天涯孤独になった僕をイケメン外国人が甘やかしてくれます

波木真帆

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サプライズまでもう少し

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「待たせちゃってごめんなさい」

「ふふっ。大丈夫。調弦してウォーミングアップしてたから」

「僕もすぐにやっちゃいますね」

「慌てなくていいよ」

ミシェルさんの言葉に安心しながら、ヴァイオリンケースからあのストラディヴァリウスを取り出した。
今朝も練習してたから大丈夫だと思うけど、弾く前に調弦するのは癖というより、ヴァイオリンを弾く時の大事なルーティーンの一つだ。
これをすることで緊張もほぐれるし、何よりも音の状態を確かめるのには大事なことだから。

僕の調弦とウォーミングアップが終わるのを待ってくれていたミシェルさんに

「お待たせしました」

と声をかけると、嬉しそうに笑顔を見せてくれた。

「ふふっ。やっぱりここでユヅルと弾けるって嬉しいね」

「はい。僕もすっごく楽しみです」

「じゃあ、はじめよっか」

リュカとパピーはすでに席に座って舞台に立つ僕たちを見守ってくれている。
それだけですっごくホッとするんだ。

今回、佳都さんから僕たちに指令があった演奏曲は

『Vive le venジングルベルt!』 と

『Douce nuiきよしt, sainte nuiこの夜t』 そして、

『Le Petit Renn赤鼻のe au nez rouトナカイge』 の三曲。

どれも日本ではクリスマスの定番曲。
クリスマスパーティーに縁がなかった僕でも耳にしていたくらいだから、きっと空良くんも理央くんも馴染みがあるはずだ。

知らない曲を聴くのも新たな感動があっていいものだけど、やっぱり最初は知っている曲の方がテンションも上がるし楽しいだろう。
それがわかっているからこそ、佳都さんはこれを指定したんだろうな。

エヴァンさんと知り合ってからヴァイオリンを演奏する機会が増えてきたとはいえ、高3になってからは勉強が忙しくて練習もサボり気味だった僕にもこの曲は聞き馴染みがあるからこそ弾きやすい。

きっと僕のことも考えてくれたんだと思うと、さすが佳都さんだなって思ってしまう。

プロのヴァイオリニストであるミシェルさんにはきっと物足りない演奏だろうけど、それでも嫌な顔ひとつしないで、僕に付き合って練習もしてくれて感謝しかない。

そんな思いを込めながら、ミシェルさんとの演奏を楽しんで三曲連続で弾き終わると、突然大きな拍手が鳴り響いた。

えっ?

驚きながらその拍手に視線を向けると、パピーとリュカがいた場所にいつの間にかエヴァンさんとセルジュさんがいるのが見えた。

Bravoブラヴォー!』

エヴァンさんとセルジュさんの口からその声が鳴り止まない。
気づけばパピーもリュカも叫んでる。

僕とミシェルさんは顔を見合わせながら、あまりの反響に驚いていると、

「本当に素晴らしい演奏だった。柔らかで優しい奥行きのある音を出すユヅルとまろやかな深みのある音を出すミシェルとの音が美しく重なって艶のある美しい音色を醸し出していたよ」

とエヴァンさんが嬉しそうに教えてくれた。

ああ、そうか……。
だからあんなにも心地よく弾けたんだ。

さすがプロのヴァイオリニストだな。
素人の僕を引き上げてくれるなんて……。

「こんなにエヴァンさんに褒めてもらえたのもミシェルさんのおかげです。ありがとうございます!」

嬉しくて興奮しながらお礼を伝えると、

「ふふっ。ユヅルのおかげだよ。僕も弾いててすっごく心地よくてずっと弾いていたいなって思ってたくらいだもん。きっと僕たちの音の相性がいいんだね」

と言ってくれた。

「音の相性……」

「うん。どんなに完璧な技巧を駆使しても、音がケンカしちゃう時ってあるんだよね。ユヅルにはそれがないからすごく楽しかったんだよ。ここにシュウゴが入るんだよね。どんな音になるのか楽しみだよ。多分きっといいマリアージュになるはずだよ」

「うん、そうだね。絶対そうだよ」

僕たちの演奏に佳都くんのピアノまで揃ったら一体どんなピアノ四重奏になるんだろう。
今からすっごく楽しみだ。

「ねぇ、ユヅル。エヴァンさんにあのこと・・・・は話してないよね?」

「もちろんだよ! だって、サプライズ、だもんね」

小声で話しかけられてそっと小声で返すと、

「ふふっ。リオくんとソラくんだけじゃなくて、エヴァンさんもセルジュもきっと驚くよ。それも楽しみだね」

といたずらっ子のような笑みを浮かべながら、パチンとウインクをしてみせた。

本番は明日の夜。
ああ、ドキドキしてきちゃったな。
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