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番外編
幸せの連鎖
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現在連載中の『イケメン店主に秘密の片想い~』に関連するお話です。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<side涼平>
「なんだ? 朝陽、やけにご機嫌だな」
「ふふっ。だって来週末は久しぶりの石垣ですよ」
「ああ、そうか。そんなに楽しみにしてくれてるのか」
「もちろんです! お肉も楽しみですけど、律くんや名嘉村さんたちに会えるのも楽しみだから」
確かに東京でもたまに会える浅香や悠真くんと違って、石垣と西表に住む友人とはなかなか会う機会がないから朝陽が楽しみにするのも無理はない。
「航くんとも今度は石垣で会えるならいろいろおしゃべりしたいこともあるし」
そう言われて、朝陽に話しておかなければいけなかったことを思い出した。
「悪い、朝陽。伝えるのを忘れてたよ。今回試食会に倉橋と藤乃くんは来ないんだ」
「えっ? どうしてですか?」
「例の虹の湖に藤乃くんを連れて行くんだそうだよ。その日しか空いてないからって、キャンセルになったんだ」
「そうなんですか……。それは残念ですね」
がっかりしながらも、前からの約束だからこっちを優先にしてとは絶対に言わない。
自然相手のものだし何より、倉橋にとって藤乃くんをあの場所に連れて行くことがどんな約束よりも大事なことだと朝陽も理解しているからだ。
以前、俺たちもあの湖に連れて行ってもらったことがある。
――いつか、二人のように生涯愛したい相手ができたら、二人だけでここに来たいんだ。そうしたら一生そばにいられる気がする。
あの時は倉橋らしからぬ乙女チックな願いに驚いてしまったものだが、つい先日の食事会であれほど溺愛している姿を見れば、すぐにでもあの願いを叶えてあげたいと思ってしまう。
ようやく出会った運命の相手との時間を俺たちが邪魔するわけにはいかないからな。
「その代わりに、倉橋が招待したい人がいるって連絡がきたよ」
「えっ? 誰ですか?」
「朝陽も知ってる人だよ。西表のチムガナサンの店主の八尋さん」
「えっ? 珍しいですね。今まで何度かお誘いしたけど、独り身だから申し訳ないって断ってたのに……」
「ああ、それが独り身じゃなくなったらしいよ」
「えええっ? 八尋さんが? 本当に?」
「ああ。やっぱり驚いたな」
「そりゃあ驚きますよ!! あの八尋さんですよ!! 誰にも興味ないって西表からほとんど出たこともないのに、どこでどんな出会いがあったんですか?」
ふふっ。
流石の朝陽も驚きを隠せないか。
まぁ俺も八尋さんにそんな人ができたって聞いて驚いたからな。
「つい最近、倉橋がK.Y に引き抜いてきた新入社員だって話だよ。しかも、その子、藤乃くんの元同僚で男だって」
「えっ? じゃあ、航くんも知ってる人?」
ふふっ。八尋さんの相手が男だと言っても驚かないか。
まぁ揃いも揃ってみんな相手が男だからな。
俺が朝陽と出会った時にこんな未来がくるなんて思いもしなかったけれど、これもきっと運命なんだろう。
言うなれば俺たちから繋がった運命だ。
「ああ。でもまだ藤乃くんは彼が西表にいることは知らないってさ」
「そうなんですか?」
「もうすぐ倉橋と西表に戻るって話をしていただろう? その時に驚かせるつもりだって言ってたよ」
「へぇー、楽しそう」
「それで、試食会のその日は八尋さんたちにイリゼの離れを使わせてあげたいって言ってるんだけど、いいか?」
本当は久々の石垣だったから、俺たちで泊まらせてもらおうと思っていた。
だが、八尋さんと彼の初めての泊まりだと聞かされたら、譲ってあげたいとしか思えなかった。
「その代わりに、イリゼの別の部屋か、安慶名さんの家に泊めてくれるって言ってるけどどっちがいい?」
「ええー、もちろん安慶名さん家がいい! だって悠真さんも一緒ですよね?」
「ふふっ。そういうと思ったよ。じゃあ、安慶名さんに話をしておこう。朝陽からも砂川さんに連絡しておいてくれ」
「はーい。わかりました。楽しみが増えちゃったな」
「一番の楽しみは俺と一緒に過ごすことだってわかってるか?」
「ふふっ。もちろん。涼平さんが一緒だから俺はいつだって幸せですよ」
「朝陽……っ」
「ねぇ、ここじゃやだ。ベッドに連れてって目一杯愛して……」
