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日本旅行編
観月パパのおすすめの店
邪魔をしてはいけないと思い、周防さんと秀吾さんを残し、僕たちは先に駐車場に着いた。
「初詣、すごく楽しかった。エヴァンのスキーも見られたらいいな」
「そうだな、ミヅキたちとしっかり話し合って行けそうなら計画を立てるとしよう。なんせ時間は有限だからな。日本ではユヅルと行きたいところがいっぱいで困ってしまうよ」
「うん、そうだね」
日本で過ごせる時間が有限だからこそ、思いっきり楽しみたい。
エヴァンが日本で過ごす冬を楽しもうと思ってくれていることが何よりも嬉しい。
「あ、すみません。お待たせしましたー!」
秀吾さんを抱きかかえたまま周防さんが早足で駐車場にやってきた。
急がせちゃったのかな、申し訳ない。
でも早足なのに秀吾さんはほとんど揺れていないところがすごい。
「秀吾、さっきのお嬢さんは誰だったの? 将臣くんよりあなたのほうに視線が向いていたからあなたの知り合いなんでしょう?」
花織ママが秀吾さんに声をかけると、秀吾さんは笑って口を開いた。
「あの子は、フランスのクリスマスマーケットで将臣と買い物をしているときに会った子なんだ」
「えっ? クリスマスマーケットって、みんなで行ったあの時?」
びっくりして声をあげると、秀吾さんは大きく頷いた。
「ネックレスを買おうとして、店主にぼったくられそうになっていたのを秀吾が助けたんだよ」
将臣さんが得意げな様子で話をしていたけれど、
「ぼったくる?」
僕と同じ疑問を浮かべた理央くんが声を上げた。
「凌也さん。ぼったくるって、なんですか?」
「んっ? ああ、理央は知らなくていいんだよ」
そう言っているのが聞こえた。僕も知らないし、フランス人のエヴァンやセルジュさんたちも知らないだろう。
悪い言葉なのだとしたら、同じ警察のジョルジュさんは知っているかもしれないけれど。
そうか、だから周防さんも知っていたんだな。
周防さんは周防パパと榊パパに怒られているみたい。
もしかしたら警察用語だったのかもね。
「さぁさぁ、駐車場は寒いわ。立ち話はその辺にして昼食を食べに行きましょう」
「わぁー! お蕎麦楽しみ!!」
麗花ママの言葉につい反応して喜びの声をあげると、理央くんも一緒に喜んでくれた。
「弓弦くん。パパの車に乗ろう」
理央くんの声にすぐに観月さんが反応して、車の扉を開き、僕とエヴァンを入れてくれた。
そうして次々にみんながそれぞれの車に乗り込み、駐車場を出ていく。
先頭は僕たちが乗る観月パパの車だ。
「お蕎麦のお店は近いの?」
僕の質問に先に答えてくれたのは、理央くんの隣にピッタリと寄り添っている観月さん。
「ここからお店まではそこまで離れていないからすぐに着くよ」
「観月家ではよく行くお店なんですか?」
「そうだね。昔から贔屓にしている店だよ。個室だから気兼ねなく寛げるしね」
個室だと寛げる。それはエヴァンと食事をするようになってからすごくよくわかるようになった。
いつでも周りの注目を浴びるエヴァンと外食する時はほとんど個室だ。
誰もにも気兼ねせずに会話を楽しめるのも嬉しいし、何より食事の間はエヴァンを独り占めできる。
だから、個室での食事はとても楽しい。
「天ぷらがサックサクですっごく美味しいんだよ」
「そうなんだ、楽しみ!!」
理央くんが嬉しそうに教えてくれるから、楽しみでたまらない。
そんな話をしているうちにあっという間に車はどこかの駐車場に入って行った。
観月パパの車が止まると、後から入ってきたみんなの車も次々に止まり、あっという間に駐車場は車でいっぱい。
先に観月さんと理央くんが降りていって、僕はエヴァンに抱きかかえられながら降りた。
車を降りてそっとエヴァンの腕から下ろされる。
久しぶりに自分で歩いた気がして不思議な感触だ。
「こちらから入れるよ」
観月パパの案内で店に入り、僕たちは広々とした畳のお部屋に案内された。
そこには大きな楕円形のテーブルが四つ並んでいた。
どうやら少しずつ別れて座るみたい。
「どうやって座る?」
「弓弦くんとロレーヌさんはこっちだよ」
広々としたテーブルの奥の席に案内されて座る。左隣にはエヴァン。そして僕の右隣に佳都さんと綾城さんが座った。
僕たちの向かいに観月さんと悠木さんの間に理央くんと空良くんが並んで座り、すごく話がしやすい。
隣のテーブルには、セルジュさん、ミシェルさん、秀吾さん、周防さんの順で座り、その向かいには翔太さんと七海さん、リュカとジョルジュさんの順で座っていた。
心なしか、翔太さんは緊張しているように見えたけれど、七海さんはすごく楽しそうに見えた。
* * *
神社内で弓弦が聞いた怪しげな声の裏側と、秀吾と将臣に声をかけてきた相手のお話は、
