83 / 103
番外編
エッフェル塔からの眺め
しおりを挟む
夜だが思った以上に観光客の姿がある。
ライトアップされたエッフェル塔の美しさに魅了されているのだろうが、それ以上に美しいパリの街並みを一望できるのだから当然か。
今度は昼間にも航と登ってみたいものだな。
「祐悟さん、すごく綺麗ですね!」
「そうだな。航とこの景色を見られて嬉しいよ」
自然と甘い言葉が吐いて出るのは愛しい航が俺のそばでずっと笑顔を見せてくれているからだろう。
「あ、祐悟さん。あそこ、見て!」
航が指さしたのはセーヌ川の中にある島。
「あそこ、一際広い区画にものすごく大きな家がありますよ。あれって個人宅なのかなー? お城みたい!」
視線を向ければ確かに大きな家がある。
あそこはサン・ルイ島。パリでも屈指の高級住宅街だ。
そこであれほどの大豪邸を構える家は彼しかない。
「近々あの家に行くよ」
「えっ? 祐悟さん、どういうこと?」
「あの家は俺の顧客の家だよ。航もロレーヌ総帥の名前は知っているだろう?」
「あ、うん。日本人の男の子と結婚したって」
「そうそう。そのロレーヌ総帥に今回フランスに行くと話したらぜひ俺の大事な伴侶を連れて遊びにきてくれと言われたからクリスマスプレゼントのミッションが終わったら会いに行く予定なんだ。航、一緒に行ってくれるだろう?」
「それはもちろん祐悟さんと一緒なら……でも、大事な顧客さんの家に俺が行ってもいいの?」
航にはK.Yリゾート以外の仕事についてはあまり詳しくは話していない。
だが、俺の仕事の原動力は航だ。
航がいなければこれほど改良を熱心にすることもなかったし、次々に新たなものを開発することもなかった。
全ては航を守るため。
そのために作ったものが、同じように伴侶を溺愛する顧客たちに支持されているだけだ。
ロレーヌ総帥はとりわけ俺の開発したものを気に入ってくれていて、トイレタリー商品やローションは切らすことなく定期的に購入してくれている。
それだけでなく高性能GPSは改良するたびに購入依頼が来るし、あの大豪邸内だけでなく、ロレーヌ一族所有の城にもマルチアングル死角なしカメラを購入してくれた。設置費用も合わせればかなり莫大な金額になったが、ロレーヌ家にとっては微々たるものらしい。
それほどまでに彼がいろいろな点に金をかけるのは全て愛しい伴侶のためだ。
一年前に結婚を発表した相手は、十八歳の日本人男性だった。
伯父であるニコラロレーヌの一粒種と出会い、恋に落ち、結婚まで漕ぎ着けた。
その彼との結婚を全世界に公表したのも溺愛する彼を全力で守るため。
彼の外出には必ず同行し、片時も離れることはない。
それほど愛している彼を守るために選んでくれたものが、同様に航を溺愛する俺が開発したものだったというわけだ。
俺もなかなかに狭量だと思っていたが、ロレーヌ総帥の狭量っぷりはすごいものがある。
時には彼からこのような商品は作れないかと打診されることもある。
それは伴侶を守るためとはいえ、かなり束縛するものだが俺は航相手だと考えて凝りに凝ったものを仕上げた。
するとこの上なく大喜びし、満足してくれる。
かなり金額もかかるが、彼はそれをヨーロッパの社交界で話をしてくれるのだ。
もちろん、彼が信頼した相手にだけだが。
そのおかげでヨーロッパのハイクラスの中で特にトップ10に入るような当主たちが新たに顧客になった。
彼らが顧客になってから俺の資産の増加は止まることを知らない。
だがそれは全て航あってのものだから、俺の資産は航の資産だ。
航は自分が世界一の大金持ちだとは一ミリも知らない。
だが知ったとしてもおそらく今の航が変わることはない。
それは自信をもって言える。
「もちろんだよ。航が一緒じゃないと会うつもりはないよ。まぁあちらが航に会いたいといっているんだから心配することはない」
「そっか。それじゃあ一緒に行く! でも祐悟さんの友達や知り合い以外に紹介されるのって初めてだから緊張するな」
「ははっ。大丈夫。きっとロレーヌ総帥の伴侶とも仲良くなれるよ」
同じ日本人だし、久々の日本語に喜んでくれるだろう。
ライトアップされたエッフェル塔の美しさに魅了されているのだろうが、それ以上に美しいパリの街並みを一望できるのだから当然か。
今度は昼間にも航と登ってみたいものだな。
「祐悟さん、すごく綺麗ですね!」
「そうだな。航とこの景色を見られて嬉しいよ」
自然と甘い言葉が吐いて出るのは愛しい航が俺のそばでずっと笑顔を見せてくれているからだろう。
「あ、祐悟さん。あそこ、見て!」
航が指さしたのはセーヌ川の中にある島。
「あそこ、一際広い区画にものすごく大きな家がありますよ。あれって個人宅なのかなー? お城みたい!」
視線を向ければ確かに大きな家がある。
あそこはサン・ルイ島。パリでも屈指の高級住宅街だ。
そこであれほどの大豪邸を構える家は彼しかない。
「近々あの家に行くよ」
「えっ? 祐悟さん、どういうこと?」
「あの家は俺の顧客の家だよ。航もロレーヌ総帥の名前は知っているだろう?」
「あ、うん。日本人の男の子と結婚したって」
「そうそう。そのロレーヌ総帥に今回フランスに行くと話したらぜひ俺の大事な伴侶を連れて遊びにきてくれと言われたからクリスマスプレゼントのミッションが終わったら会いに行く予定なんだ。航、一緒に行ってくれるだろう?」
「それはもちろん祐悟さんと一緒なら……でも、大事な顧客さんの家に俺が行ってもいいの?」
航にはK.Yリゾート以外の仕事についてはあまり詳しくは話していない。
だが、俺の仕事の原動力は航だ。
航がいなければこれほど改良を熱心にすることもなかったし、次々に新たなものを開発することもなかった。
全ては航を守るため。
そのために作ったものが、同じように伴侶を溺愛する顧客たちに支持されているだけだ。
