大富豪ロレーヌ総帥の初恋

波木真帆

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私からの贈り物

「朝から皆さん、楽しそうですね」

我々の声が聞こえてきたのか、笑顔でリビングに入ってきたのはジョルジュとリュカ。
さすがにこの二人は抱きかかえては来なかったか。

リュカもあのような衣装を身につけていたというのに、加減ができると言うのはすごいと素直に感じる。

だが、ジョルジュの方も私が早くきていたことに驚いたのか、

「私よりもエヴァンがこんなに早いことに驚いたよ」

なんていわれたが、まぁこれでもホストとしての自覚はある。
ホストとしての役目を終えた今夜はわからんがな。

そういえば、と思い出したことをミヅキとスオウに告げる。

今回、日本への帰国にはジョルジュとリュカも警備のために同行する。
フランスへ来る時は飛行機の整備を日本で行っていたため、帰航のタイミングで一緒に乗ってきてもらったから同行は無しだったのだ。

二人はパリ警視庁所属だが、我がロレーヌ家専属警備隊だから彼らの休日は私に決定権が任せられている。

ジョルジュとリュカにはいつも世話になっているし、このクリスマス休暇も我々とともに過ごしてくれたから、お礼の意味も込めて、数日羽を伸ばせばいいとジョルジュには伝えている。
リュカはきっとまだ知らないのだろうが、楽しい時間を過ごしてきてほしいものだ。

「じゃあ、軽く日本までの到着の流れを説明しておこうか」

ジョルジュがミヅキとスオウに声をかけたと同時に、セルジュたちとアヤシロたちがリビングにやってきた。

ふふっ。二人とものんびりだったが、こちらも抱きかかえられては来なかったか。

まぁ、セルジュの理由はわかっている。
色気を纏ったミシェルを皆に見せたくないだけだ。
だからこそ、必死に理性で押し留めたのだろう。
その分、明日は部屋から出てこないだろうな。

ミシェルもみんなを見送りに空港まで行きたいと思って、昨夜は我慢したのかもしれない。
二人には今回、みんなと一緒に過ごすためにバカンスを返上してくれたという恩もある。
二人にも何かお礼を考えなくてはいけないな。

ああ、日本に行くなら別行動の日を作ってやるのもいいか。
二人なら、オンセンにも入れるだろうからな。

アヤシロは部屋のなかを見回して、ユウキとソラの姿がないことにに気づくと

「ははっ。やっぱりあいつらが最後か。そうだと思ってたが、相変わらずだな」

と笑っていた。

ミヅキも

「まぁ、空良くんのあの格好を見れば、今朝一番遅くなるだろうことはわかってたけどな」

と言っていたから、二人とも最初からわかっていたのだろう。

まぁ、あれほど自分の本能のままに動けるのもいい。
言うなれば、ユウキが一番狼にふさわしいのかもしれないな。

「じゃあ、改めて日本行きの説明をしておこう」

ジョルジュがセルジュとアヤシロに声をかけると、ユヅルは邪魔になってはいけないと思ったのか

「ねぇねぇ、佳都さん、ミシェルさんもこっちでおしゃべりして待ってよう」

と声をかけ、少し離れたソファーでおしゃべりを始めた。
本当に私のユヅルは気が利くな。

ユヅルたちの様子には気を配りながらも、私は一通りジョルジュが説明するのをじっと聞いていた。

『――という流れになるが、大丈夫だな?』

『ええ。大丈夫です。問題ないですよ』

『じゃあ、ジョルジュの話が終わったところで、私からみんなに渡すものがある』

そう言って、私はポケットからいくつかのUSBを取り出した。

『ロレーヌ、これは……』

『ああ、前に話していただろう? この数日のデータだ。この中にそれぞれのすべてのデータが入っている。二人で見られるものも用意しているから、それは二人で楽しめばいい。あとのは自分たちで大切に保管するんだな』

名前の刻印をしていたそれを、それぞれに配ると皆、目を輝かせて喜んでいた。

ふふっ。
愛しい伴侶との大切なデータだ。
少し遅いが、良いクリスマスプレゼントになっただろう。

ユウキのは、後でこっそり渡しておこう。
彼が一番喜ぶだろうな。

『帰国してからの楽しみができたよ。ロレーヌ、ありがとう』

『いや、喜んでもらえて何よりだ。次は日本だな。楽しみにしているよ』

『ええ、今度は我々がホスト役として、ロレーヌたちを喜ばせてみせますよ。なぁ、周防くん』

『はい。これからしっかりと計画を立てましょう』

『ははっ。さすが日本人。遊びの計画も完璧にこなしそうだな』

なんて、笑いながら会話を楽しんでいると、

「弓弦くんは久しぶりの日本で何かやりたいこととかある?」

と言う言葉が聞こえてきた。

ユヅルに関することだけ、私の耳に入ってくるのだから私の身体は全てがユヅル仕様になっているな。
ユヅルはなんと答えるだろう。
日本でやりたいこと……ユヅルが望むなら、なんでも叶えてやりたい。
しかし、ユヅルの言葉は私の想像とは大いに違っていた。

「僕は……会いたい人がいる、かな……」

ユヅルに会いたい人がいる。
その言葉が耳に入ってきた瞬間、私は形振り構わずユヅルのもとにかけだしてしまっていた。
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