運命の出会いは空港で 〜クールなイケメン社長は無自覚煽りの可愛い子ちゃんに我慢できない

波木真帆

文字の大きさ
96 / 103
番外編

プレゼントのお礼に

『まさか、こんな素晴らしい薬をいただけるとは……クラハシ殿には何かお礼を……』

『いえ、お礼は必要ありませんよ。私がロレーヌ総帥のためにしたことですから』

これまでいろいろなものを開発してきたが、ここ最近は全て航のためになるものを率先して作ってきた。
最初はお袋のために作ったトイレタリー商品も今では航の肌を守ることが最優先になってどんどん進化を続けている。一度に多くのものが作れるから顧客たちにも回しているが、俺が航のために作ったものが顧客たちにも気に入られているというだけだ。まぁ、常に最高の状態を保てるようにしているから当然なのだろうが、俺の原動力はあくまでも航だ。

酒に弱い航だからこんな薬に頼らずとも少し酒を飲ませるだけでほろ酔い状態を楽しめる。
だからこんな薬を開発しようとも思ってなかったが、今回ロレーヌ総帥への贈り物を考えた時に、弓弦くんが酒が強いと話していたのを思い出してふと浮かんだだけだった。

弓弦くん以外にも砂川や名嘉村くんも同様に酒が強い。浅香や有原くんもそこそこ飲める。彼らの伴侶は我々のようにほろ酔い状態の可愛い伴侶の姿を見たことがないのではないか。そう思ったら意外と需要はあるかもしれないという考えに至った。

だから試しにその薬を開発し、安慶名さんと松川くん、それに周平さんと榎木くんにもそれぞれ試してもらった。
彼らから続々と感想が送られてきて、かなり好評だった。
いや、好評どころか継続的に購入したいという意見しかなく、意外と需要はあるどころかかなりの需要が見込める。
俺が航に使うことがない薬だが、ここまで喜んでもらえれば嬉しい限りだ。
ロレーヌ総帥もまだ新婚の可愛い夫と楽しい夜を過ごしてもらえたらいい。

だが、よほど嬉しかったのだろう。
ロレーヌ総帥はお礼がいらないという俺の言葉を受け入れられないようだ。

『そうはいかない。何かお礼をさせていただかなければ』

とはいえ、俺には必要なものは何もない。
というか自分で購入できるし、航のものをロレーヌ総帥に頼むのは俺自身が許せない。
だが適当なものを言っても納得はできないだろう。
それなら何か……

そう考えた時にあるものが浮かんだ。
これならロレーヌ総帥にしかできないことだ。

『それなら一つ頼み事をしても構いませんか?』

『クラハシ殿の頼みならなんでもお受けしましょう』

頼み事を聞く前から自信満々に言ってくれる。
世界のロレーヌ家はやはり違うな。

『実は今回、私たちがフランスに足を運ぶことになったのはある男の子の優しい気持ちを大切にしたかったからなのです』

そうして俺は今回の突然のフランス訪問の理由をロレーヌ総帥に全て打ち明けた。
俺が知りうる彼の情報を全て入れて、その彼の手編みのマフラーを届けるために直接やってきたのだということを伝えると、ロレーヌ総帥は真剣に聞き入っていた。

『その彼が今年初めて新しい家族とクリスマスパーティーを行うのですが、去年ロレーヌ邸でも素晴らしいクリスマスパーティーをしたそうですね。本物さながらのサンタクロースの演出に感動したと聞きました』

ロレーヌ総帥はさっと立ち上がり、タブレットを持って戻ってきた。

『ユヅルと、その友人たちのために本物のPère Noëlサンタクロースに会わせてあげたかったんですよ。これがその時の映像です』

真っ暗だった庭に美しい電飾の飾りが施された大きなクリスマスツリーが現れ、チラチラと雪が降り始めた。
弓弦くんたちがはしゃぐ声が聞こえる。
そこにシャンシャンと鈴の鳴る音が聞こえてくる。
その音に期待が高まる中、庭中を白い煙が覆い尽くしたかと思ったら、その煙がはれると大きなクリスマスツリーの下に三頭のトナカイと大きな橇、そしてサンタクロースの姿があった。

『おお、これはすごいな』

話に聞いていたが、実際の映像はそれ以上だ。
これなら本物だと思うのも無理はない。

そしてそのサンタクロースがプレゼントを配り終え、また暗闇と共にいなくなったところまでの映像が映し出されていた。

『想像以上の出来ですね。これを是非日本で、彼のためにしてあげたいんですが協力をお願いできませんか? 庭のあのシステムをぜひお貸しいただきたい』

磯山先生のご実家に伺ったことがあるが、あの広い庭なら同じようにあのシステムが使えるだろう。

ロレーヌ総帥はじっと俺を見つめたまま微動だにしない。
流石にお礼としては言い過ぎだっただろうか?

