突然やってきたイケメン騎士団長と甘々同棲生活始まりました

波木真帆

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初めての気持ち

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<side龍臣>

クリスさんを失ったショックで痩せてしまった智己の小さな背中を抱きしめながら、クリスさんへの思いの丈を叫ばせた途端、突然部屋中を眩い光が覆い尽くした。

「な、なんだ、これはっ!」

「あの時と同じだ……」

驚き慌てふためく俺とは対照的に、なぜか智己は何かを悟ったようにただ静かにその身を任せているように見えた。
このままどこかへ消えてしまうのではないかという考えが頭を過ぎり、俺は智己がどこにも行かないように思いっきり智己を抱きしめ続けた。

今まで見たことのないとんでもない強い光に正直なところ、死すら感じてしまうが、智己を無事にクリスさんに会わせてあげられるまでは死んでも死に切れない。
クリスさんのいない今、智己を守れるのは俺だけだ!

その思いで抱きしめ続けたが、一瞬身体が浮き上がったような感覚を抱いたと思ったら、ものすごい力で地面に叩きつけられ、俺はそのまま意識を失った。



「うーん」

頭がぼーっとする。
ここは一体どこだ?

「あっ、目を覚ましましたか?」

真っ白な天井との間に、突然天使が現れた。

「な、んだ……天使、がいる……ここは、天国なのか……?」

「ふふっ。寝ぼけているのですね。もう少しお休みになるといいですよ」

にっこりと微笑む彼は一体……?
それに俺はどうしてしまったんだ?

「私は、一体……?」

「転移の時に投げ出されたようで床に倒れていらっしゃったのですよ。医師の見立てでは、軽い脳震盪だそうです。他に怪我などは見受けられませんでしたが、どこか痛いところはありませんか?」

転移?
彼は今、転移と言ったのか?

どういうことだ?
頭が混乱して考えがまとまらない。

「あっ……えっ?」

「あの、大丈夫ですか? もう一度医師に診察していただきましょう――わっ!」

混乱している俺を心配して、医師を呼びに行こうとする彼の手をさっと握ると、彼は突然のことに驚いたのか俺の方に倒れ込んできた。
それでも俺に身体が当たらないように腕を伸ばし、耐えていた彼の顔が間近に見える。

「あっ、失礼しました」

慌てて俺から離れようとする彼に声をかけた。

「あの……あなたは一体、どなたですか?」

「申し遅れました。私はジョバンニ・ブランストーンと申します。ビスカリア王国騎士団で副団長を務めております。どうぞお見知り置きを」

「ジョバンニ、さん?」

「はい」

「あ、あのビスカリア王国って……まさか、クリスさんの?」

「はい。すぐにクリスティアーノ団長をお呼びして参りますね」

「あの、智己は? 私と一緒に小さい子が……」

「はい。トモキさまなら、今、団長と一緒にいらっしゃいます。随分とお痩せになったと団長が心配なさって、お食事をなさっているかと存じます」

「はぁーっ、そう、ですか……智己、無事にクリスさんに会えたんですね。良かった……本当に良かった……」

「お優しいんですね……」

「えっ? いえ、そんな……ただ、智己のことは智己の父親から頼まれていたもので……息子のような存在なんです」

「えっ……息子のような? そう、なんですか?」

「はい。智己の父親とは親友でしたから……」

俺がそういうと、ジョバンニさんは明らかにホッとした表情を浮かべた。

「あの、何か……」

「い、いいえ。てっきりトモキさまをお慕いして一緒に来られたのかと……」

「お慕い? ははっ。それはないですね。それに智己にはもうクリスさんがいますから……」

「そう、ですね……。団長のあんなに嬉しそうな顔……私も初めて見ました」

なぜかその時の表情がとても儚げで寂しそうに見えた。

「あの……もしかして、ジョバンニさん……クリスさんのことを?」

「えっ? そんなことありませんっ! 本当です!」

突然否定し始めたジョバンニさんの勢いに押されるように俺は頷いてみせた。

「あ、失礼しました。つい大声を出してしまって……」

「いいえ。ジョバンニさんから見れば、クリスさんは上官でしょうから変なことを言われて驚くのは当然ですよ。私の方が失礼しました」

「あの……お名前をお伺いしてもよろしいですか?」

「ああ、とんだ失礼を。私は野上龍臣と申します。龍臣と呼んでいただけると嬉しいです」

「タツオミ、さん?」

「はい」

彼に名前を呼ばれたことが嬉しくて微笑み返すと、なぜかジョバンニさんは急に顔を真っ赤にして俺を見つめていた。


<sideジョバンニ>

眩い光が消えると同時に、目の前に今までなかった物体が現れた。
驚く私を横目に、団長はすぐにそれが待ち望んでいたお方だと気づかれたようだ。

手に持っていたものを全て投げ出し、彼だけが目に映っているように近づきそのまま強く抱きしめあった。

心の叫びのような愛を訴えあい、深い口付けを交わす二人の邪魔をしないようにただ息を潜めて二人を見守り続ける。

団長のなんとも激しい口づけに、腕の中のお方はまだ慣れないのか、苦しげに声を漏らす。
流石に止めた方がいいかと声をかけようとした瞬間、ようやく二人の唇が離れた。

ぐったりと団長の身体に身を預けるお方は、明らかに体調が万全ではなさそうだ。

医師の診察でも……と声をかけようとしたその時、部屋の隅にもう一つ物体が転がっていることに気づいた。
それが人間だとわかって、私は急いで団長たちの前に立ちはだかり、声をかけた。

が、その人間は動く様子が見えない。

近づこうとしたその瞬間、

「タツオミ、じゃないか?」

と団長の声が聞こえた。

「団長、お知り合いですか?」

「ああ、トモキと同じ世界にいた我々の恩人だよ」

「恩人? そのかたがなぜ?」

「トモキ……どうしてタツオミまでこちらにきてしまったのか、わかるか?」

腕の中のお方に尋ねると、聞いたことのないような綺麗な声が聞こえた。

「部屋が光った時……そばにいたから、かも……」

「なるほど……あの光に巻き込まれたわけだな……」

「クリスさん……どうしよう。僕……マスターを……」

「トモキ、心配はいらない。とりあえず、タツオミが目覚めたら話をしてみよう」

団長の言葉に運命のお方は素直に頷いた。

「ジョバンニ、私はトモキに診察を受けさせて食事をさせる。悪いが、お前はタツオミを隣の客間に寝かせて付き添ってやっててくれないか? トモキの診察が終わったら医師はすぐに客間に向かわせよう。ああ、それから父上にはまだ何も話すな」

「承知しました」

私の返事に安心したように、団長はすぐに立ち上がり自分の寝室に運命のお方を連れて行った。

私は急いで床に倒れたままの彼を起こし、抱き上げて静かに隣の客間に運んだ。
医師が部屋に来るまでの間、私はずっと眠る彼の顔を見続けていた。

どうしたのだろう、この胸の高鳴りは……。

こんなの初めてだ。
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