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不思議な夢
楽しい感想をいただいたので、彼らを特別出演させてみました。
なんとも不思議回になりましたが、楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
あれ?
ここ……
さっきの、モナ・リザ?
目の前にさっき観ていたモナ・リザの絵が見える。
いつの間にこの場所に戻ってきたんだろう……。
それにしても、やっぱり綺麗だな。
本当にこの絵なら何時間でも観ていられる。
って、あれ?
そういえば、エヴァンさんはどこ?
確か抱っこされてたはずなのに……。
それに美術館にはたくさんの人もいたはずなのに……僕以外、誰もいない。
急に怖くなってきて、後退りするとその足音が響く。
本当に自分以外がどこにもいなくなってしまったようなそんな寂しさに包まれる。
気づけば、僕の見えるこの空間には僕と目の前で微笑むモナ・リザの絵しか存在しなくなっていた。
エヴァンさん……どこに行っちゃったの?
僕をひとりにしないでよ……。
ずっと一緒だって言ったのに……。
僕の目が涙に覆われた瞬間、モナ・リザの絵の前にぼんやりとしたものが現れた。
えっ? 何?
僕に背を向けているそれがだんだんと人の姿に変わっていくのが見えて、思わず
「誰?」
と呼びかけると、それが僕に振り返った。
「えっ……か、あさん……?」
――ええ、弓弦。母さんよ。
「な――っ、どう、して……?」
――ふふっ。弓弦が私をパリに連れてきてくれたんでしょう? おかげでこうしてまたニコラに出会えたわ。
「ニコラ……まさか、隣にいるのは、お父さん?」
――ああ、そうだ。ユヅル……私の愛しい息子……。アマネを私の元に連れてきてくれてありがとう。
「お父さん……本当に? 母さんも……これって、本当なの?」
――ふふっ。神さまが私たちに少しの時間を与えてくれたみたい。
「神さまが、時間を?」
――ええ。弓弦に会いたいっていう願いを聞き届けてくれたみたいね。あなたのドレス姿も素敵だったわ。
「えっ? 見ていたの?」
――ええ。あの時は見ていることだけだったけれど、今日はこうして話もさせてもらえた。もう思い残すことはないわ。
「もう、会えないの?」
――あなたにはエヴァンさんも、そして仲の良いお友達もいっぱいいるから寂しくないでしょう?
「うん。それはそうだけど……でも、お父さんとも母さんとももっと……」
――ふふっ。大丈夫。私たちはいつでも見守っているわ。ねぇ、ニコラ。
――ああ、そうだ。私の愛しい息子……ユヅルのことはいつでも想っているよ。エヴァンと幸せになりなさい。
「お父さんっ!」
――ユヅル、一度だけ抱きしめさせてくれないか?
僕は、お父さんが広げてくれた大きな腕の中に飛び込んだ。
ふわりと優しい匂いがして安心する。
――ああ……ようやく夢が叶ったよ。息子を我が腕に抱きたいという私の夢が……叶えてくれてありがとう。ユヅル。
「お父さんっ!! 僕も、僕も嬉しいよ!! ずっと、会いたかったんだ!!」
離れたくなくてギュッと抱きつくとお父さんの片腕がそっと離れて、母さんが近づいてくる。
お父さんの大きな腕に母さんと僕とすっぽりおさまってそれが何とも安心する。
――今、私の腕の中にいるものが、私が心から愛するたった二つだけの存在。アマネ、ユヅル……愛しているよ。
チュッ、チュッと母さんと僕の額にお父さんの唇が触れた瞬間、
「ユヅルっ、ユヅルっ!!」
と僕を呼ぶエヴァンさんの声が聞こえた。
「えっ……え、ゔぁん、さん?」
「ああ、ユヅルっ!! 目を覚ましてくれたのか?」
「どうしたの?」
僕を強く抱きしめてくれるエヴァンさんの目に涙が溜まっている。
「腕の中のユヅルが急に軽くなって、声をかけても全く目を覚さないし心配したんだ。私を遺してどこかにいってしまったのかと思ったよ。ああ、よかった……っ」
抱きしめてくれるその力強さが、本当に心配していたんだと思わせてくれる。
「ごめんなさい、エヴァンさん……僕、多分夢を見ていたんです」
「夢? どんな夢だ?」
「母さんとお父さんが、モナ・リザの前に立ってて……それで」
「そうか……ニコラとアマネが……。なら、その思い出はユヅルの中だけに留めておきなさい」
「えっ? どうして?」
「せっかくの家族の思い出だろう?」
「でも……エヴァンさんは僕の家族ですよ! だから、思い出も共有したいです!」
「――っ!! ユヅル……っ」
エヴァンさんは何度もありがとうとお礼を言って抱きしめてくれた。
なんとも不思議回になりましたが、楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
あれ?
