鷹城先生の特別授業

波木真帆

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風呂に入ろう

「んー! はふっ、おいひいっ!」

湯気の立つハンバーグをふーふーと冷まし、小さな口には少し大きなハンバーグを頬張った幸翔くんが満面の笑みを浮かべて感想を伝えてくれる。

日本語での感想になっているのが、幸翔くんの正直な気持ちを表しているのだろう。
それが何よりも嬉しい。

『あっ! あの、右京さんのハンバーグ。今まで食べたハンバーグの中で一番美味しいです』

英語を使うんだったと思い出したのか、ほんのりと頬を染めながら言い直すのが可愛い。

『ははっ。気に入ってくれて嬉しいよ』

幸翔くんを見ると、唇の端のほんの少しソースがついていることに気づいた。
何も言わずに顔を近づけると、彼が可愛い声をあげる。

「ひゃっ!」

その可愛らしい顔を目に焼き付けながら、チュッと唇を当てて舌先でソースを舐め取った。

「えっ?」

『ソースが付いてたから。美味しかったよ』

笑顔でウインクして見せると幸翔くんはさらに顔を赤くした。

『もう……右京さんがドキドキさせるから、ご飯食べられないです……』

『ははっ。ごめん。幸翔が可愛いからつい意地悪しちゃったよ。さぁ、ゆっくり食べよう。ほら』

幸翔くんのハンバーグを一口サイズに切り分けて少し冷ましてから口の前に差し出すと、彼はまだ少し赤い顔をしたまま小さな口を開いた。

『ん! 美味しいです!』

その天使のように可愛い顔を愛でつつ、二人っきりの楽しい夕食時間は過ぎていった。

さっと片付けをしながら、幸翔くんをリビングのソファーに座らせ、私はその様子を見て楽しんでいた。

『あーっ、お腹いっぱい。お昼も夜もこんなに満足したの、久しぶりです』

満足そうにお腹をさする姿を可愛いと思いながらも、幸翔くんの食事事情が気になって仕方がない。

『家ではそんなに食べてなかったのか?』

『母があまり料理が得意ではないので、いつもお金が置いてあって学校帰りに好きなもの買って帰ってました』

『どんなものを買ってたんだ?』

『うーん……食事する時間がもったいなくて勉強しながら食べられるように、サンドイッチとか菓子パンとかが多かったですね。時々、大輔の家で夕食をご馳走になってたのでその時にボリュームのあるものを食べさせてもらってました。でも食べすぎると眠くなっちゃうんでその辺が困っちゃうんですよね』

元々筋肉がつきにくい体質なのも理解はするが、この食事なら幸翔くんがあれだけ華奢なのもわかる気がする。
彼も母親に幸翔の好物を作ってもらうと話していたし、毎日のことではないからこそ幸翔くんが彼の家でご馳走になっていたときはハイカロリーのものを食べさせてもらっていたんだろう。

普段は栄養もカロリーも足りず、時々ハイカロリーのものを食べるような食生活は医者として見過ごしてはおけない。怪我の治りにも関わることだし、これから健康的になってもらうためにもしっかりと栄養バランスを考えた食事を作った方がいいな。

『これからは三食、私がしっかりと栄養バランスを考えた食事を作るから安心してくれ』

『わぁっ、右京さんの食事をずっと食べられるなんて幸せです!』

ああ、もう本当に二週間と言わずに早くずっと一緒に暮らせるようになりたいものだ。

二週間後、自宅に戻した時に両親と話をしてできるだけうちで面倒見られるように話を持っていくようにするか。とりあえずはこの二週間で幸翔くんの胃袋を掴んで私の食事以外では満足できないようにしよう。
ここは腕の見せ所だな。

『食事もしたし、今日は球技大会で汗もかいただろうから風呂に入って早めに休もうか。洗濯と乾燥も終わっているから下着は大丈夫だよ』

『あ、あの……お風呂って……』

『もちろん、一緒に入るよ。幸翔一人で入るのは危ないだろう?』

真っ赤な顔をして尋ねてくる幸翔くんに当然とでも言うような顔を向ければ恥ずかしそうにしながらも、

『そ、そうですよね。お願いします』

と受け入れてくれる。
本当に心配になるくらい素直だが、一緒の風呂を嫌がられなかったことにはホッとする。

湯張りのスイッチを押して、幸翔くんを抱きかかえて脱衣所に連れていく。
さっと服を脱がせて椅子に座らせて待たせている間に、私も服を脱ぎ始めた。

途端に幸翔くんからの視線を感じる。
それだけで昂ってしまうが、最初から彼を怖がらせるわけにはいかない。

できるだけ反応しないように気合いを入れながら半裸になると、幸翔くんが恍惚とした表情で私を見つめていた。

『どうかした?』

『あ、すみません。右京さんの身体……すっごくかっこよくてつい見ちゃいました』

『幸翔くんにそう思ってもらえるのは嬉しいよ。別に減るものじゃないから好きに見てくれていいよ』

あの表情を見る限り、下を脱いでも嫌がることはなさそうだ。
少しホッとしながらズボンと下着を堂々と脱ぎ去った。

「わっ、おっきぃっ!」

私のソレを見て、英語で話すことも忘れた幸翔くんの心から嬉しそうな声が聞こえて思わず笑みが溢れた。
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