ロレーヌ総帥はとりわけ俺の開発したものを気に入ってくれていて、トイレタリー商品やローションは切らすことなく定期的に購入してくれている。
それだけでなく高性能GPSは改良するたびに購入依頼が来るし、あの大豪邸内だけでなく、ロレーヌ一族所有の城にもマルチアングル死角なしカメラを購入してくれた。設置費用も合わせればかなり莫大な金額になったが、ロレーヌ家にとっては微々たるものらしい。
それほどまでに彼がいろいろな点に金をかけるのは全て愛しい伴侶のためだ。
一年前に結婚を発表した相手は、十八歳の日本人男性だった。
伯父であるニコラロレーヌの一粒種と出会い、恋に落ち、結婚まで漕ぎ着けた。
その彼との結婚を全世界に公表したのも溺愛する彼を全力で守るため。
彼の外出には必ず同行し、片時も離れることはない。
それほど愛している彼を守るために選んでくれたものが、同様に航を溺愛する俺が開発したものだったというわけだ。
俺もなかなかに狭量だと思っていたが、ロレーヌ総帥の狭量っぷりはすごいものがある。
時には彼からこのような商品は作れないかと打診されることもある。
それは伴侶を守るためとはいえ、かなり束縛するものだが俺は航相手だと考えて凝りに凝ったものを仕上げた。
するとこの上なく大喜びし、満足してくれる。
かなり金額もかかるが、彼はそれをヨーロッパの社交界で話をしてくれるのだ。
もちろん、彼が信頼した相手にだけだが。
そのおかげでヨーロッパのハイクラスの中で特にトップ10に入るような当主たちが新たに顧客になった。
彼らが顧客になってから俺の資産の増加は止まることを知らない。
だがそれは全て航あってのものだから、俺の資産は航の資産だ。
航は自分が世界一の大金持ちだとは一ミリも知らない。
だが知ったとしてもおそらく今の航が変わることはない。
それは自信をもって言える。
「もちろんだよ。航が一緒じゃないと会うつもりはないよ。まぁあちらが航に会いたいといっているんだから心配することはない」
「そっか。それじゃあ一緒に行く! でも祐悟さんの友達や知り合い以外に紹介されるのって初めてだから緊張するな」
「ははっ。大丈夫。きっとロレーヌ総帥の伴侶とも仲良くなれるよ」
同じ日本人だし、久々の日本語に喜んでくれるだろう。
667
あなたにおすすめの小説
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。
はぴねこ
BL
高校生の頃、片想いの親友に告白した。
彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。
もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。
彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。
そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。
同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。
あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。
そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。
「俺もそろそろ恋愛したい」
親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。
不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。
脱落モブ男が人気アイドルに愛されるわけがない
綿毛ぽぽ
BL
アイドルを夢見るも、デビューできずオーディション番組に出演しても脱落ばかりの地味男、亀谷日翔はついに夢を諦めた。そしてひょんなことから事務所にあるカフェで働き始めると、かつて出演していた番組のデビューメンバーと再会する。テレビでも引っ張りだこで相変わらずビジュアルが強い二人は何故か俺に対して距離が近い。
━━━━━━━━━━━
現役人気アイドル×脱落モブ男
表紙はくま様からお借りしました
https://www.pixiv.net/artworks/84182395
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
双子のスパダリ旦那が今日も甘い
ユーリ
BL
「いつになったらお前は学校を辞めるんだ?」「いつになったら俺らの仕事の邪魔をする仕事をするんだ?」ーー高校二年生の柚月は幼馴染の双子と一緒に暮らしているが、毎日のように甘やかされるも意味のわからないことを言ってきて…「仕事の邪魔をする仕事って何!?」ーー双子のスパダリ旦那は今日も甘いのです。
【完結】俺の顔が良いのが悪い
香澄京耶
BL
顔が良すぎて祖国を追い出されたルシエル。
人目を避けて学院で研究に没頭する日々だったが、なぜか“王子様”と呼ばれる後輩ラウェルに懐かれて――。
「僕は、あなたそのものに惚れたんです。」
重くて甘い溺愛攻め × こじらせ美形受
転生エルフの天才エンジニア、静かに暮らしたいのに騎士団長に捕まる〜俺の鉄壁理論は彼の溺愛パッチでバグだらけです〜
たら昆布
BL
転生したらエルフだった社畜エンジニアがのんびり森で暮らす話
騎士団長とのじれったい不器用BL
追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜
たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる