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トモキの願い
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<sideクリス>
「クリスティアーノさま。ただいま戻りました」
「ああ。その顔を見るとどうやらうまくいったようだな」
「はい。陛下とニコラス医師が執りなしてくださいましたので、あと十日ほどは大丈夫かと存じます」
「十日も? さすがだな。それならトモキが回復するまでは十分だ。ニコラス、マイルズに付き添ってくれて助かった」
「いえ、私は医師としての見解をお伝えしただけです。ジュリアーノさまをお止めになったのは陛下でございますよ」
父上は兄でいらっしゃるアンドレア国王のいうことには逆らえないからな。
本当に助かる。
「せっかくこちらに伺いましたので、トモキさまのご様子を拝見してもよろしいですか?」
「ああ。今は眠っているが、食事の量も増えているし顔色も良くなってきたぞ」
ニコラスは私の説明を聞きながら、トモキの脈診をしているがその表情を見ると明るい。
きっとニコラスにもトモキの体調の良さはわかっただろう。
「クリスティアーノさまは、しっかりとお世話ができていらっしゃるようで安心いたしました」
「ああ、もちろんだ。トモキが早く回復するように願いを込めて世話しているのだからな」
「この調子でよろしくお願いいたします。三食しっかりとお食事が摂れるようになったら薬はお止めいただいて結構です。薬からの栄養よりは食事から取るほうが吸収がいいですからね」
「わかった。そうしよう」
「それから、陛下とジュリアーノさまに御目通りなさる前に一度私の診察を受けていただきますようお願いいたします。少しでも不安な要素がある場合は、御目通りは延期ということでよろしいですか?」
「トモキの主治医であるニコラスのいうことには背くことはしないと約束しよう」
「そう仰っていただけて安心いたしました。トモキさまをお守りできるのはクリスティアーノさまだけでございます。それをお忘れなく」
「ああ、わかっている」
そういうと、ニコラスは安心したように帰って行った。
それからあっという間に五日が経ち、トモキは外に出られるほど元気になった。
とはいえ、私が抱きかかえて庭を散策する程度だが、トモキは外の景色が見られて楽しそうだ。
毎食しっかりと食べてくれるようになったせいか、ここにきた頃に比べると若干体重は重くなったように思う。
と言っても、元々が羽のように軽いのだから少し重みが増えただけでは、抱きかかえても私には特段変化はない。
それでも少しずつ頬に赤みがさしていくトモキを見るのは嬉しくて仕方がない。
「あの、クリスさん……」
「どうした?」
東屋のベンチに腰を下ろし、トモキを抱きかかえたままお菓子を食べさせていると、トモキが言いにくそうに私を見つめた。
「あの……ずっと、僕のそばにいてくれるのは嬉しいんですけど……お仕事には行かなくていいんですか?」
「えっ?」
「クリスさん……騎士団の団長さんなんですよね。団長さんがこんなに長く休んで大丈夫なんですか? クリスさんが辞めさせられたりしないか心配で……」
「トモキは私のことを心配してくれていたのだな。だが、心配せずとも良い。元々、騎士団の団長は辞めるつもりでいたのだ」
「えっ……辞めるんですか?」
「ああ。ずっと騎士団の団長としての任務に当たりながら、次期公爵として勉強も続けていたのだが、もう30になったことだし、それに父にも持病があるし、そろそろ公爵として跡を継ごうかと考えていたのだよ。その矢先にトモキと出会うことになったのだ」
「そう、だったんですか……」
公爵になれば、同じ屋敷内にいて会うことも容易い。
てっきり私が団長を辞めれば喜んでくれると思っていたのだがトモキの表情はどうも優れない。
どうしたのだろう?
