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あん、ゔぁん、しょー、しる、ぶ、ぷれ
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「わっ!」
理央くんは目の前で起こったことに驚きを隠せないみたい。
そりゃあそうだよね、突然目の前から人が見えなくなっちゃったんだもん。
「りょう、やさぁん……」
何か悪いことをしてしまったのかと目にいっぱい涙を溜めて隣にいる観月さんに助けを求める理央くん。
観月さんは放心しながらも、理央くんをそのまま抱き上げて抱きしめた。
「理央……今の……」
「あのね、凌也さんに喜んでもらいたくてリュカさんに教えてもらったの……でも、僕のフランス語聞き取れなかったみたい……うっ、ぐすっ……」
「――っ、理央が、俺のために……理央っ! ありがとう!! 嬉しいよ!!」
「でも、注文、できなかったよ……」
「そんなことない! 大丈夫だ! お店の人は可愛い理央がフランス語を話したからびっくりしただけだよ」
観月さんは理央くんを優しく抱きしめながら笑顔でそういうと、店員さんに向かって何か話し始めた。
すると、店員さんは何度も大きく首を縦に振ってみせた。
「エヴァンさん、今観月さんなんて言ったの?」
「ああ、この子の注文をちゃんと聞いてやってくれって言ったんだ。というか、最初から伝わっていたはずだがな」
「やっぱり? 伝わりましたよね? でも、どうしてあんなふうになっちゃったんですか?」
「ふふっ。リオたちが我が家に来た時、ジュールにフランス語で挨拶したのを覚えているか?」
「うん。もちろん! すっごく可愛かったから覚えてます」
「あの時、それを聞いたジュールが膝から崩れ落ちそうになったのをジョルジュが抱き留めただろう?」
「あっ! そういえば……」
あの時の情景が甦ってくる。
『ぼんじゅーる、ぱぴー』
『あんしゃんて!』
『じゅ、しー、うーるーどぅぶ、らんこんとれ!』
ふふっ。理央くんと空良くんと佳都さんの可愛い挨拶にパピーが倒れそうになったんだっけ。
可愛すぎてびっくりしたって。
「ああ、もしかしてあの店員さんも?」
「ああ、そうだ。特にリオの発音は小さな子が必死に喋っているみたいで可愛いらしいからな。至近距離で言われたらああなってしまうのも無理はない。ユヅルがここでショコラショーを頼んだ時も同じような感じになっただろう? あれも同じだ」
「そういえば……」
あの時、店員さんは目の前からいなくなりまではしなかったけれど、目を丸くして僕のことをずっと見ていたっけ。
だから僕は聞き取れなかったかと思って悲しかったんだ。
もう一度注文すると、ちゃんと伝わってショコラショーが買えたんだよね。
受け取る時にお礼を言ったらその時は今の店員さんと同じように目の前からいなくなっちゃったんだよね。
あの時は寒いからってエヴァンさんは言っていたけど、もしかしてあれも今日と同じだったのかも。
「今、ミヅキが声をかけたから、次は必ず注文を受け付けてくれるよ」
エヴァンさんがそう言ってくれたから、
「理央くん! 頑張って!」
と応援すると、理央くんは観月さんに抱きかかえられたまま、もう一度
『あん、ゔぁん、しょー、しる、ぶ、ぷれ』
と必死に涙を堪えながら注文をした。
すると、顔を真っ赤にした店員さんが、
『D’accord!』
と言って、すぐにヴァンショーをカップに入れてくれた。
手渡されたヴァンショーを理央くんが受け取る前にさっと観月さんが受け取る。
理央くんを抱きかかえたままなのに、片手を離してもびくともしないって……すごいな。
『Merci!』
観月さんがお礼を言うと、まだほんのり涙声の理央くんが続けて
『める、しぃ』
と言うと、店員さんは今度は崩れ落ちこそしなかったけれど、真っ赤な顔で理央くんを見つめていた。
「ふふっ。理央くん、よかったね。ちゃんと買えたね!!」
「うん、僕頑張ったよ! ねぇ、凌也さん、びっくりした?」
「ああ、びっくりしたし嬉しいよ。このヴァンショー飲むのが楽しみだな」
「ふふっ。よかったぁ」
ラブラブな二人の隣で、僕もエヴァンさんのためにヴァンショーを注文する。
まだ顔が赤いままの店員さんだったけれど、今度はすんなりカップに注いでくれた。
「エヴァンさん、嬉しい?」
「ああ、最高だな。私にもミヅキにもいいサプライズだったよ」
そう言って、僕を抱きしめてくれた。
「お待たせー!!」
ミシェルさんたちが取ってくれていたテーブルに向かうと、ちょうどみんなも飲み物を持って戻ってきた。
「いいタイミングだったね」
「うん、じゃあ食べようか」
ミシェルさんの声掛けで、食事が始まる。
やっぱり最初はショコラショー。
ヴァンショーを飲むエヴァンさんと乾杯するようにカップを近づけて、ゆっくりと口につけると温かいショコラショーの甘みにホッとする。
「おいしっ!!」
「そうか、じゃあ私も味見しようか」
そういうと、エヴァンさんは僕の唇にそっと重ねて唇についたチョコレートを舐めとった。
「ああ、本当に美味しいな」
嬉しそうなエヴァンさんの表情に僕の心はもっともっと温かくなった。
理央くんは目の前で起こったことに驚きを隠せないみたい。
そりゃあそうだよね、突然目の前から人が見えなくなっちゃったんだもん。
「りょう、やさぁん……」
何か悪いことをしてしまったのかと目にいっぱい涙を溜めて隣にいる観月さんに助けを求める理央くん。
観月さんは放心しながらも、理央くんをそのまま抱き上げて抱きしめた。
「理央……今の……」
「あのね、凌也さんに喜んでもらいたくてリュカさんに教えてもらったの……でも、僕のフランス語聞き取れなかったみたい……うっ、ぐすっ……」
「――っ、理央が、俺のために……理央っ! ありがとう!! 嬉しいよ!!」
「でも、注文、できなかったよ……」
「そんなことない! 大丈夫だ! お店の人は可愛い理央がフランス語を話したからびっくりしただけだよ」
観月さんは理央くんを優しく抱きしめながら笑顔でそういうと、店員さんに向かって何か話し始めた。
すると、店員さんは何度も大きく首を縦に振ってみせた。
「エヴァンさん、今観月さんなんて言ったの?」
「ああ、この子の注文をちゃんと聞いてやってくれって言ったんだ。というか、最初から伝わっていたはずだがな」
「やっぱり? 伝わりましたよね? でも、どうしてあんなふうになっちゃったんですか?」
「ふふっ。リオたちが我が家に来た時、ジュールにフランス語で挨拶したのを覚えているか?」
「うん。もちろん! すっごく可愛かったから覚えてます」
「あの時、それを聞いたジュールが膝から崩れ落ちそうになったのをジョルジュが抱き留めただろう?」
「あっ! そういえば……」
あの時の情景が甦ってくる。
『ぼんじゅーる、ぱぴー』
『あんしゃんて!』
『じゅ、しー、うーるーどぅぶ、らんこんとれ!』
ふふっ。理央くんと空良くんと佳都さんの可愛い挨拶にパピーが倒れそうになったんだっけ。
可愛すぎてびっくりしたって。
「ああ、もしかしてあの店員さんも?」
「ああ、そうだ。特にリオの発音は小さな子が必死に喋っているみたいで可愛いらしいからな。至近距離で言われたらああなってしまうのも無理はない。ユヅルがここでショコラショーを頼んだ時も同じような感じになっただろう? あれも同じだ」
「そういえば……」
あの時、店員さんは目の前からいなくなりまではしなかったけれど、目を丸くして僕のことをずっと見ていたっけ。
だから僕は聞き取れなかったかと思って悲しかったんだ。
もう一度注文すると、ちゃんと伝わってショコラショーが買えたんだよね。
受け取る時にお礼を言ったらその時は今の店員さんと同じように目の前からいなくなっちゃったんだよね。
あの時は寒いからってエヴァンさんは言っていたけど、もしかしてあれも今日と同じだったのかも。
「今、ミヅキが声をかけたから、次は必ず注文を受け付けてくれるよ」
エヴァンさんがそう言ってくれたから、
「理央くん! 頑張って!」
と応援すると、理央くんは観月さんに抱きかかえられたまま、もう一度
『あん、ゔぁん、しょー、しる、ぶ、ぷれ』
と必死に涙を堪えながら注文をした。
すると、顔を真っ赤にした店員さんが、
『D’accord!』
と言って、すぐにヴァンショーをカップに入れてくれた。
手渡されたヴァンショーを理央くんが受け取る前にさっと観月さんが受け取る。
理央くんを抱きかかえたままなのに、片手を離してもびくともしないって……すごいな。
『Merci!』
観月さんがお礼を言うと、まだほんのり涙声の理央くんが続けて
『める、しぃ』
と言うと、店員さんは今度は崩れ落ちこそしなかったけれど、真っ赤な顔で理央くんを見つめていた。
「ふふっ。理央くん、よかったね。ちゃんと買えたね!!」
「うん、僕頑張ったよ! ねぇ、凌也さん、びっくりした?」
「ああ、びっくりしたし嬉しいよ。このヴァンショー飲むのが楽しみだな」
「ふふっ。よかったぁ」
ラブラブな二人の隣で、僕もエヴァンさんのためにヴァンショーを注文する。
まだ顔が赤いままの店員さんだったけれど、今度はすんなりカップに注いでくれた。
「エヴァンさん、嬉しい?」
「ああ、最高だな。私にもミヅキにもいいサプライズだったよ」
そう言って、僕を抱きしめてくれた。
「お待たせー!!」
ミシェルさんたちが取ってくれていたテーブルに向かうと、ちょうどみんなも飲み物を持って戻ってきた。
「いいタイミングだったね」
「うん、じゃあ食べようか」
ミシェルさんの声掛けで、食事が始まる。
やっぱり最初はショコラショー。
ヴァンショーを飲むエヴァンさんと乾杯するようにカップを近づけて、ゆっくりと口につけると温かいショコラショーの甘みにホッとする。
「おいしっ!!」
「そうか、じゃあ私も味見しようか」
そういうと、エヴァンさんは僕の唇にそっと重ねて唇についたチョコレートを舐めとった。
「ああ、本当に美味しいな」
嬉しそうなエヴァンさんの表情に僕の心はもっともっと温かくなった。
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