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日本旅行編
驚きの名前
「さぁ、好きなものを頼んでくれ。凌也、そこのタブレットでロレーヌさんたちの注文をとってやれ」
観月パパの声に、観月さんがさっと僕たちの前に昔ながらの紙のメニュー表を置いてくれたけれど、僕が頼むものはメニュー表を見る前から決まっている。
「僕、理央くんが美味しかったって言ってた海老天蕎麦がいいな」
理央くんが話をしてくれた時からずっと食べたかったんだ。
すると理央くんは嬉しそうに笑って「僕もそれにする!!」と言ってくれた。
「じゃあ僕も!!」
「僕も海老天にしよう!」
結局空良くんと佳都さんも同じ海老天蕎麦を選び、僕たちは顔を見合わせて「お揃いだね」と笑った。
「ここの海老天は大きくて、蕎麦とは別盛りでくるから海老天だけの味も楽しめるんだ。理央が気に入ったようにみんなも気にいると思うよ」
観月さんが説明してくれるだけで、美味しそうな天ぷらが頭の中に浮かんでくる。でもそれを超えるくらいすっごく美味しいんだろうな。
「海老の天ぷらにお塩をつけて食べたらすっごく美味しかったんだ。弓弦くんたちも食べてみて!」
「わぁー! 楽しみ!!」
僕たちが天ぷらで盛り上がっている間に、エヴァンも注文を決めたみたい。
観月さんにメニューを指さしてタブレットで注文してもらっているのが見えた。
「エヴァンは何にしたの?」
「私は鴨せいろにしたよ。暖かいのか冷たいのかで悩んだが、せっかくなら蕎麦の味を堪能させてもらおうと思ってね」
そっか、冷たいお蕎麦なんだ。鴨にしたのはエヴァンは鴨肉が好きだからだろう。
僕もフランスに行ってから、鴨やウサギ、鹿のお肉を食べるようになったけれど、結構美味しくて気に入っている。
日本ではそういうお肉の匂いや臭みが苦手な人もいるらしいけれど、僕は半分フランス人の血が流れているから気にならなかったのかもしれない。
「エヴァンのお蕎麦も食べてみたいな」
「もちろん、一緒に食べよう」
「やった! 僕のも食べていいからね」
「ユヅルのも食べさせてくれるのか、最高だな」
エヴァンが優しい笑顔を見せてくれる。二人でシェアしながら食べられるって最高だな。
『パピー! パピーは何にしたの?』
観月パパの隣に座っていたパピーに尋ねると、パピーは温かい鴨蕎麦を頼んだみたい。
やっぱりパピーもエヴァンと一緒で鴨肉が好きなんだな。
なんだか楽しみになってきた。
早く来ないかな。
ワクワクしながら待っていると、突然ミシェルさんが大きな声をあげた。
スマホを手にしているから、何かあったのかもしれない。
「エヴァン……」
不安になってエヴァンを見上げると、エヴァンは大丈夫とでもいうように僕の肩を抱き、セルジュさんに声をかけた。
『セルジュ、ミシェルはどうかしたのか?』
『それが――』
『やったー!! ケイと演奏会ができるよ!!』
セルジュさんが説明をしようとしたその時、ミシェルさんは嬉しそうに声をあげながらその場に立ち上がった。
『えっ、ケイさんって前に話をしていたピアニストの?』
拙いながらも尋ねてみるとミシェルさんは大きく頷いてくれた。
プロのピアニストさんで日本人のお友達だけど、ずっと海外暮らしだって話してたっけ。
ミシェルさんとヴァイオリンとピアノの演奏会をやってるくらいの人だからものすごい人なんだろうな。
ミシェルさんはそのともずっと興奮した様子で色々話をしている。麗花ママたちや秀吾さんたちは頷いているのが見えるからミシェルさんの言葉を全部理解できているんだろう。僕は三分の一くらい。理央くんたちは全く理解できていないから、隣で観月さんたちが通訳して教えているみたい。
「エヴァン、ミシェルさんのお友だちの恋人さんがなにかしてくれたの?」
「ミシェルが日本に来る前にケイにユヅルたちを紹介したいと連絡をしていたそうだ。それでケイの恋人がせっかくだから紹介ついでに演奏会でもしたらどうかと提案して大きなホールを貸切にしてくれたそうだよ。明日と明後日のどちらでも好きに使えると連絡をよこしたみたいだな」
「ええー!! そんなすごいことになってるの?」
「ケイは有名なピアニストだからね。ケイがピアノを使いたいといえばどこも断ったりしないだろう。ましてや、ミシェルも一緒に演奏するとなれば、あちらから頼んでくるだろう」
ミシェルさんもすごい人だけどそのケイさんって人も本当にすごいんだな。
『あの、ミシェルさん……もしかして、そのケイさんって……』
ミシェルさんの隣に座っていた秀吾さんが恐る恐ると言った表情を向けて尋ねると、ミシェルさんは満面の笑顔で口を開いた。
『あ、シューゴは知ってるかも ! Millyってわかる? その人がケイなんだ』