だが次の瞬間、ロレーヌ総帥は笑顔を見せた。

『ええ、喜んで協力させていただきますよ。その子がPère Noëlに会って、あの時のユヅルやリオたちのように目を輝かせてくれたらいいですね』

『ありがとう!』

ロレーヌ総帥が差し出した手を握り、俺はたまらなく嬉しい気持ちになっていた。
感想 135

あなたにおすすめの小説

【完結】男の後輩に告白されたオレと、様子のおかしくなった幼なじみの話

須宮りんこ
BL
【あらすじ】 高校三年生の椿叶太には女子からモテまくりの幼なじみ・五十嵐青がいる。 二人は顔を合わせば絡む仲ではあるものの、叶太にとって青は生意気な幼なじみでしかない。 そんなある日、叶太は北村という一つ下の後輩・北村から告白される。 青いわく友達目線で見ても北村はいい奴らしい。しかも青とは違い、素直で礼儀正しい北村に叶太は好感を持つ。北村の希望もあって、まずは普通の先輩後輩として付き合いをはじめることに。 けれど叶太が北村に告白されたことを知った青の様子が、その日からおかしくなって――? ※本編完結済み。後日談連載中。

借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます

なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。 そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。 「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」 脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……! 高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!? 借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。 冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!? 短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。

苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」 母に紹介され、なにかの間違いだと思った。 だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。 それだけでもかなりな不安案件なのに。 私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。 「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」 なーんて義父になる人が言い出して。 結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。 前途多難な同居生活。 相変わらず専務はなに考えているかわからない。 ……かと思えば。 「兄妹ならするだろ、これくらい」 当たり前のように落とされる、額へのキス。 いったい、どうなってんのー!? 三ツ森涼夏  24歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務 背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。 小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。 たまにその頑張りが空回りすることも? 恋愛、苦手というより、嫌い。 淋しい、をちゃんと言えずにきた人。 × 八雲仁 30歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』専務 背が高く、眼鏡のイケメン。 ただし、いつも無表情。 集中すると周りが見えなくなる。 そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。 小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。 ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!? ***** 千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』 ***** 表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101

大学一軍イケメンにいちご狩りに誘われた陰キャの俺、なぜかいちごじゃなくて俺が喰われたんだが(?)

子犬一 はぁて
BL
大学一軍イケメン×大学九軍陰キャ 喰われるなんて聞いてないんだが(?) 俺はただ、 いちご狩りに誘われただけだが。 なのに── 誘ってきた大学一軍イケメンの海皇(21)に なぜか俺が捕まって食われる展開に? ちょっと待てい。 意味がわからないんだが! いちご狩りから始まる ケンカップルいちゃらぶBL ※大人描写のある話はタイトルに『※』あり

バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる

衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。 男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。 すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。 選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。 二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。 元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。

一度も話したことないイケメンのクラスメイトと二人組になったらめちゃくちゃ執着されてた

BL
「はい、じゃあ二人組作って」──あまり人付き合いが得意ではない夏稀(なつき)にとってそれは地獄の言葉。 けれど高校ではちがう。なぜなら新しくできた友達と『二人組』協定を結んだから。 もう二人組なんて怖くないと思っていた矢先、その友達が風邪で欠席。 ほかに組む相手が見つからず、先生と組むことも覚悟する夏稀だったが、そこで声をかけてきたのは美形の転校生──緒川聖夜(おがわ・きよや)だった。 「俺と二人組にならない?」 その一言をきっかけに聖夜は夏稀との距離を急速に縮めてきて──。 執着美形攻め×平凡受けのちょっと不穏な学園BL。 約九万字、全三十話+αの物語です。

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

【完結】抱っこからはじまる恋

  *  ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。 完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 BLoveさまの第2回BL小説漫画コンテストで『文が癒されるで賞』をいただきました。応援してくださった皆さまのおかげです。心から、ありがとうございます! 表紙は、ぱくたそ様よりsr-karubi様の写真をお借りしました。ありがとうございます!