「――っ、仰せのままに」
倉橋と八尋さん……幸せな人が増えた分、また俺たちも幸せが溢れて行くようだ。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<side涼平>
「なんだ? 朝陽、やけにご機嫌だな」
「ふふっ。だって来週末は久しぶりの石垣ですよ」
「ああ、そうか。そんなに楽しみにしてくれてるのか」
「もちろんです! お肉も楽しみですけど、律くんや名嘉村さんたちに会えるのも楽しみだから」
確かに東京でもたまに会える浅香や悠真くんと違って、石垣と西表に住む友人とはなかなか会う機会がないから朝陽が楽しみにするのも無理はない。
「航くんとも今度は石垣で会えるならいろいろおしゃべりしたいこともあるし」
そう言われて、朝陽に話しておかなければいけなかったことを思い出した。
「悪い、朝陽。伝えるのを忘れてたよ。今回試食会に倉橋と藤乃くんは来ないんだ」
「えっ? どうしてですか?」
「例の虹の湖に藤乃くんを連れて行くんだそうだよ。その日しか空いてないからって、キャンセルになったんだ」
「そうなんですか……。それは残念ですね」
がっかりしながらも、前からの約束だからこっちを優先にしてとは絶対に言わない。
自然相手のものだし何より、倉橋にとって藤乃くんをあの場所に連れて行くことがどんな約束よりも大事なことだと朝陽も理解しているからだ。
以前、俺たちもあの湖に連れて行ってもらったことがある。
――いつか、二人のように生涯愛したい相手ができたら、二人だけでここに来たいんだ。そうしたら一生そばにいられる気がする。
あの時は倉橋らしからぬ乙女チックな願いに驚いてしまったものだが、つい先日の食事会であれほど溺愛している姿を見れば、すぐにでもあの願いを叶えてあげたいと思ってしまう。
ようやく出会った運命の相手との時間を俺たちが邪魔するわけにはいかないからな。
「その代わりに、倉橋が招待したい人がいるって連絡がきたよ」
「えっ? 誰ですか?」
「朝陽も知ってる人だよ。西表のチムガナサンの店主の八尋さん」
「えっ? 珍しいですね。今まで何度かお誘いしたけど、独り身だから申し訳ないって断ってたのに……」
「ああ、それが独り身じゃなくなったらしいよ」
「えええっ? 八尋さんが? 本当に?」
「ああ。やっぱり驚いたな」
「そりゃあ驚きますよ!! あの八尋さんですよ!! 誰にも興味ないって西表からほとんど出たこともないのに、どこでどんな出会いがあったんですか?」
ふふっ。
流石の朝陽も驚きを隠せないか。
まぁ俺も八尋さんにそんな人ができたって聞いて驚いたからな。
「つい最近、倉橋がK.Y に引き抜いてきた新入社員だって話だよ。しかも、その子、藤乃くんの元同僚で男だって」
「えっ? じゃあ、航くんも知ってる人?」
ふふっ。八尋さんの相手が男だと言っても驚かないか。
まぁ揃いも揃ってみんな相手が男だからな。
俺が朝陽と出会った時にこんな未来がくるなんて思いもしなかったけれど、これもきっと運命なんだろう。
言うなれば俺たちから繋がった運命だ。
「ああ。でもまだ藤乃くんは彼が西表にいることは知らないってさ」
「そうなんですか?」
「もうすぐ倉橋と西表に戻るって話をしていただろう? その時に驚かせるつもりだって言ってたよ」
「へぇー、楽しそう」
「それで、試食会のその日は八尋さんたちにイリゼの離れを使わせてあげたいって言ってるんだけど、いいか?」
本当は久々の石垣だったから、俺たちで泊まらせてもらおうと思っていた。
だが、八尋さんと彼の初めての泊まりだと聞かされたら、譲ってあげたいとしか思えなかった。
「その代わりに、イリゼの別の部屋か、安慶名さんの家に泊めてくれるって言ってるけどどっちがいい?」
「ええー、もちろん安慶名さん家がいい! だって悠真さんも一緒ですよね?」
「ふふっ。そういうと思ったよ。じゃあ、安慶名さんに話をしておこう。朝陽からも砂川さんに連絡しておいてくれ」
「はーい。わかりました。楽しみが増えちゃったな」
「一番の楽しみは俺と一緒に過ごすことだってわかってるか?」
「ふふっ。もちろん。涼平さんが一緒だから俺はいつだって幸せですよ」
「朝陽……っ」
「ねぇ、ここじゃやだ。ベッドに連れてって目一杯愛して……」
「――っ、仰せのままに」
倉橋と八尋さん……幸せな人が増えた分、また俺たちも幸せが溢れて行くようだ。
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