「トモキは私が騎士団の仕事に出かけた方がよかったのか? 家にいない方が良いのか?」
「えっ、あっ、えっと……そうじゃなくて……あの、クリスさんが稽古しているところ、見てみたいなって思って……」
「えっ? 稽古を?」
「はい。前に、僕が絡まれた時にクリスさんが幟をさっと取って、剣のように構えてあっという間にやっつけたのがすごくかっこよかったので、いつか本当に戦っているところを見てみたいなって思ってたんです。だから、クリスさんがお仕事行ったら、一緒に連れて行ってもらえるかなって……」
「――っ!!」
まさか、トモキがそんなことを思ってくれていたなんて思わなかった。
私の勇姿が見たいとは……。
まずい、顔がニヤける。
「トモキがそう言ってくれるなら、近々一緒に連れて行こう」
「えっ! 本当ですか?!」
「ああ。陛下と父上に御目通りしたあとにな。だからそれまでにしっかりと体調を整えておかねばな」
「はい! 僕、今よりももっと元気になります!! クリスさんの戦っているところ、見るの楽しみです」
嬉しそうに笑うトモキの姿に愚息がかなり主張していたが、必死に抑えた私を褒めて欲しい。
ああ、今日は何度一人で蜜を出すことになるのか……正直見当もつかないな。
「クリスティアーノさま。ただいま戻りました」
「ああ。その顔を見るとどうやらうまくいったようだな」
「はい。陛下とニコラス医師が執りなしてくださいましたので、あと十日ほどは大丈夫かと存じます」
「十日も? さすがだな。それならトモキが回復するまでは十分だ。ニコラス、マイルズに付き添ってくれて助かった」
「いえ、私は医師としての見解をお伝えしただけです。ジュリアーノさまをお止めになったのは陛下でございますよ」
父上は兄でいらっしゃるアンドレア国王のいうことには逆らえないからな。
本当に助かる。
「せっかくこちらに伺いましたので、トモキさまのご様子を拝見してもよろしいですか?」
「ああ。今は眠っているが、食事の量も増えているし顔色も良くなってきたぞ」
ニコラスは私の説明を聞きながら、トモキの脈診をしているがその表情を見ると明るい。
きっとニコラスにもトモキの体調の良さはわかっただろう。
「クリスティアーノさまは、しっかりとお世話ができていらっしゃるようで安心いたしました」
「ああ、もちろんだ。トモキが早く回復するように願いを込めて世話しているのだからな」
「この調子でよろしくお願いいたします。三食しっかりとお食事が摂れるようになったら薬はお止めいただいて結構です。薬からの栄養よりは食事から取るほうが吸収がいいですからね」
「わかった。そうしよう」
「それから、陛下とジュリアーノさまに御目通りなさる前に一度私の診察を受けていただきますようお願いいたします。少しでも不安な要素がある場合は、御目通りは延期ということでよろしいですか?」
「トモキの主治医であるニコラスのいうことには背くことはしないと約束しよう」
「そう仰っていただけて安心いたしました。トモキさまをお守りできるのはクリスティアーノさまだけでございます。それをお忘れなく」
「ああ、わかっている」
そういうと、ニコラスは安心したように帰って行った。
それからあっという間に五日が経ち、トモキは外に出られるほど元気になった。
とはいえ、私が抱きかかえて庭を散策する程度だが、トモキは外の景色が見られて楽しそうだ。
毎食しっかりと食べてくれるようになったせいか、ここにきた頃に比べると若干体重は重くなったように思う。
と言っても、元々が羽のように軽いのだから少し重みが増えただけでは、抱きかかえても私には特段変化はない。
それでも少しずつ頬に赤みがさしていくトモキを見るのは嬉しくて仕方がない。
「あの、クリスさん……」
「どうした?」
東屋のベンチに腰を下ろし、トモキを抱きかかえたままお菓子を食べさせていると、トモキが言いにくそうに私を見つめた。
「あの……ずっと、僕のそばにいてくれるのは嬉しいんですけど……お仕事には行かなくていいんですか?」
「えっ?」
「クリスさん……騎士団の団長さんなんですよね。団長さんがこんなに長く休んで大丈夫なんですか? クリスさんが辞めさせられたりしないか心配で……」
「トモキは私のことを心配してくれていたのだな。だが、心配せずとも良い。元々、騎士団の団長は辞めるつもりでいたのだ」
「えっ……辞めるんですか?」
「ああ。ずっと騎士団の団長としての任務に当たりながら、次期公爵として勉強も続けていたのだが、もう30になったことだし、それに父にも持病があるし、そろそろ公爵として跡を継ごうかと考えていたのだよ。その矢先にトモキと出会うことになったのだ」
「そう、だったんですか……」
公爵になれば、同じ屋敷内にいて会うことも容易い。
てっきり私が団長を辞めれば喜んでくれると思っていたのだがトモキの表情はどうも優れない。
どうしたのだろう?
「トモキは私が騎士団の仕事に出かけた方がよかったのか? 家にいない方が良いのか?」
「えっ、あっ、えっと……そうじゃなくて……あの、クリスさんが稽古しているところ、見てみたいなって思って……」
「えっ? 稽古を?」
「はい。前に、僕が絡まれた時にクリスさんが幟をさっと取って、剣のように構えてあっという間にやっつけたのがすごくかっこよかったので、いつか本当に戦っているところを見てみたいなって思ってたんです。だから、クリスさんがお仕事行ったら、一緒に連れて行ってもらえるかなって……」
「――っ!!」
まさか、トモキがそんなことを思ってくれていたなんて思わなかった。
私の勇姿が見たいとは……。
まずい、顔がニヤける。
「トモキがそう言ってくれるなら、近々一緒に連れて行こう」
「えっ! 本当ですか?!」
「ああ。陛下と父上に御目通りしたあとにな。だからそれまでにしっかりと体調を整えておかねばな」
「はい! 僕、今よりももっと元気になります!! クリスさんの戦っているところ、見るの楽しみです」
嬉しそうに笑うトモキの姿に愚息がかなり主張していたが、必死に抑えた私を褒めて欲しい。
ああ、今日は何度一人で蜜を出すことになるのか……正直見当もつかないな。
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