
「ああ。そうだな」
笑顔で頷くと、エヴァンは二人に向き合った。
「ユヅルの伴侶のエヴァン・ロレーヌだ。ケイ、そしてキョウ。君たちのおかげで楽しい時間が過ごせそうだ。今日はありがとう」
そう告げると、一ノ宮さんに向けてスッと手を差し出した。
彼と固い握手をした後で、エヴァンはケイさんにも視線を向けたけれど、
「ピアニストの大事な手には触れないでおこう」
と笑顔だけで挨拶を終えていた。
すごいな、そんな配慮ができるなんて。
やっぱりエヴァンは最高の旦那さまだ。
「ケイ! そろそろ僕にも恋人を紹介してよ!」
僕たちの背後からポンと飛び出してきて、ケイさんに抱きついたのはミシェルさん。
その様子に一ノ宮さんは驚いているけれど、僕たちにはいつものミシェルさんだ。
「うん。ミシェルに紹介できるなんて嬉しいよ」
ケイさんも腕を回して抱き合っていると、スッとセルジュさんがやってきた。
そして、ミシェルさんの耳元で何やらフランス語らしき言葉を囁く。
すると、ミシェルさんが急にケイさんの腕を離し、距離をとった。
「ミシェル? どうしたの?」
ケイさんも不思議がっているけれど、ミシェルさんは真剣な顔で二人に声をかけた。
「ミシェルは大事なお友だちだから、キョウさんは心配しないで。僕にも大切な人がいるから大丈夫!」
そう言って、セルジュさんに抱きついて見せた。
その突然の行動と言葉の意味があまりよく分からなかったけれど、エヴァンが小声で僕に教えてくれた。
「さっきバスの中で、キョウが話していたんだ。ケイがミシェルと仲がいいのに嫉妬してしまうって。まだ付き合い出したばかりだそうだから心配だったんだろう」
なるほど。そういうことか。
ミシェルさんって誰とでも距離が近いもんね。
僕と初めて会った時も、すごく距離が近かったからセルジュさんとエヴァンが何か言ってたっけ。
あの時はフランス語が全然分からなかったから、あまりよく分からなかったけど、心配だってことは伝わってた。
でも、ミシェルさんとのハグはエヴァンのそれとは全く違って、心地いいだけなんだけどな。
改めて、ミシェルさんとセルジュさん。そしてケイさんと一ノ宮さんが並んで挨拶を終えた。
「シューゴ、ナナミ、リュカ、リオ、ソラ! こっちに来てー!」
ミシェルさんが声をかけるとみんなが一斉に僕たちの周りにやってきた。
「彼が、ケイの恋人でこの音楽ホールを使わせてくれるキョウさんだよー!」
みんなにまとめて挨拶をすると、みんなが一斉に一ノ宮さんに話しかける。
それはお礼だったり、この音楽ホールがすごいっていう感想だったり……
その勢いに一ノ宮さんが押されているようでなんだかちょっと面白かった。
そんな話をしている間に、ホールの外に大きなバスが到着した。
「あ! ママたちが来たみたい!」
七海さんのその声に振り向くと、バスから降りてきている姿が見えた。
理央くんと空良くんが玄関に向かって駆け出していく。
その後ろを慌てたように観月さんと悠木さんが追いかけているのをみて、一ノ宮さんがボソリと呟いた。
「あの観月くんと悠木くんがね……。まさか、観月くんと悠木くんのあんな姿が見られるなんて思わなかったな。自分の目で見ても、本当に信じられないよ」
そう言っていた時の表情が心から驚いてるようで、僕はなんだか不思議な気持ちになっていた。
エヴァンに抱きついたまま紹介する。
コートの中でエヴァンが僕の腰を抱く力が強くなった。
見上げると、嬉しそうに僕を見つめている。
「エヴァンもケイさんに挨拶して」
「ああ。そうだな」
笑顔で頷くと、エヴァンは二人に向き合った。
「ユヅルの伴侶のエヴァン・ロレーヌだ。ケイ、そしてキョウ。君たちのおかげで楽しい時間が過ごせそうだ。今日はありがとう」
そう告げると、一ノ宮さんに向けてスッと手を差し出した。
彼と固い握手をした後で、エヴァンはケイさんにも視線を向けたけれど、
「ピアニストの大事な手には触れないでおこう」
と笑顔だけで挨拶を終えていた。
すごいな、そんな配慮ができるなんて。
やっぱりエヴァンは最高の旦那さまだ。
「ケイ! そろそろ僕にも恋人を紹介してよ!」
僕たちの背後からポンと飛び出してきて、ケイさんに抱きついたのはミシェルさん。
その様子に一ノ宮さんは驚いているけれど、僕たちにはいつものミシェルさんだ。
「うん。ミシェルに紹介できるなんて嬉しいよ」
ケイさんも腕を回して抱き合っていると、スッとセルジュさんがやってきた。
そして、ミシェルさんの耳元で何やらフランス語らしき言葉を囁く。
すると、ミシェルさんが急にケイさんの腕を離し、距離をとった。
「ミシェル? どうしたの?」
ケイさんも不思議がっているけれど、ミシェルさんは真剣な顔で二人に声をかけた。
「ミシェルは大事なお友だちだから、キョウさんは心配しないで。僕にも大切な人がいるから大丈夫!」
そう言って、セルジュさんに抱きついて見せた。
その突然の行動と言葉の意味があまりよく分からなかったけれど、エヴァンが小声で僕に教えてくれた。
「さっきバスの中で、キョウが話していたんだ。ケイがミシェルと仲がいいのに嫉妬してしまうって。まだ付き合い出したばかりだそうだから心配だったんだろう」
なるほど。そういうことか。
ミシェルさんって誰とでも距離が近いもんね。
僕と初めて会った時も、すごく距離が近かったからセルジュさんとエヴァンが何か言ってたっけ。
あの時はフランス語が全然分からなかったから、あまりよく分からなかったけど、心配だってことは伝わってた。
でも、ミシェルさんとのハグはエヴァンのそれとは全く違って、心地いいだけなんだけどな。
改めて、ミシェルさんとセルジュさん。そしてケイさんと一ノ宮さんが並んで挨拶を終えた。
「シューゴ、ナナミ、リュカ、リオ、ソラ! こっちに来てー!」
ミシェルさんが声をかけるとみんなが一斉に僕たちの周りにやってきた。
「彼が、ケイの恋人でこの音楽ホールを使わせてくれるキョウさんだよー!」
みんなにまとめて挨拶をすると、みんなが一斉に一ノ宮さんに話しかける。
それはお礼だったり、この音楽ホールがすごいっていう感想だったり……
その勢いに一ノ宮さんが押されているようでなんだかちょっと面白かった。
そんな話をしている間に、ホールの外に大きなバスが到着した。
「あ! ママたちが来たみたい!」
七海さんのその声に振り向くと、バスから降りてきている姿が見えた。
理央くんと空良くんが玄関に向かって駆け出していく。
その後ろを慌てたように観月さんと悠木さんが追いかけているのをみて、一ノ宮さんがボソリと呟いた。
「あの観月くんと悠木くんがね……。まさか、観月くんと悠木くんのあんな姿が見られるなんて思わなかったな。自分の目で見ても、本当に信じられないよ」
そう言っていた時の表情が心から驚いてるようで、僕はなんだか不思議な気持ちになっていた。
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