大富豪ロレーヌ総帥の初恋

波木真帆

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嬉しい贈り物

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思いがけず素晴らしい贈り物を貰ったものだ。
この映像はユヅルだけでなく、私やジュール、それこそ、このロレーヌ家にとっても素晴らしいクリスマスプレゼントになった。

スクリーンを見ながら涙を流しているジュールを見ているとこちらまで嬉しくなる。
久しぶりにみるニコラとアマネの姿に、ユヅルの次に喜んでいるのはジュールかもしれないな。

ジュールが涙を流していることに気づいたシュウゴがさっとジュールの元に近づいた。
ジュールのあの嬉しそうな顔を見ると、母君から聞いたというニコラとアマネの思い出話でもしてあげているのかもしれない。
本当に優しくて良い子だ。

ジョルジュもマサオミを気に入っていることだし、フランスで一緒に生活してくれないだろうか……。
リオとミヅキもこちらに来てくれたら、ユヅルの行動範囲が広くできるのだがな。

ユヅルはジュールの涙に気づいたようでもらい泣きをしているようだった。
ポケットからハンカチを取り出して拭ってやると、嬉しそうに笑っていた。

ユヅルは自分が選んだ贈り物が喜んでもらえるかと躊躇っていたようだったが、ユヅルが一生懸命彼らのために選んだものを喜ばないわけがない。
安心させてやると、ユヅルは嬉しそうに彼らにプレゼントを渡しにいった。

それを少し離れた場所から見守っていると、ミヅキが声をかけてきた。

「弓弦くんも相当悩んだんですか? プレゼント探し」

「ああ、そうだな。だが、最後は自分でちゃんと選んでいたよ」

「そうですか。やはり、うちの理央よりはまだ弓弦くんの方が贈り物という概念をわかっているようですね」

「というと、やはり難しかったのか?」

「ええ。自分のものすら満足に与えられずに過ごしてきたから、誰かに物を贈るという事がわからなかったようですね。バッグも文房具も持っているからあげられないと話していましたから」

「そうか、一人ひとつの中に自分の贈った物をいれられないと思ったのだろうな。ならば、今回の贈り物はどうしたんだ?」

「ふふっ。少し考え方を変えさせたんですよ」

「考え方を?」

「はい。楽しみにしていてください」

ミヅキの意味深な微笑みに、きっと素晴らしい物であることはわかった。
それもこの世に一つしかないもの。

だが、リオが選ぶものとつながらない。
しかも考え方を変えさせたと言っていた。

一体どういうものなのか……気になるな。


「ふふっ。リュカ……好きっ!」

そんなことを考えていた私の耳に衝撃的なユヅルの言葉が飛び込んできて、慌ててそちらに目をやるとユヅルがリュカと抱き合っているのが見える。

ジョルジュもその二人の姿に驚いているようだが、それよりも今はさっさと引き離しにいかなければ!

急いでユヅルに駆け寄り、リュカから引き離して腕の中に閉じ込めると、

「え、エヴァンさん……びっくりした……どうしたんですか?」

なぜ私がこんなことをしたのかわからないとでもいう様子で、ユヅルが私を見つめた。

いやいや、ユヅルとリュカが抱き合っているのを見過ごせるわけがないだろう。
しかも愛の言葉まで囁いているというのに。

私の前で他の男と抱き合い、愛の言葉を囁くなんて持ってのほかだというと、ユヅルは焦りながら、

「あの、違いますよ。その好きは、好きじゃなくて……えっと……好きなものはいっぱいあっても、僕がこの世で大好きなのはエヴァンさんだけですから!」

と大広間中に響き渡るような大きな声で私への愛を叫んでくれた。

恥ずかしがり屋のユヅルからの愛の言葉を、友人たちの前で聞かせてもらえるとは思っていなかった。

リュカと抱き合っていたことは許し難いが、こんなに大きな声で愛を叫んでくれたからよしとしようか。
私は満面の笑みでユヅルにキスを贈った。

真っ赤な顔で私を見上げるユヅルに愛の告白の礼を言いながらも、他の者とのハグは禁止だとしっかり釘を刺しておいた。
ユヅルにもリュカにもそんな気がないのはわかっていても、ユヅルの身体を私以外が触れるのは許すわけにはいかない。

狭量だと言われようがそこは許すわけにはいかないのだ。

「ふふっ。ユヅル、大胆な愛の告白だったね」

そんな私たちの元にミシェルとセルジュがやってきた。
まだ顔の赤いユヅルはミシェルの言葉にさらに恥ずかしそうにしていたが、わざわざ揶揄いにきたのかと尋ねると、どうやらユヅルからの贈り物について気になってきたらしい。

ふふっ。さすがセルジュ。
やはり気づいたか。

ユヅルがあの日、あの店でミシェルのために選んだスカーフがどうも気になって、私はあれを手がけたデザイナーの元に直接連絡をした。

ロレーヌ家総帥である私からの連絡にデザイナーはかなり恐縮しながらも、あのスカーフについて話をしてくれた。

限定20枚で作られたあのスカーフのデザインを頼まれた時に、天使とヴァイオリンというモチーフで描くことになり、一枚だけいたずら心で天使の姿をミシェルに少し似せて描いたようだ。

デザイナーはミシェルの大ファンで、その依頼が来たときにすぐにミシェルを思い浮かべたらしい。
一枚だけならとこっそり描いてみたようだが、それが我がロレーヌ家にあり、ミシェルの手に渡ると知ってかなり驚いていた。

それを選んだユヅルのことを神のように崇めていたくらいだから、ミシェルの手に渡ることが嬉しくて仕方なかったのだろう。
そのお礼に今度、非売品でユヅルをモデルにしたデザインを描いてもらうことになった。
何に描いてもらうかは検討中だが、ユヅルと一緒に考えるのも楽しいかもしれない。

「ユヅルさまが見つけてくださったおかげで、私たちの元に天使のミシェルがやってきてくれたんです。本当に素敵な贈り物をありがとうございます」

セルジュは本当に嬉しそうにユヅルに礼を言っている。
まぁ礼も言いたくなるな。
もしかしたらミシェルモデルのスカーフが他所に行っていたのかもしれないのだから。

この贈り物はミシェルにとってもセルジュにとっても嬉しい贈り物になったようだ。
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