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プライスレスな贈り物
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そんなことを思っている間にユヅルたちは歓声を上げながら嬉しそうに贈り物を開けていく。
まるで宝箱を開けるようにその目は常に輝きっぱなしだ。
フランスの寒い冬にはぴったりな防寒着の数々。
ユヅルが勉強を頑張るための文房具。
文房具、特に日本のものは細部にまでこだわりがあって美しいからな。
お菓子や本のほかには私と揃いの食器があった。
毎日ユヅルと二人だけの揃いの食器で食事をする。
ああ、それは実に楽しそうだ。
皆に同じものかと思いきや、それぞれに合うものが贈られていて、日本の友人の両親たちの深い愛情が感じられる。
本当に皆、自分の息子たちの可愛い伴侶を認めているのだ。
日本では同性婚が認められていないというのに、彼らが揃って可愛い男の伴侶を認めてくれるのは何よりも友人たちが選んだ伴侶が皆、いい子達ばかりだからだろうな。
伴侶に会うまでは、私同様に人を愛することさえ知らなかったというのだから、自分の息子が愛する人を見つけられただけで幸せだと思ってくれる親なのだろう。
プレゼントの一つ一つに愛のこもった手紙が添えられていて、ユヅルは贈り物以上にカードの方を喜んでいるようにも見える。
「こうやってみんなで楽しい時間を過ごせるのっていいなって。エヴァンさんがそばにいてくれて幸せを再確認してました」
そんな可愛いことを言ってくれるユヅルにこんなに楽しいクリスマスを過ごすのは私も初めてだと伝えると、ユヅルは嬉しそうに
「エヴァンさんの初めて、貰っちゃいましたね」
さらに可愛いことを言い出した。
こんな可愛いことを言われて我慢できるはずもなく、私はユヅルの柔らかな唇にキスを贈った。
まだ恥ずかしそうにしていたが、誰も気にしていないことを知ると、ユヅルは嬉しそうに笑っていた。
「ねぇ、今度は僕たちのプレゼント交換しよう!!」
ケイトの声に一段と楽しそうな歓声が上がる。
あれだけ真剣に選んでいたプレゼントだ。
みんな喜んでくれたらいい。
ジュールに皆が揃えたプレゼントを用意させると、ユヅルたちは暖炉のそばに円を作って腰を下ろした。
「我々はこっちでのんびりと酒の続きでも楽しみましょうか」
ユウキの声に皆集まって、それぞれワインやシャンパンを楽しむ。
皆一様に酒が強く、飲んでいて楽しい時間だ。
『みんなはクリスマスプレゼント選ぶに付き合ったのか?』
みんながフランス語を理解しているならフランス語でも構わないだろう。
そう思ってフランス語で問いかけると、当然のようにフランス語で返ってきた。
『はい。もちろんです。ひとりで行かせるわけには行きませんから』
『だな。ロレーヌももちろんそうなんだろう?』
ミヅキの言葉にアヤシロが賛同し、尋ねてくる。
『ああ、ユヅル一人で行かせるわけがないな。ジョルジュ、あの時はご苦労さまだったな』
『ロレーヌ総帥の外出にはやはり警備がつくのでしょう?』
『ああ、デパートは貸切にしたから、周りに護衛はあまりつけなかったが、急遽クリスマスマーケットに参加した時は大変だったな』
『あの混雑しているクリスマスマーケットに行ったのか? それは……大変でしたね』
気の毒そうにジョルジュを見つめるアヤシロたちに当の本人は
『まぁ、二人が離れずくっついていてくれたから警護はしやすかったぞ。これで別行動でも取られたら配置も変わってくるからな』
と笑って返していた。
『帰国までに一緒にクリスマスマーケットに行かないか? あの場の雰囲気といい、食事といい、思い出作りには申し分ないぞ』
『だが、皆で出かけるとなると警護も大変じゃないですか?』
スオウがジョルジュを心配して声をかけるが、
『それぞれ自分の伴侶は責任持って護衛すればいい。我々が一緒にいれば、逆に声をかけてくるような強者はいないんじゃないか?』
『それもそうだな』
『確かに。それなら大丈夫そうだ。俺は佳都と離れるつもりはないからな』
ミヅキもユウキもアヤシロも大丈夫だと心は行く気満々だ。
きっと外出が楽しみでたまらないのだろう。
『さっきの揃いのコートや手袋もきさせてやりたいし、1日くらい頑張ってみないか?』
そう声をかけると、みな嬉しそうに賛同してくれた。
これでクリスマスマーケットへの外出は決まった。
ふふっ。ユヅルが聞いたら喜んでくれるだろうな。
そんなことを思っていると、突然スクリーンが降りてきて大広間の明かりが消えた。
何か映画でも見るのだろうかと思っていると、
『あ、あれは……』
目の前に現れた映像に驚きを隠せない。
『ロレーヌ総帥、あれは秀吾から、弓弦くんへの贈り物なんですよ』
スオウがそう教えてくれて、私はユヅルとシュウゴの元に向かった。
シュウゴにどこからの映像だと尋ねれば、
「お二人が出会った、パリ国際ヴァイオリンコンクールの映像です。あの時、優勝した天音さんは審査委員長だったニコラ・ロレーヌと表彰式の後でコラボ演奏をしたんですよ」
と教えてくれた。
ニコラがアマネの演奏に聴き惚れて頼み込んでコラボしたというのは聞いていたが、これがその時の映像なのか……。
まさかこんな貴重な映像を見られるとは思ってもみなかった。
シュウゴの母君が撮影してくれたというこの映像。
亡き父と母が一緒に演奏をしている姿はかなり貴重だ。