あっけらかんと言い切ったその名前に、秀吾さんはもちろんパパやママたちは全員驚きの声をあげていた。
観月パパの声に、観月さんがさっと僕たちの前に昔ながらの紙のメニュー表を置いてくれたけれど、僕が頼むものはメニュー表を見る前から決まっている。
「僕、理央くんが美味しかったって言ってた海老天蕎麦がいいな」
理央くんが話をしてくれた時からずっと食べたかったんだ。
すると理央くんは嬉しそうに笑って「僕もそれにする!!」と言ってくれた。
「じゃあ僕も!!」
「僕も海老天にしよう!」
結局空良くんと佳都さんも同じ海老天蕎麦を選び、僕たちは顔を見合わせて「お揃いだね」と笑った。
「ここの海老天は大きくて、蕎麦とは別盛りでくるから海老天だけの味も楽しめるんだ。理央が気に入ったようにみんなも気にいると思うよ」
観月さんが説明してくれるだけで、美味しそうな天ぷらが頭の中に浮かんでくる。でもそれを超えるくらいすっごく美味しいんだろうな。
「海老の天ぷらにお塩をつけて食べたらすっごく美味しかったんだ。弓弦くんたちも食べてみて!」
「わぁー! 楽しみ!!」
僕たちが天ぷらで盛り上がっている間に、エヴァンも注文を決めたみたい。
観月さんにメニューを指さしてタブレットで注文してもらっているのが見えた。
「エヴァンは何にしたの?」
「私は鴨せいろにしたよ。暖かいのか冷たいのかで悩んだが、せっかくなら蕎麦の味を堪能させてもらおうと思ってね」
そっか、冷たいお蕎麦なんだ。鴨にしたのはエヴァンは鴨肉が好きだからだろう。
僕もフランスに行ってから、鴨やウサギ、鹿のお肉を食べるようになったけれど、結構美味しくて気に入っている。
日本ではそういうお肉の匂いや臭みが苦手な人もいるらしいけれど、僕は半分フランス人の血が流れているから気にならなかったのかもしれない。
「エヴァンのお蕎麦も食べてみたいな」
「もちろん、一緒に食べよう」
「やった! 僕のも食べていいからね」
「ユヅルのも食べさせてくれるのか、最高だな」
エヴァンが優しい笑顔を見せてくれる。二人でシェアしながら食べられるって最高だな。
『パピー! パピーは何にしたの?』
観月パパの隣に座っていたパピーに尋ねると、パピーは温かい鴨蕎麦を頼んだみたい。
やっぱりパピーもエヴァンと一緒で鴨肉が好きなんだな。
なんだか楽しみになってきた。
早く来ないかな。
ワクワクしながら待っていると、突然ミシェルさんが大きな声をあげた。
スマホを手にしているから、何かあったのかもしれない。
「エヴァン……」
不安になってエヴァンを見上げると、エヴァンは大丈夫とでもいうように僕の肩を抱き、セルジュさんに声をかけた。
『セルジュ、ミシェルはどうかしたのか?』
『それが――』
『やったー!! ケイと演奏会ができるよ!!』
セルジュさんが説明をしようとしたその時、ミシェルさんは嬉しそうに声をあげながらその場に立ち上がった。
『えっ、ケイさんって前に話をしていたピアニストの?』
拙いながらも尋ねてみるとミシェルさんは大きく頷いてくれた。
プロのピアニストさんで日本人のお友達だけど、ずっと海外暮らしだって話してたっけ。
ミシェルさんとヴァイオリンとピアノの演奏会をやってるくらいの人だからものすごい人なんだろうな。
ミシェルさんはそのともずっと興奮した様子で色々話をしている。麗花ママたちや秀吾さんたちは頷いているのが見えるからミシェルさんの言葉を全部理解できているんだろう。僕は三分の一くらい。理央くんたちは全く理解できていないから、隣で観月さんたちが通訳して教えているみたい。
「エヴァン、ミシェルさんのお友だちの恋人さんがなにかしてくれたの?」
「ミシェルが日本に来る前にケイにユヅルたちを紹介したいと連絡をしていたそうだ。それでケイの恋人がせっかくだから紹介ついでに演奏会でもしたらどうかと提案して大きなホールを貸切にしてくれたそうだよ。明日と明後日のどちらでも好きに使えると連絡をよこしたみたいだな」
「ええー!! そんなすごいことになってるの?」
「ケイは有名なピアニストだからね。ケイがピアノを使いたいといえばどこも断ったりしないだろう。ましてや、ミシェルも一緒に演奏するとなれば、あちらから頼んでくるだろう」
ミシェルさんもすごい人だけどそのケイさんって人も本当にすごいんだな。
『あの、ミシェルさん……もしかして、そのケイさんって……』
ミシェルさんの隣に座っていた秀吾さんが恐る恐ると言った表情を向けて尋ねると、ミシェルさんは満面の笑顔で口を開いた。
『あ、シューゴは知ってるかも ! Millyってわかる? その人がケイなんだ』
あっけらかんと言い切ったその名前に、秀吾さんはもちろんパパやママたちは全員驚きの声をあげていた。
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