ここ……
さっきの、モナ・リザ?
目の前にさっき観ていたモナ・リザの絵が見える。
いつの間にこの場所に戻ってきたんだろう……。
それにしても、やっぱり綺麗だな。
本当にこの絵なら何時間でも観ていられる。
って、あれ?
そういえば、エヴァンさんはどこ?
確か抱っこされてたはずなのに……。
それに美術館にはたくさんの人もいたはずなのに……僕以外、誰もいない。
急に怖くなってきて、後退りするとその足音が響く。
本当に自分以外がどこにもいなくなってしまったようなそんな寂しさに包まれる。
気づけば、僕の見えるこの空間には僕と目の前で微笑むモナ・リザの絵しか存在しなくなっていた。
エヴァンさん……どこに行っちゃったの?
僕をひとりにしないでよ……。
ずっと一緒だって言ったのに……。
僕の目が涙に覆われた瞬間、モナ・リザの絵の前にぼんやりとしたものが現れた。
えっ? 何?
僕に背を向けているそれがだんだんと人の姿に変わっていくのが見えて、思わず
「誰?」
と呼びかけると、それが僕に振り返った。
「えっ……か、あさん……?」
――ええ、弓弦。母さんよ。
「な――っ、どう、して……?」
――ふふっ。弓弦が私をパリに連れてきてくれたんでしょう? おかげでこうしてまたニコラに出会えたわ。
「ニコラ……まさか、隣にいるのは、お父さん?」
――ああ、そうだ。ユヅル……私の愛しい息子……。アマネを私の元に連れてきてくれてありがとう。
「お父さん……本当に? 母さんも……これって、本当なの?」
――ふふっ。神さまが私たちに少しの時間を与えてくれたみたい。
「神さまが、時間を?」
――ええ。弓弦に会いたいっていう願いを聞き届けてくれたみたいね。あなたのドレス姿も素敵だったわ。
「えっ? 見ていたの?」
――ええ。あの時は見ていることだけだったけれど、今日はこうして話もさせてもらえた。もう思い残すことはないわ。
「もう、会えないの?」
――あなたにはエヴァンさんも、そして仲の良いお友達もいっぱいいるから寂しくないでしょう?
「うん。それはそうだけど……でも、お父さんとも母さんとももっと……」
――ふふっ。大丈夫。私たちはいつでも見守っているわ。ねぇ、ニコラ。
――ああ、そうだ。私の愛しい息子……ユヅルのことはいつでも想っているよ。エヴァンと幸せになりなさい。
「お父さんっ!」
――ユヅル、一度だけ抱きしめさせてくれないか?
僕は、お父さんが広げてくれた大きな腕の中に飛び込んだ。
ふわりと優しい匂いがして安心する。
――ああ……ようやく夢が叶ったよ。息子を我が腕に抱きたいという私の夢が……叶えてくれてありがとう。ユヅル。
「お父さんっ!! 僕も、僕も嬉しいよ!! ずっと、会いたかったんだ!!」
離れたくなくてギュッと抱きつくとお父さんの片腕がそっと離れて、母さんが近づいてくる。
お父さんの大きな腕に母さんと僕とすっぽりおさまってそれが何とも安心する。
――今、私の腕の中にいるものが、私が心から愛するたった二つだけの存在。アマネ、ユヅル……愛しているよ。
チュッ、チュッと母さんと僕の額にお父さんの唇が触れた瞬間、
「ユヅルっ、ユヅルっ!!」
と僕を呼ぶエヴァンさんの声が聞こえた。
「えっ……え、ゔぁん、さん?」
「ああ、ユヅルっ!! 目を覚ましてくれたのか?」
「どうしたの?」
僕を強く抱きしめてくれるエヴァンさんの目に涙が溜まっている。
「腕の中のユヅルが急に軽くなって、声をかけても全く目を覚さないし心配したんだ。私を遺してどこかにいってしまったのかと思ったよ。ああ、よかった……っ」
抱きしめてくれるその力強さが、本当に心配していたんだと思わせてくれる。
「ごめんなさい、エヴァンさん……僕、多分夢を見ていたんです」
「夢? どんな夢だ?」
「母さんとお父さんが、モナ・リザの前に立ってて……それで」
「そうか……ニコラとアマネが……。なら、その思い出はユヅルの中だけに留めておきなさい」
「えっ? どうして?」
「せっかくの家族の思い出だろう?」
「でも……エヴァンさんは僕の家族ですよ! だから、思い出も共有したいです!」
「――っ!! ユヅル……っ」
エヴァンさんは何度もありがとうとお礼を言って抱きしめてくれた。
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