『ラブラブな僕たちが見守るイケメンアンドロイドの恋』の番外編
<今日で終わらせる前後編><みんなからの祝福>に書いていますので未読の方はぜひそちらもご覧ください。
「初詣、すごく楽しかった。エヴァンのスキーも見られたらいいな」
「そうだな、ミヅキたちとしっかり話し合って行けそうなら計画を立てるとしよう。なんせ時間は有限だからな。日本ではユヅルと行きたいところがいっぱいで困ってしまうよ」
「うん、そうだね」
日本で過ごせる時間が有限だからこそ、思いっきり楽しみたい。
エヴァンが日本で過ごす冬を楽しもうと思ってくれていることが何よりも嬉しい。
「あ、すみません。お待たせしましたー!」
秀吾さんを抱きかかえたまま周防さんが早足で駐車場にやってきた。
急がせちゃったのかな、申し訳ない。
でも早足なのに秀吾さんはほとんど揺れていないところがすごい。
「秀吾、さっきのお嬢さんは誰だったの? 将臣くんよりあなたのほうに視線が向いていたからあなたの知り合いなんでしょう?」
花織ママが秀吾さんに声をかけると、秀吾さんは笑って口を開いた。
「あの子は、フランスのクリスマスマーケットで将臣と買い物をしているときに会った子なんだ」
「えっ? クリスマスマーケットって、みんなで行ったあの時?」
びっくりして声をあげると、秀吾さんは大きく頷いた。
「ネックレスを買おうとして、店主にぼったくられそうになっていたのを秀吾が助けたんだよ」
将臣さんが得意げな様子で話をしていたけれど、
「ぼったくる?」
僕と同じ疑問を浮かべた理央くんが声を上げた。
「凌也さん。ぼったくるって、なんですか?」
「んっ? ああ、理央は知らなくていいんだよ」
そう言っているのが聞こえた。僕も知らないし、フランス人のエヴァンやセルジュさんたちも知らないだろう。
悪い言葉なのだとしたら、同じ警察のジョルジュさんは知っているかもしれないけれど。
そうか、だから周防さんも知っていたんだな。
周防さんは周防パパと榊パパに怒られているみたい。
もしかしたら警察用語だったのかもね。
「さぁさぁ、駐車場は寒いわ。立ち話はその辺にして昼食を食べに行きましょう」
「わぁー! お蕎麦楽しみ!!」
麗花ママの言葉につい反応して喜びの声をあげると、理央くんも一緒に喜んでくれた。
「弓弦くん。パパの車に乗ろう」
理央くんの声にすぐに観月さんが反応して、車の扉を開き、僕とエヴァンを入れてくれた。
そうして次々にみんながそれぞれの車に乗り込み、駐車場を出ていく。
先頭は僕たちが乗る観月パパの車だ。
「お蕎麦のお店は近いの?」
僕の質問に先に答えてくれたのは、理央くんの隣にピッタリと寄り添っている観月さん。
「ここからお店まではそこまで離れていないからすぐに着くよ」
「観月家ではよく行くお店なんですか?」
「そうだね。昔から贔屓にしている店だよ。個室だから気兼ねなく寛げるしね」
個室だと寛げる。それはエヴァンと食事をするようになってからすごくよくわかるようになった。
いつでも周りの注目を浴びるエヴァンと外食する時はほとんど個室だ。
誰もにも気兼ねせずに会話を楽しめるのも嬉しいし、何より食事の間はエヴァンを独り占めできる。
だから、個室での食事はとても楽しい。
「天ぷらがサックサクですっごく美味しいんだよ」
「そうなんだ、楽しみ!!」
理央くんが嬉しそうに教えてくれるから、楽しみでたまらない。
そんな話をしているうちにあっという間に車はどこかの駐車場に入って行った。
観月パパの車が止まると、後から入ってきたみんなの車も次々に止まり、あっという間に駐車場は車でいっぱい。
先に観月さんと理央くんが降りていって、僕はエヴァンに抱きかかえられながら降りた。
車を降りてそっとエヴァンの腕から下ろされる。
久しぶりに自分で歩いた気がして不思議な感触だ。
「こちらから入れるよ」
観月パパの案内で店に入り、僕たちは広々とした畳のお部屋に案内された。
そこには大きな楕円形のテーブルが四つ並んでいた。
どうやら少しずつ別れて座るみたい。
「どうやって座る?」
「弓弦くんとロレーヌさんはこっちだよ」
広々としたテーブルの奥の席に案内されて座る。左隣にはエヴァン。そして僕の右隣に佳都さんと綾城さんが座った。
僕たちの向かいに観月さんと悠木さんの間に理央くんと空良くんが並んで座り、すごく話がしやすい。
隣のテーブルには、セルジュさん、ミシェルさん、秀吾さん、周防さんの順で座り、その向かいには翔太さんと七海さん、リュカとジョルジュさんの順で座っていた。
心なしか、翔太さんは緊張しているように見えたけれど、七海さんはすごく楽しそうに見えた。
* * *
神社内で弓弦が聞いた怪しげな声の裏側と、秀吾と将臣に声をかけてきた相手のお話は、
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