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愚か者たち
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<sideクリス>
初めての衣服に身を包み、トモキの前に出た時からトモキの様子がおかしかった。
どうしても気になって理由を聞き出せば、真っ赤な顔をして私に見惚れたと言ってくれた。
しかも私を見ただけでドキドキするとは……。
これはトモキも私に好意を持ってくれていると思ってもいいのだろうか?
いや、純粋なトモキのことだ。
昨夜も風呂といい、食事の時といい、寝る時も性的な感じは一切感じられなかったではないか。
嫌われてはいないと思うが、そういう対象としては見られていない。
そうとしか考えられないな。
だが、私もまだこの世界には不慣れな身。
恋愛や交わりのことを考えるよりも、先にやらなければいけないことがある。
まずはこの生活からの脱却だ。
トモキはとにかく働きすぎだ。
あれだけ小さな身体にも関わらず、朝から晩まで働いていると言っていた。
そこに私の世話まで入り、食い扶持が増えればさらにトモキの負担が増える。
あれで少しは足しになれば、トモキの生活にもゆとりができるはずだ。
トモキが買い物に行こうと誘ってくれたのをきっかけに、私は上着についていた勲章メダルを見せ、これを金に換えられるところに連れて行って欲しいと頼んだ。
しかし、トモキはこれが国王からいただいた勲章メダルだと知ると、自分が働くからそれを売らないでいいといい出した。
やはりか……。
そんな気がした。
トモキならそう言い出すだろうと思ったのだ。
あれほど自分の利益にならないことを率先してしてくれるトモキが、私のもの……特に国王からいただいたものを売るのを承知するとは思わなかった。
だが、今の私には金を作り出すのはこれしかない。
トモキのためにしてあげられる唯一のことなのだ。
だから私はトモキが負担に感じないように言い聞かせた。
こんなメダルなど戻れば山の如くあるのだと。
帰れなければ必要ないものなのだから、今はトモキとの生活を守りたい。
真剣にそう告げるとようやく納得してくれた。
上着には全部で9つの勲章メダルをつけていたが、とりあえずは一つだけ持っていくとしよう。
売る場所がわかれば、あとはトモキに知られないようにこっそり売ればいい。
トモキの渡してくれた小さな袋にそのメダルを入れ、私はトモキと共に家を出た。
先ほどの服に父上のものだという暖かな上着を借り、まず出かけたのは宝飾品を買取してくれるという店。
とりあえず金を作らなければ買い物もままならないからな。
店に入ると、店主は私とトモキの姿に値踏みをしているような視線を向け、鼻で笑いながら
「私どもは宝飾品の買取店でございます。失礼ですが、お店をお間違えではございませんか?」
と言い放った。
その言葉にトモキはカァっと顔を赤らめ、
「クリスさん、他のところに行きましょう」
と私の腕を引っ張った。
なるほど。
見た目で判断しているということか。
どこにでもこういう愚かな輩はいるものなのだな。
まぁ、いい。
私もこのような店で大切な品を売る気にはならない。
だが、このままスゴスゴと引き下がるような私ではないぞ。
「そうだな。このようなものにこの価値は一生わからぬだろうからな」
そう言ってあの袋からキラキラと輝くメダルを取り出すと、それを目にした瞬間、奴らは急に目の色を変えた。
「お、お待ちください。失礼いたしました。どうかその美しいお品を拝見させていただけませんか?」
なるほど。
やはりこの世界でもこれはかなりの価値がありそうだ。
いきなり手のひらを返しても触らせるわけがないだろうが。
「其方たちは我々の見た目で勝手に貧乏人だと決めつけ、この店に相応しくないと判断したのであろう? それが其方たちの目利きというものだ。そのような濁った目をしている者に、これを売る気はない。失礼する」
トモキをそっと抱き寄せ、店の外に出ると
「クリスさん、嫌な思いをさせてしまってごめんなさい……。僕がちゃんと調べてから連れて行ったらよかったのに……」
と謝られてしまった。
「ふふっ。トモキが責任を感じることはない。ああいう輩との交渉には慣れているから、何も気にしていない。それにあの店でかなり勉強になったのだぞ」
「えっ? どういう意味ですか?」
「あの店に並んでいた宝石、あれは買取したものを売っているのだろう?」
「あ、はい。そう、ですね……」
「あれについていた金額を覚えてきた。あれで私の持っているメダルのおおよその買取金額が想像ついたから、こちらが何も知らないと思って足元を見られずに済む」
「え――っ、すごい、ですっ」
「ふふっ。記憶力には自信があるのでな」
その言葉に、トモキは尊敬の眼差しで私を見つめてくれた。
今まで自分に飛び抜けた記憶力があることを自慢などしたことは一度もないが、トモキに尊敬してもらいたくてついついそんな子どもじみたことをして気を引こうとしてしまう。
やはり私はトモキにかなり惹かれているようだ。
「あ、あそこが買取店です」
トモキが指差した方向にある店は先ほどの店と違って古そうではあったが、いわゆる老舗という言葉が似合いそうなそんな店に見えた。
「トモキ、今度は私一人で行ってくる。しばらくここで待っていてくれ」
そういうとトモキは小さく頷いた。
初めての衣服に身を包み、トモキの前に出た時からトモキの様子がおかしかった。
どうしても気になって理由を聞き出せば、真っ赤な顔をして私に見惚れたと言ってくれた。
しかも私を見ただけでドキドキするとは……。
これはトモキも私に好意を持ってくれていると思ってもいいのだろうか?