ユヅルは大粒の涙を流しながら、目に焼き付けるようにその映像を見ていた。
「しゅう、ごさん……あ、りがとう」
どれだけのお金にも変えることのできない素晴らしいプレゼントを贈ってくれたシュウゴには感謝しかない。
まるで宝箱を開けるようにその目は常に輝きっぱなしだ。
フランスの寒い冬にはぴったりな防寒着の数々。
ユヅルが勉強を頑張るための文房具。
文房具、特に日本のものは細部にまでこだわりがあって美しいからな。
お菓子や本のほかには私と揃いの食器があった。
毎日ユヅルと二人だけの揃いの食器で食事をする。
ああ、それは実に楽しそうだ。
皆に同じものかと思いきや、それぞれに合うものが贈られていて、日本の友人の両親たちの深い愛情が感じられる。
本当に皆、自分の息子たちの可愛い伴侶を認めているのだ。
日本では同性婚が認められていないというのに、彼らが揃って可愛い男の伴侶を認めてくれるのは何よりも友人たちが選んだ伴侶が皆、いい子達ばかりだからだろうな。
伴侶に会うまでは、私同様に人を愛することさえ知らなかったというのだから、自分の息子が愛する人を見つけられただけで幸せだと思ってくれる親なのだろう。
プレゼントの一つ一つに愛のこもった手紙が添えられていて、ユヅルは贈り物以上にカードの方を喜んでいるようにも見える。
「こうやってみんなで楽しい時間を過ごせるのっていいなって。エヴァンさんがそばにいてくれて幸せを再確認してました」
そんな可愛いことを言ってくれるユヅルにこんなに楽しいクリスマスを過ごすのは私も初めてだと伝えると、ユヅルは嬉しそうに
「エヴァンさんの初めて、貰っちゃいましたね」
さらに可愛いことを言い出した。
こんな可愛いことを言われて我慢できるはずもなく、私はユヅルの柔らかな唇にキスを贈った。
まだ恥ずかしそうにしていたが、誰も気にしていないことを知ると、ユヅルは嬉しそうに笑っていた。
「ねぇ、今度は僕たちのプレゼント交換しよう!!」
ケイトの声に一段と楽しそうな歓声が上がる。
あれだけ真剣に選んでいたプレゼントだ。
みんな喜んでくれたらいい。
ジュールに皆が揃えたプレゼントを用意させると、ユヅルたちは暖炉のそばに円を作って腰を下ろした。
「我々はこっちでのんびりと酒の続きでも楽しみましょうか」
ユウキの声に皆集まって、それぞれワインやシャンパンを楽しむ。
皆一様に酒が強く、飲んでいて楽しい時間だ。
『みんなはクリスマスプレゼント選ぶに付き合ったのか?』
みんながフランス語を理解しているならフランス語でも構わないだろう。
そう思ってフランス語で問いかけると、当然のようにフランス語で返ってきた。
『はい。もちろんです。ひとりで行かせるわけには行きませんから』
『だな。ロレーヌももちろんそうなんだろう?』
ミヅキの言葉にアヤシロが賛同し、尋ねてくる。
『ああ、ユヅル一人で行かせるわけがないな。ジョルジュ、あの時はご苦労さまだったな』
『ロレーヌ総帥の外出にはやはり警備がつくのでしょう?』
『ああ、デパートは貸切にしたから、周りに護衛はあまりつけなかったが、急遽クリスマスマーケットに参加した時は大変だったな』
『あの混雑しているクリスマスマーケットに行ったのか? それは……大変でしたね』
気の毒そうにジョルジュを見つめるアヤシロたちに当の本人は
『まぁ、二人が離れずくっついていてくれたから警護はしやすかったぞ。これで別行動でも取られたら配置も変わってくるからな』
と笑って返していた。
『帰国までに一緒にクリスマスマーケットに行かないか? あの場の雰囲気といい、食事といい、思い出作りには申し分ないぞ』
『だが、皆で出かけるとなると警護も大変じゃないですか?』
スオウがジョルジュを心配して声をかけるが、
『それぞれ自分の伴侶は責任持って護衛すればいい。我々が一緒にいれば、逆に声をかけてくるような強者はいないんじゃないか?』
『それもそうだな』
『確かに。それなら大丈夫そうだ。俺は佳都と離れるつもりはないからな』
ミヅキもユウキもアヤシロも大丈夫だと心は行く気満々だ。
きっと外出が楽しみでたまらないのだろう。
『さっきの揃いのコートや手袋もきさせてやりたいし、1日くらい頑張ってみないか?』
そう声をかけると、みな嬉しそうに賛同してくれた。
これでクリスマスマーケットへの外出は決まった。
ふふっ。ユヅルが聞いたら喜んでくれるだろうな。
そんなことを思っていると、突然スクリーンが降りてきて大広間の明かりが消えた。
何か映画でも見るのだろうかと思っていると、
『あ、あれは……』
目の前に現れた映像に驚きを隠せない。
『ロレーヌ総帥、あれは秀吾から、弓弦くんへの贈り物なんですよ』
スオウがそう教えてくれて、私はユヅルとシュウゴの元に向かった。
シュウゴにどこからの映像だと尋ねれば、
「お二人が出会った、パリ国際ヴァイオリンコンクールの映像です。あの時、優勝した天音さんは審査委員長だったニコラ・ロレーヌと表彰式の後でコラボ演奏をしたんですよ」
と教えてくれた。
ニコラがアマネの演奏に聴き惚れて頼み込んでコラボしたというのは聞いていたが、これがその時の映像なのか……。
まさかこんな貴重な映像を見られるとは思ってもみなかった。
シュウゴの母君が撮影してくれたというこの映像。
亡き父と母が一緒に演奏をしている姿はかなり貴重だ。
ユヅルは大粒の涙を流しながら、目に焼き付けるようにその映像を見ていた。
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