いや、純粋なトモキのことだ。
昨夜も風呂といい、食事の時といい、寝る時も性的な感じは一切感じられなかったではないか。
嫌われてはいないと思うが、そういう対象としては見られていない。
そうとしか考えられないな。
だが、私もまだこの世界には不慣れな身。
恋愛や交わりのことを考えるよりも、先にやらなければいけないことがある。
まずはこの生活からの脱却だ。
トモキはとにかく働きすぎだ。
あれだけ小さな身体にも関わらず、朝から晩まで働いていると言っていた。
そこに私の世話まで入り、食い扶持が増えればさらにトモキの負担が増える。
あれで少しは足しになれば、トモキの生活にもゆとりができるはずだ。
トモキが買い物に行こうと誘ってくれたのをきっかけに、私は上着についていた勲章メダルを見せ、これを金に換えられるところに連れて行って欲しいと頼んだ。
しかし、トモキはこれが国王からいただいた勲章メダルだと知ると、自分が働くからそれを売らないでいいといい出した。
やはりか……。
そんな気がした。
トモキならそう言い出すだろうと思ったのだ。
あれほど自分の利益にならないことを率先してしてくれるトモキが、私のもの……特に国王からいただいたものを売るのを承知するとは思わなかった。
だが、今の私には金を作り出すのはこれしかない。
トモキのためにしてあげられる唯一のことなのだ。
だから私はトモキが負担に感じないように言い聞かせた。
こんなメダルなど戻れば山の如くあるのだと。
帰れなければ必要ないものなのだから、今はトモキとの生活を守りたい。
真剣にそう告げるとようやく納得してくれた。
上着には全部で9つの勲章メダルをつけていたが、とりあえずは一つだけ持っていくとしよう。
売る場所がわかれば、あとはトモキに知られないようにこっそり売ればいい。
トモキの渡してくれた小さな袋にそのメダルを入れ、私はトモキと共に家を出た。
先ほどの服に父上のものだという暖かな上着を借り、まず出かけたのは宝飾品を買取してくれるという店。
とりあえず金を作らなければ買い物もままならないからな。
店に入ると、店主は私とトモキの姿に値踏みをしているような視線を向け、鼻で笑いながら
「私どもは宝飾品の買取店でございます。失礼ですが、お店をお間違えではございませんか?」
と言い放った。
その言葉にトモキはカァっと顔を赤らめ、
「クリスさん、他のところに行きましょう」
と私の腕を引っ張った。
なるほど。
見た目で判断しているということか。
どこにでもこういう愚かな輩はいるものなのだな。
まぁ、いい。
私もこのような店で大切な品を売る気にはならない。
だが、このままスゴスゴと引き下がるような私ではないぞ。
「そうだな。このようなものにこの価値は一生わからぬだろうからな」
そう言ってあの袋からキラキラと輝くメダルを取り出すと、それを目にした瞬間、奴らは急に目の色を変えた。
「お、お待ちください。失礼いたしました。どうかその美しいお品を拝見させていただけませんか?」
なるほど。
やはりこの世界でもこれはかなりの価値がありそうだ。
いきなり手のひらを返しても触らせるわけがないだろうが。
「其方たちは我々の見た目で勝手に貧乏人だと決めつけ、この店に相応しくないと判断したのであろう? それが其方たちの目利きというものだ。そのような濁った目をしている者に、これを売る気はない。失礼する」
トモキをそっと抱き寄せ、店の外に出ると
「クリスさん、嫌な思いをさせてしまってごめんなさい……。僕がちゃんと調べてから連れて行ったらよかったのに……」
と謝られてしまった。
「ふふっ。トモキが責任を感じることはない。ああいう輩との交渉には慣れているから、何も気にしていない。それにあの店でかなり勉強になったのだぞ」
「えっ? どういう意味ですか?」
「あの店に並んでいた宝石、あれは買取したものを売っているのだろう?」
「あ、はい。そう、ですね……」
「あれについていた金額を覚えてきた。あれで私の持っているメダルのおおよその買取金額が想像ついたから、こちらが何も知らないと思って足元を見られずに済む」
「え――っ、すごい、ですっ」
「ふふっ。記憶力には自信があるのでな」
その言葉に、トモキは尊敬の眼差しで私を見つめてくれた。
今まで自分に飛び抜けた記憶力があることを自慢などしたことは一度もないが、トモキに尊敬してもらいたくてついついそんな子どもじみたことをして気を引こうとしてしまう。
やはり私はトモキにかなり惹かれているようだ。
「あ、あそこが買取店です」
トモキが指差した方向にある店は先ほどの店と違って古そうではあったが、いわゆる老舗という言葉が似合いそうなそんな店に見えた。
「トモキ、今度は私一人で行ってくる。しばらくここで待っていてくれ」
そういうとトモキは小さく頷いた。
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